ディノサン

木下いたる / 著 藤原慎一 / 監修

『ディノサン』仕事は恐竜の飼育員!?現在によみがえった恐竜を飼育する理想と現実

実際の恐竜に触れてみたい! 子供のころにそんな願いを抱いたことのある人も沢山いるのではないでしょうか。2021年9月9日に第1巻が発売された『ディノサン』は、そんな願いを限りなくリアルなものとして体感させてくれる恐竜の飼育員を描いたマンガです!

現在によみがえった恐竜を飼育するお仕事

さかのぼること75年。人類未踏の地バラカン島にて恐竜の生き残りが発見されました。その後、繁殖や遺伝子操作を行うことで数や種類が爆発的に増え、恐竜は一般にも見られるようになり一大ブームが巻き起こります。

しかしある事故をきっかけにブームは下火になってしまい、現在では「恐竜はオワコン」なんて言われています。

そんな時代に、主人公須磨 すずめ(すま すずめ)が経営難の恐竜園「江の島ディノランド」に入社するところから物語は始まります。

ブームは下火ですから客入りは乏しく予算もほとんどありません。人手は慢性的に不足していますし、設備や建物の老朽化も進んでおり問題は山積み。それでも恐竜を見に訪れる子供たちへのイベント対応や、恐竜の飼育などやらなければならないことも満載なのです。

恐竜の魅力を伝え、今では大きく開いてしまった恐竜と人間の距離を埋めていきたい。そんな夢を抱いてすずめは恐竜園にきました。しかし実際に働きだしてみると理想と現実の間にも大きな距離が横たわっていたのでした。

思い通りにいかないことに打ちひしがれることもありながらも、すずめは前向きに業務に邁進していくのです!

飽くなきリアルさへのこだわり

もちろん現実には恐竜など存在しません。しかし高いハードルをクリアし、もしも恐竜が現在にいたら……という想定をどこまでもリアルに追及しているのが今作『ディノサン』なのです。

例えば、上のツイートに描かれているギガノトサウルスは全長13メートルにも及びます。小さな獲物などひと飲みにしてしまいそうですが、意外にも見たこともないエサはすぐには手を出さないなど、警戒心が強く繊細な様子が描かれます。

こちらに描かれているのは小型恐竜トロオドン。強靭なバネと鋭いカギ爪持っていますが、実は胸部や骨盤はもろく、押さえ込む際には細心の注意が必要だと描かれます。

このように作中に出てくる恐竜はどれもまるで本物の動物がそこに存在するかのようなディティールにあふれています。監修として名古屋大学博物館の講師である藤原慎一先生の協力をあおぎ、徹底的にリアリティを貫こうとしている木下いたる先生の知識と心意気のなせる技でしょう。

くわえて、作中では1話ごとに藤原慎一先生による「ディノラボ研究日誌」というコラムが寄せられています。マンガのなかでは描ききれなかった裏話や詳細などを披露することで、作中で行われたさまざまな出来事のリアリティを補強しています。

それだけではありません。ディノサン公式ツイッターアカウントの中では「#すずめの恐竜飼育日誌」というタグで、主人公すずめが飼育日記を投稿しています。

つぶかれているのはマンガのエピソードになるような大きな出来事ではなく、日々のちいさくて何気ないエピソード。その何気なく切りとられた日常の光景の数々は、本当にそこに恐竜園があり飼育員が存在しているかのように感じさせてくれます。

このように『ディノサン』では現実には居ないはずの恐竜が、あたかも存在するようにみせるために様々な試みが行われています。それだけ恐竜のリアリティに対するこだわりに溢れているのです。

恐竜がリアルであるからこそ、取り巻くエピソードにも説得力が生まれます。そのリアルさに感嘆するとともに、ストーリーからも目が離せなくなること間違いなしです!

子供と一緒に楽しめるこころみ

世の中には恐竜好きのお子さんをお持ちの方もいるでしょう。そんなお子さん一人でも楽しむことができるように『ディノサン』では全ページ漢字にフリガナが振ってあります! これなら小さいお子さんでも安心して読むことができるでしょう。

またコミックバンチwebのサイトから『ディノサン』のぬりえをダウンロードすることもできます。試し読みも同じページから読むことができます。

親子で一緒に『ディノサン』を読んで、物語の機微や恐竜の知識にふれ、ぬりえも楽しむ。家族みんなで恐竜にどっぷりと浸るのも良いのではないでしょうか!

ディノサン 1巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
木下いたる/著,藤原慎一/著