月刊!スピリッツにて連載中の『へんなものみっけ!』。早良朋先生が博物館で働く人たちをリアルに描いたミュージアム・コメディです。2021年4月12日に第6集が発売されました!
本記事では、最新刊の物語の中から博物館ならではのエピソードに注目してご紹介!図書館で働く筆者も本を読むだけでは味わえない感動を体験しに思わず博物館へ足を運びたくなります。
『へんなものみっけ!』6巻表紙はこんな感じになりました。背景に色がつくのは初めてです。左上のオレンジのクラゲ→『我輩は新種のクラゲである。名前はまだない。』だそうです。よろしくお願いいたします!😄 pic.twitter.com/bktzwZcQCt— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) April 5, 2021
博物館の使命とその裏側をコミカルかつ情熱的に描く
『へんなものみっけ!』をご存知ない方のために、少しだけ本作の魅力をお伝えします。
日本一標本を作った研究者を目指している若き鳥類研究者の清棲(キヨス)あかりと、市役所から出向してきた無駄を省くことに使命感を抱く薄井透。「省く」と「残す」の凸凹コンビが、ここにある美しいもの、面白いものを100年先の未来まで残すというロマンある使命を背負い奮闘する日々。
一年間、ありがとうございました。来年も『へんなものみっけ!』が誰かのいっぷくになれますように。 皆様、良いお年を。 pic.twitter.com/gUkViazwZ9— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) December 31, 2020
作者は動物が大好きだったという原体験から、大学でのネズミの研究、そして国立科学博物館で働かれた経験をお持ちの早良先生。その経験を元に博物館のお仕事の裏側や、そこで働くキャラの濃い研究員たちのリアルを情熱的かつコミカルに描かれています。
これまでも、巨大なクジラの骨格標本を掘り起こしたり、東京の街中で化石を探したり、雷の化石の謎を解いたり…。
主に博物館の仕事の裏側を描く本作ですが、現実世界の取り組みとも大迫力のスケールでリンクしているため感動も一入です。何巻から読んでも面白いのが本作の魅力ですが、一貫して自然に潜む生物の知られざる生態や、身の回りの不思議な現象をわかりやすく丁寧に教えてくれています。
残したい物、大切な思い。そのために彼らは考え働くのだ!
これまでお役所仕事で無駄を省くことに命を懸けていた主人公の薄井さん。しかし、残すことに使命感を燃やす博物館の仕事に喜びを見出しはじめ、博物館で働ける残りの一年半で自分に何が残せるのかを真剣に考え始めるようになります。
その思いを企画展示という集大成へと向かわせるべく熱意が溢れた前巻、そんな彼を最新刊でも様々な感動が後押しします!
私は色ぬり何回も失敗するので、コピー用紙に水彩絵の具で塗っています。その絵の具が20年以上前におばあちゃんからもらった植物画用のホルベイン固形絵の具と、中学校で使っていたぺんてる絵の具です。いいかげん自分で買わなきゃですね。。しかしセットの水彩絵の具って高いですよねえ。。。 pic.twitter.com/ik8wlRK4Rb— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) June 29, 2020
🏛お家にいながら楽しめる!ヴァーチャル博物館!
積極的な外出が憚られる今日、お家でも博物館を楽しめるってご存知でしたか!?
薄井さんが務める「かなでの森博物館」がきっかけで大好きな仲間たちとニホンオオカミを探す探検を経験した聡太くん。遠い地で暮らす友達にも博物館を紹介したいと相談にやって来ます。
おうちで博物館① pic.twitter.com/tWu2fIRUYT— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) May 15, 2020
実際に友達を呼ぶことは難しいという悩みを解決するヒントとなったのが、アメリカのスミソニアン博物館のヴァーチャルツアーです。世界中のどこにいても、Web上からまるでその場にいるような感覚で博物館の展示品を見て周ることができるサービスなのです。
かなでの森博物館でも同じことができないかと薄井さんも創意工夫を凝らします。聡太くんのために存在感の薄い薄井さんが博物館を這いずり回る姿には思わず吹き出してしまいそうになりますが、博物館を通して得られた感動を大切にしたいという聡太くんの姿には胸を打たれました。
おうちでも博物館を楽しむ方法です。来月掲載の内容を特別に先行公開させていただきました。(スミソニアン博物館のキヨスそっくりさん銅像、本当にいますのでぜひ探してみてください!)
スミソニアン博物館→https://t.co/tV0j3L2mt4
国立科学博物館→https://t.co/pQCfTC1iUC— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) May 15, 2020
🏛ミュージアムショップを盛りあげろ!
ただでさえ硬派で地味な博物館という空間。かなでの森博物館にあるミュージアムショップは面白みのないショボい状態であることに気づいてしまった薄井さん。なんとかできないかと考え始めた彼でした。
※実際のミュージアムショップではこんな可愛いグッズも!👇
あとこれは大哺乳類展2とは関係ないですが、科博常設のミュージアムショップの手ぬぐいが可愛いので買ってしまいました。前に食物連鎖シリーズの海バージョンを買ったのですが、陸バージョンもありまして。あと、サンショウウオ尽くし手ぬぐい。いろんな種類がいる。。 pic.twitter.com/A9PrdWlSm3— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) May 19, 2019
そんなとき、博物館で働く雅先生にとあるお店を紹介されます。それがやまねこ博物堂というお店。店長は「好きなことだけやって生きていこう」と決め、大好きな昆虫をはじめとする色々な自然物を集めてお店を作った方なのでした。
博物堂を訪れる人たちをよく見ると、彼らは店長の大好きが詰まった空間で、さらに新しい大好きと出会うことができた喜びに満ち溢れていたのです。このことをヒントに、派手なものがないなりにかなでの森博物館なりの好きを集めたショップができないか思いついた薄井さんでした。
実はこのお店、実在するお店(うみねこ博物堂)を早良先生が取材して描かれたものだったのです。置いてあるものは面白い形をしたものばかり。行って見たいですね。
先日、東林間にあるうみねこ博物堂さんへお邪魔してきました。ご存知の方も多いと思いますが、めちゃくちゃワクワクする空間でした。来年の何処かでまた行きたい。。画像は、買ったびんとアンモナイトとオウムガイ。部屋に博物コーナー作ろうかしら。。。 pic.twitter.com/lAhhR7oR9g— 早良 朋(へんなものみっけ!) (@michitomo1) December 24, 2020
薄井さんが閃いたアイデアは、アンモナイト買う前に実際に触って選んでもらう手法だったり、研究者が試験器具を拭く時に使うキムワイプという道具も商品にしてしまうという発想でした。どれも博物館では当たり前のことですが、普通の人にはそこでしか味わえないもの、知らなかったものであり、そこに興味を持ってくれるのではないかという発想の転換!まさに目から鱗です!
博物館が好奇心への入口となるように
博物館の取り組みに興味を持ってもらうこと、それもまたそこで働く人間の大切な仕事の一つなのです。そして、本作もその一役を担うマンガであることは疑う余地がありません。
お気付きですか?博物館に興味を持ってもらえるよう、小さな子供たちでも読みやすいように本作のセリフは総ルビ(第4集と重版分から)になっているんです。
第6集では、企画展示のテーマを「かなでの森博物館のある町を100年先の未来まで残すこと」と定め、心を決めた薄井さん。果たして企画展示は成功を収めることができるのか、彼の頑張りが実を結ぶことを信じて、第7集が今から楽しみで仕方ありません!
リンク集
記事内でご紹介した公式ページへは以下からご確認ください。
🏛スミソニアン博物館のヴァーチャルツアー