ブルーピリオド

山口つばさ / 著

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『ブルーピリオド』アニメ11話〜最終回レビュー!幾多の壁を乗り越えて…八虎の美大受験の結末は

主人公・矢口八虎の美大受験戦争を描いたアニメ『ブルーピリオド』。2021年10月から放送開始となった本作も、ついにこの12月で最終回を迎えることとなりました。

放送後にはSNSのトレンド入りも果たすなど、原作マンガ好きだけでなく大勢のアニメ好きの心にも強い印象を残した『ブルーピリオド』。前話10話のラストで窮地に陥った八虎の受験戦争の結果はいかに?長い彼らの戦いの結末を、原作ともその内容を比較しつつしっかりチェックしたいと思います!

前回までのレビューはこちら↓

第11話『2次試験開始』ギリギリで試験に臨む八虎…課されたテーマとは?

二次試験へと向かう中、突然原因不明の目の痛みに襲われ動けなくなった八虎。たまたまその場に居合わせた知人たちの力を借りつつ、なんとか会場には辿り着く事が出来ました。3日間の二次試験、出された課題は「ヌードモデル」。人間の裸というテーマはここ最近まさに八虎が直面した主題。自分の運の良さを喜びながらも、それをどう絵に落とし込むか八虎は悩み始めます。

ブルーピリオド

八虎の掲げたテーマは、先日の自身の経験を踏まえた「裸=ありのまま」。あまりにも普通すぎる、という不安を覚えつつ、同時にそれをどう絵で表現するかという点もかなりの悩み所。しかし体調不良の八虎の脳みそはうまく回らず、気づけば貴重な試験時間中にうっかり寝てしまうハメに。焦りを抱えつつも「人より遅いスタートは慣れている」と、八虎は奮起して絵画制作に取り掛かり始めたのでした。

二次試験初日、2日目の奮闘を描いた第11話。掲げたテーマをいかに表現するか、ということに悩む八虎の姿を描く今話は、原作マンガに比べるとよりそんな「八虎自身の余裕のなさ」にフォーカスを当てた作りともなっています。

ブルーピリオド

人間の裸がこれまでの美術史でどのような役割を果たしているか、絵を描く際の構図や画材についてなど、詳細な知識となる説明は話の根幹に関わるもの以外はなるべくカット。また同じく、「周囲のの人たちから見た八虎の姿」についても、原作から極力要素をカットしストーリーを八虎自身の視点のみに絞って展開していますね。

第12話『色づき始めた自分』二次試験終了、そして合格発表へ

二次試験という緊張の中、テーマと絵の表現を思い悩む八虎。最終話では佳境となるそんな試験終了までの八虎の奮闘と、その後の合格発表までが描かれました。自分が持ちうる全ての知識、技術、そしてこれまで様々な人との関わりの中で得た価値観。それらを全て動員した八虎が最後に辿り着いたのは、ヌードであるモデルに、裸でありのままのダサい自分を落とし込んだ絵画でした

ブルーピリオド

反省点こそあるものの、一先ずできる範囲の事はやりきった八虎。結果としてこの二次試験は、美大受験に取り組み始めた彼の2年間を総括するような内容ともなりました。そのおかげか、八虎は無事東京藝術大学へと合格。予想だにしていなかった「美大生としての生活」を、念願晴れて彼は無事勝ち取ることができたのでした。

八虎の厳しく充実した受験戦争のラストを飾った最終話。見どころはやはり彼の絵を描く原点ともなった思いや主題が、この12話全体を通して描かれた点。まさにこの『ブルーピリオド』という作品のフィナーレにも、相応しい話となっていることでしょう。

ブルーピリオド

ありのままの自分の感性を、彼が初めて曝け出した青い渋谷の絵。それを通して初めて人と会話ができた気がした八虎は、再び二次試験の絵の狙いを世田介にずばり指摘されたことで「自分の気持ちがちゃんと他人に伝わっている喜び」を感じます

絵を通して、誰かと会話をする。絵を通して、ありのままの情けない自分を曝け出す。理論や知識、上辺だけの笑顔で自分を偽っていた昔の八虎の姿は、もうそこにはありません。今回の美大受験を通して八虎が掴んだのは合格という事実だけでなく、「本当の自分」そのものでもあったのではないかと思います。

物語はまだまだ続く…今始まった八虎の美大生活はぜひ原作マンガでチェック!

無事藝大合格、という形でハッピーエンドを迎えたアニメ『ブルーピリオド』。しかし実はここで描かれたのはあくまで原作の『受験編』でしかなく、当然これから八虎には再び絵を、美術を通して自分や他人と向き合い続ける日々が待ち受けています。

受験時代とはまた異なる、新たなたくさんの壁にぶつかっていく八虎を始めとした美大生たち。アニメをきっかけに『ブルーピリオド』を知り、彼らのその先の物語も知りたい!と言う方はぜひ、現在11巻まで発売中の原作マンガも手に取って頂ければと思います!