スナックバス江

フォビドゥン澁川/著

既刊8巻

コマ投稿OK

「無駄な思考こそネタに活きる」『スナックバス江』フォビドゥン澁川先生インタビュー

マンガ好きから強く支持される、場末のスナックを舞台にした異色のギャグマンガ『スナックバス江』。

本作がコアな人気を持つ背景を探るため、作者のフォビドゥン澁川先生にインタビューしました。

北海道最大の繁華街すすきの――から5駅離れた北24条。この町の「スナックバス江」は、バス江ママと、チーママの明美さんの楽しいお店。彼女たちと珍妙な常連&一見さんが織りなす笑いで、あなたもきっと、いつしか笑顔。

記事に登場する人物

フォビドゥン澁川

北海道出身。『パープル式部』『てらほくん』を週刊ヤングジャンプにて連載。同誌2017年33号より『スナックバス江』連載開始。

片山 雄基

2018年集英社に入社。ヤングジャンプ編集部に配属。『スナックバス江』担当。

とにかく嫌われないキャラを作る

ーー今日はよろしくお願いします。『スナックバス江』はSNSで熱心なファンにたくさん感想を投稿されている印象があります。

そうなんですか?SNSでウケているという印象はあまりないですし、どうやったらウケるかもあまり考えていないですね…。

ーーそうなんですね。「このコマがいいこと言ってる!」という風に投稿されているのをよく見かけるんですが、絵やセリフが力強いコマが多いなと思っていました。

意識的にやっているわけではないんです。


単純にギャグマンガとして面白くなるように構成していった結果でしかなくて。


なんかいいことを言っている風というか、説得力のあるセリフを言わせたいシーンはあるんですが、あえて言うならちゃんと意味通りに伝わることを大切にしています。


そうじゃないとマンガとして成立しなくなっちゃうので。

ーーそうだったんですね。Twitterを見ていると、特に童貞キャラの森田なんかはコアな人気を持っているなと。

スナックバス江

森田が人気だっていう認識もあまりないですね。好かれるキャラなのかな、という…。


森田は童貞の代弁者ですが、『バス江』のキャラクターはみんな、読者からすれば下に見れるような要素を持っている。


その中でも森田はダントツで下に見れるから、応援しやすいのかもしれないです。

童貞を拗らせまくっているところへの親近感はあると思います。極端だけど、遠くないところにいるというか。

読んで過剰に気分を害するような内容にしたくないから、キャラ自体も完全に嫌なやつにならないように気を遣っています。


とにかく嫌われないように作る。嫌われるにしても、しょうがないよなっていう部分があるキャラにするというか。


基本的にみんな根っこは優しい性格で、つっこむにしてもお互いのキャラにとって愛のあるいじりとして成立しているかが大切という感じ。

ーーキャラクターを作るときって、どういう風に作るんですか?

多分どのキャラも、こういうキャラにしようと考えて作ってはいないんです。


キャラから作るのではなく、まずその回のネタを作って、そのために必要なキャラを作るという順番。


森田だったら、童貞ネタを描くならどういうキャラがいるといいかを考えた結果、たまたま森田というキャラができあがった。


そこから何回か登場させていくと、ギャグの展開や他のキャラクターとのやり取りでどういう言動をするかの積み重ねで、だんだん森田という人物が掘り下げられていくんです。

スナックバス江

ーー登場した時点ではキャラの人格がしっかり定まっている訳ではないというか。

前の話で森田が言っていたことと矛盾しないように話を展開させていくと、なんかこういう性格なのかな、前にこういうことを言ってたからこういうことも言うだろうなという風に固まっていく感じです。

ーーじゃあ、森田やタツ兄みたいなレギュラーのキャラって、最初からレギュラーとして出すと決まっていたわけじゃなかったんですか?

そうですね。あくまでその回でやりたいネタのために登場させてみて、動かしやすかったのでその後も出してみたという感じです。

ーーときどき出てくるちょい役のキャラも好きです。

スナックバス江

ちょい役のキャラが出てくる時は大体、山田とかタツ兄とか森田がする話じゃないなってときに用意する感じになる。


それで使いやすかったら別の回にも登場させるけど、最近はあまりないですね。

無駄なことを考えがちなだけかもしれない

ーーネタからキャラクターを作っていくということでしたが、ネタはどんな感じで出しているんですか?

友達や後輩と話すようなちょっとした雑談のネタから広げていくことが多いです。


自分自身で気になったことのなかで、みんなで共有できるようなテーマというか。


例えばスナックに行ったときに実際にどんな話をするのか考えると、生活の中でふとした気になったこととかを喋ると、共感してもらえるんじゃないかと。


そういうものがネタになります。

スナックバス江

ーー例えばどんなときにネタが思い浮かぶんでしょうか?

自分は結構ものを知らないというか、無知な人間という自覚があるんです。


最近で言うと、部屋を片付けていたときに壁紙ってどう掃除すればいいのか分からなかったんですよ。


それをみんなどうしているのか気になって後輩に聞いてみると、水拭きする派としない派がいたり、そもそも掃除しなくていい派もいる。


ネットで調べれば正しいやり方は分かるんですけど、人それぞれこだわりみたいなものがあって、それをこのキャラクターだったらどうかなと考えるんです。


あとは、そういう細かい派閥の違いで喧嘩になったとしたら、どんな喧嘩をするんだろうなとか。

きのこたけのこ戦争的な話ですよね。

スナックバス江

人によってやり方が違うのはもちろん、やたら詳しい人がいたり、そんなことしてるのかっていう変な人がいたりする。

ーーそういった人それぞれの考えや、考えの違う人同士の会話をギャグとして昇華させていく。

ギャグとして成立させるにはまた別で考えないといけないことがたくさんあるんですが、みんながどうしているのかを考えるだけでもパーツは揃ってきます。


マンガのことを考えているというよりは、無駄なことを考えがちなだけのかもしれない。


今まさに思っているのは、こうしてインタビューしてもらっていますが、これが終わった後に、今日はうまく喋れなかったなって反省が必ず生まれます。


人と話した後とかに、あのときこう言えばよかったじゃんとか結構出てくるタイプなんです。


そういうことを考えるのが、ネタの足がかりになります。

ーー週刊連載でギャグマンガを描いていると、毎週ネタを考えるのがものすごく大変だと思いますが、ネタが枯渇しないようにやっていることってありますか?

やっていることというか、無駄なことを考えがちだったり、いろいろなことに目移りしやすい性格なのが幸いしているだけだと思います。


何か趣味を始めようとしても長続きしないですぐ飽きちゃうんですが、それは浅く広くいろいろなことに興味を持てるということでもあります。


それがネタに活きるんです。ただ、別にマンガのためにそうしているわけではなくて、自分がそういう性格というだけです。

ーーなるほど。そうして生まれたネタを笑えるギャグとして成立させるためには、どういうったことをしているんでしょうか?

こうやっているというよりも、これをやったらダメということを考えている時間のほうが多いですね…。


あまりこういうことを言っちゃいけないよなって発言をキャラに言わせてしまっている自覚があるんですよ。


たとえば森田が登場する回は童貞いじりみたいな内容も多いけれど、童貞が悪者のように扱われて、童貞の人が読んで傷つくようなマンガになったらよくないなって考えている。

スナックバス江

ーーなるほど。

ギャグに関しては、プロットを作ってネームを切って、作画してという流れの中で、本当にこれでいいのだろうかと常に考え続けていますね。


毎週、今週は面白くなったぞと思って作画したことは一度もなかった気がします。


自分のマンガをそれほど信用していないんですよね。

2ページ目が描ければネタが成立する

ーー毎週、どんなペースでマンガを描いているんですか?

基本的にプロットを書いている時間が一番長いです。


最近は本当に申し訳ないくらい時間がかかっているんですが、大体4〜5日くらい。

ーープロットだけでそんなにかかるんですね…!

プロットの段階で絵も見えているので、プロットを確認してもらってからネームと原稿を仕上げるのは早いんです。


そもそも作画に時間かけてもしょうがないですから。


そこで勝負しても負けるだけなので、少しでもギャグを面白くすることをと考えたほうがまだマシというか。

ーーこのネタならいけるという判断は、どのように?

2ページ目の扉絵を描けるかどうかですね。


ネタごとに2ページ目をシミュレーションするんですが、そこでうまく引きを作れない話題はなかなか広がらない場合が多いんです。


そこで思っていたよりもいい話題じゃなかったなと気づく。

2ページ目で引きを作るのは『バス江』のテンプレの構成ですね。


ここが定まれば、キャラはいるわけだから膨らませていけますよね。

スナックバス江

やっぱり最初の2ページが一番気を遣いますね。改めて考えてみると、ただの出オチな気もしますが…。

ーープロットはどんな感じで書いているんですか?

誰が何を言って誰がどうリアクションして、というのが延々と並んでいる感じです。

例えば164話のプロットだと、いきなり「ちんこが来店する」と書いてあって、その後もちんこの取る行動が延々と書かれていたので衝撃を受けましたね。

スナックバス江

文章だけでうまく伝わるか気になって、プロットを送るときはいつも緊張します…。

ーー文字のほうが整理しやすいんですか?

作り方としても担当さんへの共有としても、文字で起こしたほうがやりやすいです。


話全体の構成を作り直すことも結構多いので、最初からネームでやっちゃうと大変なんですよ。


引き返せなくなるので、もったいない作業が増える。


例えばこのネタを早く出しすぎたから順番を入れ替えたいというとき、文章だと簡単だけどネームだとコマ割りが決まっちゃっているから難しい。

ーーなるほど。

さっき話したように2ページ目からネタを広げていくんですが、その回の落としどころが見つからないときに、2ページ目の引きのギャグを最後に持ってきたほうがちゃんと落ちることがよくあるんです。

ーーいつも読んでいてツッコミの言い回しや例えの精度がすごいなと思うんですが、あれは?

スナックバス江

読者へしっかり意図通りの意味が伝わらないと成立しないので、ちゃんと伝わるのかなというのはずっと考えていますね。


あとはキャラごとの意見みたいなものもあると思うので、話の展開に合ったキャラをちゃんと登場させるようにしたりとか。

ーーありがとうございます。最後に読者の方にメッセージをお願いします。

コミックスが8巻まで発売中なので、ぜひ読んでもらいたいです。あとはメディア化をぜひお待ちしています。


『スナックバス江』既刊全8巻が発売中!

スナックバス江 (全8巻) Kindle版

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