世界の果てにも風は吹く

ハズミツカサ / 著

『世界の果てにも風は吹く』辺境の地の伝承を紐解き未知と驚異に立ち向かう!心震わすハイ・ファンタジーが始まる!

ハズミツカサ先生が描く『世界の果てにも風は吹く』とは、WebコミックサイトMAGCOMI(マグコミ)にて連載中のハイ・ファンタジー。探索・伝承・精霊といったファンタジー要素に強いときめきを抱く方は、是非とも押さえておきたい作品です!

作者のハズミツカサ先生は月例マグコミマンガ大賞(※2021年3月より「月例マッグガーデンマンガ大賞」として新設)において過去2回、マンガ賞を受賞(期待賞&入選)されておりその才能を高く評価されています。

👉ハズミツカサ先生の受賞作を読みたい!

今回はそんな新星・ハズミツカサ先生が描く新たな物語、2021年3月に待望の第1巻が発売されたばかりの『世界の果てにも風は吹く』をキャラクターや物語の魅力を追いながらご紹介したいと思います!

史誌編纂というレアな役割を担う主人公たち!

ちいっとばかし昔話でも聞かせてもらおうか

引用元:『世界の果てにも風は吹く』第1巻

物語の主人公は国々を束ねる聖府から派遣された地方主任担当官ラル・ビエントとその補佐官ジレ・クラッヒト

彼らの役目は諸国各地の伝承を蒐集・検証し、伝承と史実との整合性や相違性を踏まえながら聖誌と呼ばれる史誌を編纂(へんさん)すること。小難しいのでラルの言葉を借りれば、「つまり昔話を集めてんだ」ということになります。

ちなみに、図書館員の筆者が図書館情報学用語でもある「編纂」(聞いたことありましたか?)という言葉をさらに噛み砕いて説明すると、材料を集め整理して書物にまとめることを意味します。地道かつ地味な仕事なので、マンガの主人公が持つ役割として描かれていることは珍しく、とても興味を唆られます。

怪力で生真面目な補佐官ジレと飄々とした出で立ちのラルという凸凹コンビ。見ていて楽しいやりとりが物語の始まりを告げます。走竜に乗って聖誌編纂のために訪れる辺境の地。そこで起こる様々な事件に巻き込まれていく2人。未知と驚異の旅路を描く王道ファンタジーです。

謎を解く鍵は「伝承」にあり!

この作品の魅力でもあり鍵を握るキーワード、それは伝承です。彼らは聖誌編纂のための情報蒐集の傍、訪れた辺境の地で数々の事件に巻き込まれます。その事件の真相を探るため欠かせないヒントとなるのが、その地に残る伝承に隠されているのです。

物語の序章である第0話で主人公ラルは、鍛治の都市で重要な生業の源である火山の火が途絶えてしまったことを知ります。しかし、自らの足でその地の伝承を調査し、そこで知った伝承を通して火山の火が途絶えている真相を突き止めます。果てに都市の住人を救うことにも成功するのです。

知識や技術、慣習や風俗といった、生きていく上でその地の集団が受け継いでいく大事な知恵の数々を伝え残すということ。私たちの現実世界でも様々な伝承が語り継がれていることは同じです。伝承は歴史学や民俗学を研究する上で重要な資料ともなるのです。

この作品を通して、読者もたかだか言い伝えのようなものと伝承を蔑ろにしてはいけないということを強く訴えられ、語り継ぐことの尊さを思い出させてくれるような気持ちが湧いてくるのです。

👉第0話はこちらから読むことができます!

凸凹コンビの本当の目的とはなんだ!?

そして、物語を読み進めていくと判明していくある事が、次巻以降への期待を膨らませます。

実は、聖誌編纂という彼らの役割は、どうやら真の目的を遂行するための名目に過ぎなかったようです。物語が進むにつれて徐々に明らかになっていく彼らの本来の目的、それは風の精霊の血を引くラルの力に関係しているようです。

今後の展開でさらに明らかになるであろう凸凹コンビの目的と、彼らがたどり着く伝承に注目です!

ハズミツカサ先生の過去受賞作クオリティもハンパない!

ハズミツカサ先生が月例マグコミマンガ大賞にて受賞された作品は両作ともに「怪異」がテーマの作品です。緻密な筆致が物語への吸引力を増幅させ、その存在感はパワーアップした形で本作へ引き継がれていることがわかります。

🌟2018年10月期 期待賞『もちつもたれつ

🌟2019年2月期 入選『煙は異なもの


🦕『世界の果てにも風は吹く』第0話はこちらから!

是非とも、この新たな歴史を刻み始めたファンタジーに触れてみてはいかがでしょうか?

きっと、あなたの心にも風が吹く!

世界の果てにも風は吹く 1巻 (マッグガーデンコミックスBeat'sシリーズ)
ハズミツカサ/著