ここは今から倫理です。

雨瀬シオリ / 著

 『ここは今から倫理です。』現代社会に疲れたあなたにこそオススメする3つの理由

ここは今から倫理です。』は2020年10月時点で第4巻まで発売されていて、すでにTVドラマ化が決定している今注目の倫理教師マンガです。

高校の倫理の授業が物語の舞台で、登場人物は倫理教師の高柳先生と倫理の選択授業を取っている高校3年生の生徒たちです。

様々な悩みや想いを抱える生徒たちを、高柳先生が自らの考えや過去の哲学者たちの言葉を借りながら彼らなりの答えに導いていくという物語の構造で、読み進める内に「倫理」の中心にあるものは常に人である、ということに気付かされます。

これだけ聞くとよくある熱血教師マンガかと思われるかもしれませんが、倫理がテーマというだけでそれらとはまた違う新しいマンガとなっているんです。

それでは、このマンガを現代社会に疲れている人にオススメする理由を3つ、ご紹介していきます。

登場する生徒たちが自分自身と重ねやすい

高柳先生の倫理の授業を受けている生徒たちは、その全員が多感な高校生らしい、そして誰もが一度は持ったことのあるような悩みを抱えています。

本を読めば何でも理解できると思っていて教師や親ですら無知だと見下している生徒だったり、退屈を紛らわすために夜遊びに出て生活リズムを狂わせている生徒だったり、美人でモデルの姉に対するコンプレックスから教師への度が過ぎたイタズラをくりかえす生徒だったり。

それは悩みかもしれませんし、何かの欲求が形を変えて行動となって湧き出しているものかもしれません。様々な形で描かれる生徒の抱えた悩み(や行動)に対して、時には共感できたり、時には重ねることが出来るもう一人の自分自身を生徒に投影することが出来るのではないでしょうか。

そんな時にその生徒に投げかけられる高柳先生の言葉は、きっとあなたの胸にも響くはずです。

高柳先生が使う過去の哲学者たちの言葉が胸に刺さる

高柳先生は生徒の悩みに寄り添う時、よく過去の哲学者の言葉を借ります。

それがまた生徒の悩みがピークの時だったり、緊張が解けた時にその言葉を口にしたりするので、余計に胸に刺さります。

例えば上記に挙げた本を読んで人を見下す生徒に対しては、フランシスベーコンの「なんといっても最上の証明は経験だ」という言葉を借りて、彼女が聡明であることを認めた上で、だからこそたくさん勉強していろんな知識を経て、たくさん遊んでいろんな経験をすれば、もっと視野が広がることを伝えていました。

伝わる言葉を伝わるタイミングで言うことの大切さ、覚えておきたいと思います。

倫理がテーマでも難しいマンガじゃない

このマンガは倫理がテーマですが、その内容は決して難しい物ではありません。

「倫理」という言葉から連想しがちなちょっと堅苦しいイメージとは異なり、マンガという理解されやすい媒体ならではの誰にでも気軽に読めるようなストーリーとなっています。

倫理という学問を予め知識として持っておく必要はありません。例えて言うならそれは誰もが気付いていながら言語化出来ていなかった教訓、なのかもしれません。それら(名言など)言葉として掲示されることの明快さ、そして先生が生徒を救うという愛されるストーリー構成で「マンガ」として単純に面白い作品でもありますから誰にでもオススメできます。

タイトルだけであまり身構えず、まずは軽い気持ちで高柳先生の倫理の授業をのぞいてみてください。むしろなんとなく敬遠しがちだった倫理の持つ奥深さに夢中になる自分がいるはずです。

あなたの心に優しく寄り添ってくれるマンガです

このマンガは現代における人間関係や個人と社会など、誰しもが抱える悩みに対して決して頭ごなしに正論を振りかざすことなく、心の部分に寄り添ってくれます。

読めばきっと深く考えさせられる部分もありつつ、あなたの心をほっこりとした気持ちにさせてくれるはず。

日々の多忙な生活に疲れを感じている方は、ぜひ一度このマンガを読んでみてください。

あなたを癒やす「倫理」がある

ここは今から倫理です。 (全4巻) Kindle版