怪しい授業、開講
馬場大学の新入生・佐藤は気の弱い性格で、学生サークルに紛れたカルト団体に勧誘されそうになった所を同大学のティム・テロール教授に助けられたことをきっかけに、教授が教鞭を取る社会学ゼミを選択して新しい自分になろうと決意しました。
期待を胸に抱いた授業初日、突然テロール教授は佐藤達に向かってこう叫びます。
実は佐藤が教授に助けて貰った際、既に自身のゼミへの「勧誘」をされていた訳です。
佐藤同様に授業を選択した生徒達を「カルトに引っ掛かりやすいテロリスト予備軍」と見なして反テロリズム教育をするのが教授の目的でした。
万が一脱落者がいた場合は警察、大学、公安、米国大使館等のあらゆる機関にテロリストとして通報するという宣告までします。
我々は思考停止してないだろうか
強迫的な講義にも思えますが、授業内容はとても面白いです。
教授が一方的に講義の内容を話すだけの生徒が受動的になる授業ではなく、生徒達に質問を投げ掛ける能動的な授業スタイルとなっており、読者自身が授業に参加している感覚で読み進められます。(こちらの答えは是非本編で確認してみて下さい!)
「自分はテロリストの様なおかしな思考を持ち合わせていないのだからわかる訳がない!」と否定するだけで終わらせてしまうのは、思考停止していることと同じなのだと考えさせられます。
特に印象的であり、はっとさせられた授業は「自身の間違いを認められない結果が起こす暴挙」についてでした。
思考停止しないこと、間違いを認めることを繰り返していく事が「学問」であると教えてくれる作品です。
テロール教授の謎
熱弁を奮う教授ですが、作中の研究室である1枚の写真を見て俯く場面があります。周囲の人物の言葉から察するにテロに巻き込まれて喪った大事な人物の写真なのだろうと推測出来ます。
しかしその場にいた一人のアシスタントは彼の違う表情を知ります。
教授が反テロリズム教育を徹底する真意は一体何でしょうか?
目が離せません!
原作は『幼女戦記』でお馴染みのカルロ・ゼン先生、漫画は週刊誌モーニングにて『少年天谷』という作品でモーニングゼロ2018年1月期奨励賞を受賞した石田点先生が手掛けています。また、作品の監修をされている国際政治研究者である星村聡史先生のコラムも必見です!
(石田先生の受賞作『少年天谷』はwebサイトモアイで読めます。漫画好きに凄く刺さる感動作なので是非!)
こちらの作品はコマ投稿が可能ですので、是非気になったシーンを投稿して紹介してみてくださいね!