ささやくように恋を唄う

竹嶋えく / 著

『ささやくように恋を唄う』第4巻最速レビュー!季節も移ろい新展開、穏やかな日常に初夏の嵐!

コミック百合姫にて連載されている『ささやくように恋を唄う』の最新第4巻が、2021年1月18日に発売されました。竹嶋えく先生、おめでとうございます!!

入学初日。新入生を歓迎するステージで演奏していた3年生のに、ひとめぼれした1年生のひまり。その気持ちを伝えると依からは「あたしも一目ボレなんだよね」との返事が。2人はひとめぼれ同士。しかしその意味は大きく異なり、気持ちはすれ違う。はたして2人の行方はどうなるのでしょうか…!

本作は2人の女の子に芽生えた、「ひとめぼれ」と向き合う物語です。

ひとめぼれの物語が一段落する第3巻

第1巻で、お互いにひとめぼれの感情を抱いた依とひまり。第2巻ではひまりが依の気持ちに気づいたうえで、2人が恋心について真剣に向き合うお話が展開されました。

第3巻では2人のすれ違い続けた思いが合流し、やがてひとつの結論に到達します。

第1章の完結を文句なしに遂げた第3巻。今から本作を手に取る人は3巻まで一気に読了できるため、あのもどかしい気持ちを抱えることのないと考えると、勿体ないような、羨ましいような。そんな感情を勝手に抱いてしまうようなお話でした。

物語は新章に突入し「季節」が動き出す

第4巻では、衣替えのシーズンが到来しました。

きっちりと制服を着こなしていた男子生徒でもトップスはワイシャツ1枚の姿になり、女の子たちは涼を求めて自慢のロングヘアを束ね始めます。依とひまりも、セーターや制服の下に半袖のワイシャツを着用し始めました。

物語としても新章に入り、新しい形で動き出した依とひまり。新章の開幕を告げる意味を含んだ衣替えは、単純な季節の移ろい以上も新鮮な空気を読者の肺に送り込みます。

また、もう一つの見所は文化祭です。依たちが通う学校ではバンドの申し込みが多く、今年は出場者をオーディションでしぼりこむことに。

「オーディション!?」

引用元:『ささやくように恋を唄う』第4巻P.31より

とはいえ新入生歓迎会で演奏が認められるほどの実力がある依たちならば、きっと大丈夫。何よりも彼女たち自身がそう思っていました。しかしそこには、不穏な影がひとつ。

泉志帆。みなさんはこの名前に聞き覚えがあるのではないでしょうか。

かつて依の代わりにギターボーカルを務めていた女の子。2巻で名前だけが先行して登場していた人物が満を持して目の前に現れる展開には、思わず鳥肌が立ちました…!

衣替えに文化祭、存在感を示すかつての仲間。新情報が吹き荒れる第4巻ですが、物語で散りばめられていた点と点が繋がっていく感覚があり、早くも次の展開が気になります!

ときに、夏の前といえば台風の季節。

心地よい風が流れ込む季節をガラリと転調させるような夏前の嵐は、文化祭までになりを潜めると良いのですが。

このフレーズを見逃すなっ!

「…す 好きだけど 悪い?」

引用元:(『ささやくように恋を唄う』第4巻P.29より)

普段はストレートな感情を表さない依から発せられた一言。どうしてこのような発言をしたのか、そして誰に向けられる言葉なのか。

思わず頬が緩むフレーズです…!

波乱のオーディションの結末はいかに!

満を持して幕を開けた新章。吹き込むのは温かく穏やかな風ばかりではなく、嵐を予感させるような荒々しい風でもありました。立ちはだかるライバル。音楽に留まらず、人間関係にまでかき乱す存在となるのでしょうか。

すれ違いは、まだつづく

ささやくように恋を唄う (全3巻) Kindle版