さめない街の喫茶店

はしゃ

『さめない街の喫茶店』幸せな夢の世界で過ごす、ちょっと不穏な生活

さめない街の喫茶店』はWEBメディアのマトグロッソで連載され、全2巻で完結しました。作者はイラストレーター・旅行記マンガで有名なはしゃ先生。料理の描写がとっても細かく、読んでいるだけでもお腹が減ってきちゃいます!



さめない街の喫茶店【電子限定特典付】
はしゃ/著


あらすじ

ある日、突然眠りから覚めることができなくなったスズメは、ルテティアという世界に迷い込み、ハクロおじさんが営む喫茶店「キャトル」で働くことになります。

お客の全然来ないこの喫茶店で、彼女は料理作りに奮闘したり、不思議な来客に振り回されたり、少し変だけど幸せに暮らしていたのですが…。

メルヘンチックで平和な世界…なの?

『さめない街の喫茶店』はタイトル通り、不思議な世界にある喫茶店を舞台として、スズメの作る料理を詳細に描写していくグルメファンタジーマンガです。またルテティアに住む一癖も二癖もある、でも優しい住人たちとの触れ合いを描いた、ハートフルストーリーでもあります。

これだけだと、とてもメルヘンで幸せな物語のように思えるのですが、「さめない街」の真相が明らかにされていくごとに、徐々に不穏さも感じられるようになっていきます。

「さめない街」=スズメの夢の世界

スズメが過ごす「ルテティア」という世界は、彼女の夢の中でつくられた世界です。彼女もそれを自覚しており、「この夢が少しでも長く続きますように」と願う気持ちと、「ここに居続けていいのだろうか」と現実世界に思いを馳せる気持ちといった、相反する感情を持ちながら夢の世界での日々を過ごしています。普段のスズメは、店主のハクロさんと一緒に料理を作り、街のみんなに振る舞いながら幸せに暮らしているだけなのですが、その幸せが幻想であることを感じつつあるのがなんだか不穏で、この物語がただ幸せなだけではないということに気づかせてくれます。

なぜスズメはルテティアにいるのか?

ではなぜスズメはルテティアという夢の世界に来ることになったのでしょうか?

ある出来事をきっかけに、ハクロさんがスズメにその真相を教えてくれます。

ルテティアとは、単に夢の世界というだけではありませんでした。スズメが悲しい思いをした時、慰めてくれるための世界だったのです。スズメは幼い頃、よくこの世界に遊びにきて、元気になるといなくなる、というのを繰り返していました。しかし、成長して大人になり、夢の世界に頼ることは無くなっていました。


そのため、本作は大人になったスズメが、再びルテティアに頼らざるを得なくなってしまった(=それほど悲しい出来事が起こってしまった)ということからスタートした、ということになるのです!

大人になったスズメに起こった、耐えきれないほど悲しい出来事とはなんだったのか?そして、真実を知った彼女が夢の世界とどう向き合っていくのか?ぜひ本編を読んで確かめてください!


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