生き生きとしたキャラクター描写と、自意識と真正面から向き合う、ちょっと痛いけれど爽やかなストーリーが絶妙な麻生みこと先生の『アレンとドラン』。
見た目は地味目・コミュ力は弱めの映画マニア女子大生、林田さん。田舎町から一人東京へ出てきた彼女はちょっと周囲から浮きがちな日々を送っていました。しかしひょんなことから隣人のちょっと変わったバーテンダー江戸川さんと知り合うことで、だんだんと彼女は変わっていくことになるのでした。
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自意識過剰な林田さん。彼女の等身大っぷりに共感!
まずお伝えしたいのは、主人公のリンダさんこと林田さんがとってもキュートだということです!
クラスメイトからのお茶の誘いよりも、見たい映画の特集上映を優先してしまう彼女。しかも理由を正直に話してしまう不器用さも相まって、なかなかまわりに溶け込めない日々。
そんな彼女が体当たりでいろいろな人々へぶつかっていく姿は必見!SNS上で仲良くなったオジサマにフラフラついていってしまったり、映画サークルに入ってみてはサークルクラッシュを目の当たりにしてしまったり。彼女が巻き起こす様々な失敗は、なにかしらのカルチャー好きなら、自分の経験を思い出して少しの気恥ずかしさを感じながらも、きっと共感してしまうことでしょう。
あした! pic.twitter.com/olRrgdKOCx— 麻生みこと (@asoumikoto) April 12, 2021
そして何より彼女の素敵なところは、どんなに失敗しても自分と向き合うことをやめようとはしないところです。傷つき、悩み、行きつけのバーで愚痴をこぼしながらも、自分の理想と現実に向かい合う不器用な姿はまさに等身大。いつの間にか彼女の物語に引き込まれてしまいます。
林田さんを取り巻くちょっと変わった男性たち。彼らの魅力に注目!
そして次にお伝えしたいのは、林田さんを取り巻く男性たちの魅力です!
林田さんを大きく変えることになるきっかけとなるのは、隣人のイケメンバーテンダー・エドガーさんこと江戸川さん。心理学部専攻で、同じ大学の1年先輩である彼と林田さんはひょんなことから友人になっていきます。
ひょうひょうとしたリア充で、住む世界が違うと評されていた江戸川さん。もちろん林田さんが大好きな映画監督たち、ウディ・アレンやグザヴィエ・ドランには全然興味を示すことはありません。ですが、あるがままの自分には興味を持ってくれた彼に、無謀と知りつつも林田さんはどうしても惹かれてしまうのでした。
そしてもう1人の重要人物・タイラー先生こと平良先生。大学のゼミの先生である彼もまた、林田さんの心のよりどころとなっていきます。
ぶっきらぼうに見えて面倒見よし、行き所のない父性がにじみ出る平良先生。こちらも偶然起こったあることをきっかけに、林田さんとの距離が近づいていくのです。趣味のこと、人間関係のこと、将来の悩み…江戸川さんとは対照的になんでも話せて共感してもらえる平良先生に、読者も懐いてしまうことまちがいなしです。
この2人の間で揺れ動く林田さん。恋の行方にも目が離せません!
自意識から一歩外に踏み出せば。すこしづつ世界を広げていく林田さんを応援したくなる!
この物語の大きな魅力は、実は自意識から一歩踏み出す瞬間をとっても爽やかに描いているところです。
自分の好きなものを追いかけながら、その殻に閉じこもっていた所のある林田さん。けれど彼女は周囲の人との出会いを経て、だんだんとその世界を広げていくのです。
もちろんうまくいくことばかりではありません。人間関係で失敗をしてしまったり、恋愛の難しさを知ったりしていくのですが、意外とうじうじとは悩まないのが直情型の林田さんのいいところ。人とのかかわりの中で、だんだんと自分という人間のことをおぼろげながらに理解していくのです。
このプロセスがとても明るく、けれど繊細に描かれていくさまが読んでいて気持ちがいい!
気づいたら主人公を応援してしまっているようなこの作品、『アレンとドラン』をぜひ一緒に追いかけてみませんか?
👉第一話をコミックDAYSで読めますよ!
映画も好きも追いかける
本記事は、2021年度4月にアルのライターとして加入した新人の皆様の最初の記事をGWに一挙公開する「Golden Rookie Week企画」の一本として掲載されています。ニューカマー達の活躍を今後も見守ってあげて下さい!