作品概要
『ぽんこつポン子』は、頑固な老人とポンコツロボットの生活を描いた矢寺圭太先生の作品です。
2019年3月から「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載されいています。
物語の舞台は静岡県沼津市にある戸田(へだ)という街がモデルになっており、戸田観光協会とコラボして町おこしにも貢献しています。
作品のあらすじ
舞台は近未来の日本。吉岡ゲンジ(ゲンさん)は愛妻に先立たれ、田舎町で一人静かに余生を過ごしていました。そんな彼の家に訪れたのは、メイドロボット。
孤独に暮らすことになるゲンさんを心配した奥さんが、亡くなる前にメイドロボットの契約をしていたのです。ただこのメイドロボット、30年以上前に開発された旧式タイプのため、やることなすことミスばかり。ぽんこつなロボットにつけられた名前は「ポン子」。
自分の人生が終わるのを静かに待っていたゲンさんは、ポン子との出会いによってドタバタな生活が始まります。
ビックコミックBROS.NETにて3話まで無料で読めます。
登場人物
ポン子
ゲンさんの家で住み込みで働くことになった家政婦ロボット。30年前に開発された旧式のロボットのためミスが多め。
ぽんこつだけれども、なんとかして人間の役に立ちたいと思っています。家政婦としての仕事はゲンさんの家が最後。契約終了後はスクラップ行きとなる予定です。
特技はイオンを流すこと。
吉岡ゲンジ(ゲンさん)
妻を亡くし、田舎の小さな町で一人静かに暮らす頑固者おじさん。
別に暮らす息子からの同居の話も断り、このまま静かに人生が終わることを望んでいました。
そんな時にポン子が家にやってきます。最初は嫌がるものの少しづつポン子に心を許し始めました。
ちなみに、孫のゆうなには目がない。
ゆうな
吉岡ゲンジのかわいい孫。高校受験の勉強に集中するために、夏休みの間ゲンさんの家で過ごすことに。
都会育ちでエリート教育を受けてきたゆうなによって、田舎生活は新鮮なことばかり。ゲンさんの家で暮らすことで自由な田舎暮らしに楽しさを感じ始めます。
吉岡千秋
吉岡ゲンジの妻。入院中に、当時病院で働いていたポン子と出会っていました。
自分の亡き後のゲンさんの暮らしを心配した千秋は、ポン子に住み込みで働いてもらう契約をゲンさんに内緒でしていました。
ロボットは主人が入れ替わるたびに記憶がリセットされるので、現在のポン子には千秋と会っていた記憶はありません。
ゲンさんと千秋の馴れ初めのエピソードも描かれます。
作品の魅力
ポン子のぽんこつっぷりが可愛くて笑える!
タイトル通り「ぽんこつ」なポン子が、可愛らしくて笑ってしまいます!
「私、夕飯の準備しますね!」
包丁を持つと震えだす機能が発動していまい、料理ができません…。
「新しい流しそうめんのやり方を考えました!」
もちろん却下…。
なんとかして人の役に立とうとするも失敗ばかりのポン子の姿が、可愛らしくて笑ってしまいます。そして、どこか人間らしさを感じて共感してしまいます。
懐かしさが込み上げてくる!
舞台となる日坂町は、タクシーも走っていない、小学校は1学年3人程しかいない、田舎の小さな町です。そんな場所でのんびり過ごすポン子たちの日常を見ていると、なぜだか懐かしさが込み上げてきます。
友だちと海水浴!
みんなで盆踊り!
満天の星!
小さいころの夏休みの思い出が蘇ってきて、懐かしい気持ちを感じます。
自分らしい生き方をゆっくりと取り戻していく物語
この作品は、ポン子と出会ったことで少しづつ自分らしさを取り戻していく人々の姿が描かれています。
妻に先立たれたゲンさんは、人生が終わるのを一人静かに待っているだけでした。そんなゲンさんも、ポン子と出会ったことで、にぎやかな家族との生活を取り戻しました。
中学に入学してからエリート教育を受けてきたゲンさんの孫・ゆうなも、「自分はロボットみたいな生き方をしている」と感じていました。そんな彼女もゲンさんの家で生活することで、自由にのんびり過ごす楽しさを覚えます。
日坂町の人々も、少子化によりさびれつつある地域でしたが、ポン子が住むようになってから少しづつ活気を取り戻し始めました。
そして、私たち読者もこのマンガを読むと、ポン子たちののんびりとした生活に癒されるはずです。家族や地域の人々と一緒に過ごした時の楽しさを思い出す人も多いのではないでしょうか。
単行本の次巻予告が「大ウソ」で毎回楽しめる!
単行本のラストに掲載される「次巻予告」が、本来の内容とは異なる画が描かれていて楽しめます!
第1集に掲載されている次巻予告がこちら。
「この町の命運はお前に任せたっ‼」という文字とともに、ポン子が巨大ロボに乗り込んで敵と戦っています。
実際には、ゲートボール大会にポン子が出場したエピソードが第2集では描かれています。
その第2集に掲載されている次巻予告がこちら。
…ターミネーター?
実際には、ポン子と同じ型番のロボットと出会うエピソードが第3集では描かれています。(戦いはしません。)
どちらも小さく「この予告は大ウソです!」と書かれています。
画は全然違うけれども、ストーリーはちょっとだけ似ている部分もある「大ウソ」の次巻予告。単行本を購入した方はぜひチェックしてみてください!遊び心満載で、最後のページまで読者を楽しませてくれます。
舞台となった日坂町のモデルとなった場所
ゲンさんたちが住む「日坂町」は、静岡県沼津市にある戸田(へだ)という地域がモデルになっています。
作中には戸田にある実際のスポットがたくさん登場します。
こちらの海岸は戸田にある御浜岬公園がモデルです。
詳しくはビックコミックBROS.NETの特設ページで紹介されています。マンガ内のコマと実際の写真が掲載されているので、ぜひ比較してみて下さい!このサイトがあれば聖地巡礼が簡単にできますよ。
また、駿河湾に面する沼津市戸田は深海魚漁が盛んです。そんな戸田の深海魚漁や街中の観光スポットを紹介したDEEP-HEDAというサイトが『ぽんこつポン子』とコラボ。サイト内では、深海魚と戯れるポン子の描き下ろしイラストが掲載されています。
「ぽんこつポン子」と「DEEP戸田」がコラボ中です!かわいい深海魚のイラストいっぱい描きました! https://t.co/kW18H06Kif pic.twitter.com/E2UV9Q9Niq— 矢寺圭太:ポン子⑥7/30 恋食① (@yaterakeita) March 20, 2020
マンガ舞台のモデルになった戸田の町おこしを、ポン子は一生懸命応援しています。
ショートボイスコミックがYouTubeで公開!
YouTubeのBIG COMICS(ビッグコミックス)チャンネルに、『ぽんこつポン子』のショートボイスコミックが公開されています!
マンガとは違った楽しみ方ができます!
ポン子役を演じたのは、女優の長谷川かすみさん。舞台「ノラガミ」でヒロインの壱岐ひより役を、舞台「七つの大罪 THE STAGE」ではディアンヌ役を演じられた方です。
週刊スピリッツで連載中の「ぽんこつポン子」のショートボイスコミック、ポン子を演じさせていただきました!
初めての声のお仕事で、
こんなに可愛らしい家政婦ロボットを演じることができ、嬉しいです😌
ハートフルでふふふっとなるお話です!
本日1巻発売!本屋に走ろう!https://t.co/6KXowGE6sy— 長谷川かすみ (@kasumi_hasegawa) July 30, 2019
受賞歴
『ぽんこつポン子』は、「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門にノミネートされました。
「次にくる」漫画をマンガファンが推薦・投票して決める「次にくるマンガ大賞 2020」 https://t.co/8EeaQ0oed3 #次にくるマンガ大賞 ぽんこつポン子をよろしくおねがいします pic.twitter.com/zXvI4wyCsh— 矢寺圭太:ポン子⑥7/30 恋食① (@yaterakeita) June 26, 2020
作者紹介
作者の矢寺圭太先生は、以前は『月刊ヒーローズ』にて『おにでか!』を連載していました。
『おにでか!』連載中に、日常をリアルに描いた日記マンガをTwitterに定期的にアップするようになりました。
疲れてます pic.twitter.com/giVcklMOtY— 矢寺圭太:ポン子⑥7/30 恋食① (@yaterakeita) December 4, 2019
その日記マンガを単行本にしたのが『出るか分からない温泉を掘りつづけてるうちに、30代になりました。』です。
このマンガでは、週刊連載に追われる苦労エピソードや、連載で得た収入を増やそうと株に投資するも大損してしまったエピソードなど、マンガ家・矢寺先生のリアルな日常が描かれています。