2020年...。誰もが経験をしたことのない未曾有の事態に、これまでの生活はもちろん世界が、社会が、ものすごい勢いで変わっていっています。
今まで体験したことのないような時代の流れに、言いようのない心の焦りや不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたは、『たそがれたかこ』に登場する超ポジティブなモテモテ中年"美馬さん"から心のままに人生を楽しむコツを学びませんか?
きっかけは深夜のラジオ
本作の主人公であるたかこは、母と2人で暮らすバツイチの45歳。
東京の深川から自転車で新大橋を渡り、社員食堂のパートに通うのが彼女の日常。
母の介護をしながら、大きな喜びも悲しみもなく淡々と過ごす毎日だったが、近頃夜になると言葉にならない虚しさで涙が溢れてしまう...。そんな夜は、一人お酒を飲むのが彼女の習慣になっていました。
ある日、たかこが家でお酒を飲んでいると、偶然流れてきた深夜ラジオを耳にします。
ラジオから聞こえてきたのはロックバンド・ナスティインコのヴォーカルである谷在家光一(やざいけ・こういち)の声。
彼のメッセージや曲は、人付き合いの苦手なたかこの心に響き気付いたら谷在家くんに恋をしてしまいます。
すっかり谷在家くんの虜になったたかこは、彼のCDを買うために一人で渋谷まで足を運んだりと、今までは考えられなかった行動力で自分の世界を広げて行きます。
谷在家くんへの恋心をきっかけにたかこの日常は徐々に動き出すのですが、時に"今までの自分"が邪魔をしてポジティブに前へ進もうとするたかこの足かせになることも...。
そんな時、たかこの背中を押してくれるのが近所の居酒屋の店主・美馬さんなのです。
美馬さんから学ぶ、人生を楽しむコツ
すっかり谷在家くんのファンになったたかこは、居酒屋の店主・美馬(みま)さんに相談をするようになります。
超ポジティブなモテモテ中年・美馬さんのアドバイスで、たかこは内面はもちろん外見も明るくなっていくのですが、そんな美馬さんからは、今何かと心の焦りや不安を感じる私たちが見習いたい「人生を楽しむコツ」を学べます。
1.自分に似合うものって?
イメチェンをしようかどうか迷っているたかこに対して美馬さんが言った言葉。
目に付いた時点でそれが、本来自分が好きなものかもしれない...。だから、その気になれば着こなせる!という美馬論は、今すぐにでも実践したい考え方です。
2.慎重になりがちなあなたへ
いつもとちがうことをしようとする時、ついつい慎重になってしまいませんか?
そんな時、パッと吹っ切れる美馬さんの魔法の言葉。
これでいいのだ!と腹を括ったらもう進むしかありませんよね。
3.結果ではなく過程を愛す
年齢差のある恋愛について美馬さんに相談するたかこ。
若い子からしたら自分のことは通過点にしかすぎないのだという美馬さん...。
結果という着地点がどうであれ、その過程が幸せなら最高なのです。
そして美馬さんといえば「笑顔」。
たかこが初めて美馬さんと会ったのは、一人で川辺で飲んでいた時のこと。
気分良く歌っていたたかこに合わせて歌い出し、目が合うとにっこり微笑む美馬さんに最初は警戒するたかこでしたが、徐々に心を開いて行きます。
この敵を作らない、無敵の笑顔こそが美馬さんの人生を楽しくしている秘訣なのかもしれません。
中年ヒロイン・たかこの物語を見届けて
谷在家くんへの恋愛感情をきっかけに、パッとしない毎日に彩りが灯り始めたたかこ。
その後、同じく谷在家くんのファンであるお隣に住む中学2年生の少年との出会い...。そして離婚した夫の元で暮らす娘・一花が拒食症になってしまったり...。中年ヒロイン・たかこの毎日は、さらに動き出します。
作者である入江喜和先生は、1巻の最後にこんなあとがきを残しています。
確かにたかこは、あまり馴染みのない設定の主人公かもしれません。
けれど、そんなヒロインが、谷在家くんや美馬さんに影響されて、へこたれながらも前に進もうと足掻く姿はまさにロックンロール。きっと読む人すべてに勇気を与えてくれるはずです。
『たそがれたかこ』は全10巻。6巻には、作中に登場する谷在家くんのモデルとなったロックバンド・クリープハイプのボーカル尾崎世界観氏とのスペシャル対談が収録されています。
言いようのない心のざわつきを抱えているあなたは、ぜひ手に取ってみては?