世界中に感染が拡大し、多大なる影響を及ぼしている新型コロナウイルス。今から16年も前に、この事態を予言しているかのようなマンガが描かれていたことをご存知ですか?それが外薗昌也先生の『エマージング』です。
未知のウイルスに戦慄する日本!
新宿駅前の路上で、サラリーマンの男性が突如全身から血を撒き散らしながら変死。奇妙に巨大化したその遺体は、まるで死後3日経ったかのように壊死していました。検死をした医師・主人公の小野寺と関口は、死因を致死性病原体による感染症だと推測。解析の結果、これは従来のどの型とも合致しない未知のウイルスであることが分かったのです。
突如、新型ウイルスに襲われた日本。ワクチンも治療法もないこのウイルスによって、日本はパニックに陥ります。果たして、ウイルスに対抗する術はあるのでしょうか…!?
『エマージング』を初めて読んだ時は、そのセンセーショナルな症状の描写に震えたものです…。もちろん、これはフィクションなので新型コロナウイルスの症状とは全く違います。しかし、いまの世の中になって『エマージング』を改めて読み直すと、「まるで予言!?」と思える凄い描写がたくさんあったのです。
予言1. 新型ウイルスの恐怖
当初は「エボラ出血熱では?」と思われていた作中のウイルス。検査の結果、従来のウイルスのどの型とも一致しないことが分かります。つまり、これはまったくの未知なるウイルス…!
「わからないんだよ!!どうやって感染するんだ?感染力は?潜伏期間は?初期症状は?効果的治療法はなんだ?すべてがわからない!!そしてこれから何が起きるのか…!!」
今回の新型コロナウイルスも、高熱を出す人、味覚異常になる人、無症状の人など一貫性がなく、どんな症状が出たら新型コロナだと疑えば良いのかすら分かりません。命がかかっているのに手探りで進むしかないこの感じが、『エマージング』にすでに描かれているのです。
予言2. 強権発動ができない日本
作中にはこんなシーンも出てきます。
研究員「どうする気なんです?強制隔離・交通遮断による封じ込め作戦の発動ですか?」 厚労省感染症対策課の課長「この自体に対処するマニュアルが日本には存在せんのですよ!!」
実際、緊急事態宣言が発動された2020年4月7日以降でも、国民に求められるのはあくまで強制力を伴わない活動の自粛に過ぎません。強権を発動して人の動きを止めることが出来ない我が国の法律の現状は、この作品で16年も前にこういう形で指摘されていたのです。
予言3.街の様子がリアルすぎる…!!
作品の中では、この新型ウイルスが空気感染するかもしれないという報道によって、人々はパニックに陥ります。
咳き込む人を見ては恐怖に顔をひきつらせ、ドラッグストアにはマスクを求める人が列を成す。人の集まる場所への外出、第三者との接触を避けるように訴えるテレビからの声ーー
あれ?自分でも、作中の描写を書いているのか、今の日本の現状を書いているのか分からなくなってきました…!それくらい、今のリアルな日常が作中で描かれているのです。
先生ご本人も落ち込まれてしまうほどの予言書っぷりを堪能しよう!
『エマージング』の予言書っぷりには、他でもない、外薗先生ご自身も戸惑っていらっしゃいます。
エマージングが批判されてるらしい
今起きてる事象を漫画化するのは不謹慎だと怒ってる人いるようだ
エマージングは16年前に書いた古い漫画です
酷似してるのは偶然です
お怒りをお鎮めください— 外薗昌也@鬼畜島 pumpkin night 臓物島連載中 (@hokazonomasaya) April 10, 2020
自分の描いた漫画がアニメ化されたり映画化されたりドラマ化されたり舞台化されたりするのって夢があるじゃないですか
でも自分の描いた漫画が現実に再現されるのって拷問ですね
これは何かの罰なの— 外薗昌也@鬼畜島 pumpkin night 臓物島連載中 (@hokazonomasaya) April 12, 2020
実写化ならぬ、まさかの「現実化」…。でも、こんな現実を16年も前に描かれていたのは本当に凄いの一言に尽きます。感染者の病状はかなりショッキングではあるのですが、それ以外は「おおお…まさに今日のことが描かれている…」と震えが来ること請け合い!作中では新型ウイルスに人類が打ち勝つことができたのでしょうか?ぜひ、ご一読下さい。
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