カクカゾク

カトウタカヒロ / 著

『カクカゾク』『ジンメン』の作者が贈る!家族が一丸となって戦う合体バトルロワイヤル

ジンメン』の作者、カトウタカヒロ先生の新連載『カクカゾク』は、隕石の衝突をきっかけに家族が一つの身体に融合し、他の合体家族と喰らい合うというサイコバトルロイヤルです。

2020年10月現在、サンデーうぇぶりで毎週月曜配信中なので、ぜひ読んでみてください!

隕石が落ちた夜

不良少年の(えにし)は、バイクに乗って友人たちと50年に一度のムレール流星群を見に来ていました。そこで友人の家族話を聞かされた縁は、一人その場を立ち去ります。

リストラされた父は酒乱になり、母は養父の介護で疲れ切り、姉は出会い系サイトにすがって家に帰らず、妹は引きこもり。血の繋がりがなくても仲が良かった縁の家族は、いつしか心がバラバラになっていたのです。

縁は、もう一度家族が一つになれたらと星に願いをかけます。その時、縁の自宅に隕石が直撃。縁の目が覚めた時には、家族と身体が融合して奇怪な姿に変わっていました。

縁の家族構成

縁から見た家族構成はこのようになっています。

祖父:痴呆が進み、物忘れが激しい。隕石が落下した際に地球外生命体となった。
父(大輔):リストラされてから酒浸りの自暴自棄に。
母(真由美):義父の介護に疲弊。
姉(凛):大輔の連れ子でスポーツ少女。家に帰りたくないために出会い系サイトを利用。
縁:密かに家族を気遣う。真由美の連れ子。
妹(紬 / つむぎ):引きこもり。大輔と真由美の子。

彼らはすでに人間じゃない

隕石によって一度破壊された縁たちの身体は、祖父の身体を乗っ取った地球外生命体によって再構築されました。記憶も見た目も本人のままで意識もありますが、すでに全員が地球外生命体の一部なのです。

彼らの身体は、血の繋がりをもつ者が合体することで圧倒的な力を発揮します。つまり、家族が一個体として融合することで圧倒的な力を手にするのです。

この生命体は同族を食べて生き伸びるのですが、それはつまり、融合した別の家族との戦わなければならないことを意味するのでした。

家族を繋ぐものはなにか

作中では、血の繋がりが家族合体と強力な力の基盤だと説明されています。しかし、縁の家族は両親二人と子供たち全員に血の繋がりがあるわけではありません。では、なぜ彼らは一つの個体になれるのでしょうか。家族を結び付けているのは、血の繋がり以外にもあるのかもしれません。

ルームシェアやシェアハウス、親友や幼なじみ、ご近所さん同士の家族みたいな付き合い方ってありますよね。でも血の繋がっている家族は、引っ越せば切れるような関係とは違って、長い間離れていても無関係とは言い切れません。

一つの個体になったのに、縁の一家がうまく意思統一して動けない姿には、家族の繋がりのありがたさと煩わしさの両方が表されているようです。

地球外生命体になってしまった彼らの姿から、個体のアイデンティティーは記憶にあるのか、姿にあるのか、あるいは個人の「想い」にあるのかということも考えさせられます。

切っても切れない家族の関係性や強さを、物理的に表したような作品です。ぜひ読んでみてください!

カタカナタイトルに注目!

カクカゾク(1) (サンデーうぇぶりコミックス)
カトウタカヒロ/著