ブルーピリオド

山口つばさ / 著

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『ブルーピリオド』アニメ第5~7話レビュー!八虎はいよいよ一次試験へ!

美術に青春を賭ける熱い文系スポコン作品、『ブルーピリオド』。主人公の八虎を始めとした登場人物たちの、文字通り人生を賭けた美大受験。その模様をアニメで追う事で、毎週多くの視聴者が心を熱くしています。

本気で美大受験の道を志し予備校通いを始めながら、正解のない美術の世界でもがき続ける主人公・矢口八虎。いよいよ本格的となってきた彼らの受験生活を描くアニメ5~7話を、今回もレビューしていきたいと思います♪

第5話『課題が見えてもどうしようもねえ』スランプと脱却…それを繰り返して

予備校もいよいよ本格的な受験シーズンに突入。元来の真面目さが足枷となり課題の表面的な部分にのみ囚われ、どんどんスランプへと陥いる八虎の葛藤とその脱却が描かれたのが、今回の第5話ともなっていますね。

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スランプ脱却の糸口を掴むために、受験とは別にF100号という大作への挑戦を試みた八虎。一度上手く向き合い損ねた「大事な物」というテーマの再考。そして何より、自分にとってのメンター・森先輩の今現在の作品と接する機会を持ったことで、八虎は受験課題や絵を描く事の本質に気付きます。

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それが見事反映されたF100号の大作は、結果として多くの人に絶賛される作品に。その勢いのまま波に乗ろうとした八虎ですが、再び彼の前には大きな壁が立ちはだかります。「好きなことをやるが故の苦しさ・苦悩」に打ちのめされる八虎。そんな彼の元に突然電話をかけてきたのは、予備校を辞めた世田介でした。

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八虎の受験生活にとって、大きなターニングポイントのひとつとなる本エピソード。アニメは彼の状況の波を描く事に特化し、マンガで描かれた細々とした描写はかなりカットされているのが今話の特徴です。また同時に、物語の随所に散りばめられるユカちゃんこと龍二の不穏な状況。アニメを視聴する人々にとっては、そちらも続きが気になる要素です。

第6話『メンブレ半端ないって』弱っていくメンタル…受験戦争は孤独な戦い

美大受験ならではの孤独と葛藤に打ちのめされる八虎。第6話ではその中で八虎が世田介、そして同じクラスの桑名マキと本心で関わる中で、自分自身にも、そして同時に彼らにも影響を与えていく場面が描かれました。

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世田介の天才的な美術センスに憧れ、同時に激しい嫉妬を抱く八虎。一方で世田介にとってもまた、美術以外にも多くの才能を持つ八虎は無視できない存在でもありました。人にあまり興味を持たない天才にとって、どんな形であれ自分が興味の対象であることに嬉しさを覚える矢虎。友人やライバルという言葉だけでは上手く表せない二人の関係は、アニメでも非常に臨場感を持って表現されていますね。

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また年が明け受験本番が差し迫る中、八虎のみならず周囲の受験生たちのメンタルが消耗していく様も描かれる今回。予備校で最も合格に近いと思われている優等生・桑名マキも、例に漏れず受験の孤独と戦う一人でもありました。昨年首席で合格した姉への劣等感と一人戦うマキ。そんな彼女の心を、八虎の思わぬ一言が少しだけ救うシーンも本作では見受けられます。

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原作との大きな違いとしては八虎の武器となる画材についてや構図の話など、専門的な話が今話では大きくカットされている点。第1話のレビュー時にも解説した理由と同時に、より登場人物たちの心情を際立たせるために。これらの専門的要素をカットしているのではないか、という推測も、ここまでのアニメの展開から考えられるように思います。

第7話『1次試験開始』ついに受験戦争は佳境へ!原点に立ち返り、いざ試験へ

いよいよ試験本番まで残り1週間。第7話では大詰めを迎える受験生活の中、様々なキャラクターたちの受験、そして高校生活のその先が徐々に描かれ始めます。藝大受験まで残り僅か。その中で再びメンタルがどん底まで落ちてしまった八虎を救ってくれたのは、やはり彼にとって大きな存在である先生や友人たちでした。

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メンタルが不安定な受験直前に「楽しむ力が足りない」ことを指摘され、再び思考がぐるぐると落ち込んでしまう八虎。その中で絵を描き始めた頃の自分の作品や、自分の行動に影響され、同じように勇気を持って将来への一歩を踏み出した友人との会話で、「絵を描くことを楽しむ」という原点に立ち返ることができたのです。

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今話のポイントは、やはり八虎と友人・恋ちゃんの互いの本心を打ち明け合ったラーメン屋のシーンでしょうか。原作での八虎の胸中での表現がカットされた一方で、恋ちゃんの真剣な表情の際のコメディタッチもカットされ、二人のやり取りに対する真剣さがほどよい温度感で表現されています。

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試験直前の大事なタイミングで、様々な人との関わりや繋がりで「絵を描く事」に一番大事なものを八虎は取り戻しました。迎えた一次試験当日。出されたシンプルな課題を楽しもうと意気込む八虎。一方で試験開始直後にキャンバスに大きなバツを付け、颯爽と会場を後にした龍二という衝撃的なシーンで、物語は次回へ続くことになります。

受験戦争もついに佳境!八虎たち受験生は、試験をどう乗り越えるのか!?

いよいよ一次試験を迎え、八虎たちの美大受験生活もクライマックスへ突入。試験当日の八虎の運命は、そして待ち受ける二次試験へとどう向き合うのか。見ていて誰しもが熱くなる美大受験ストーリーは、やっぱり最後まで目が離せません!

ブルーピリオド
山口つばさ/著