「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と鉄血宰相ビスマルクは言ったとか。諸説あるようですが、「歴史を知ることは役に立つ」ということに異論はないのではないでしょうか。
世界史全然わからんかった…そんなあなた!イタリア在住で『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ先生が案内人だとしたら、踏み出せると思いませんか?風呂好きの変人と2000年前のローマ帝国を探ってみましょう!
プロセッコですが、16世紀初め、一部の学者たちはこのワインこそ大プリニウスが「博物誌」の中で”プチーノ”と称し、若さの媚薬とたたえたものではないかと推定したそうです。というわけで、我らがプリニウス大先生ともご縁のある発泡酒なのでした。 pic.twitter.com/C8rGhfw22y— ヤマザキマリ( Mari Yamazaki ) 公式 情報用アカウント (@THERMARI1) July 24, 2019
15年ぶりのコニンブリガ。ローマ属州のこの小都市についてはプリニウスも「ヴォルガ川下流には部落ではなく都市が既にあった」と記述しているように、このあたりには古くから(ケルト人たちの)そこそこの人口で組織化された文明社会があったことが当時も知られていた模様(や) pic.twitter.com/RIqkjjy1Ta— ヤマザキマリ( Mari Yamazaki ) 公式 情報用アカウント (@THERMARI1) July 16, 2019
プリニウスとは?
「どうしても、この男が描きたかった」とヤマザキマリ先生に言わせる男、プリニウスは西暦23~79年に生きた史上最も有名な博物学者です。ローマ帝国の属州総督を務め各地を旅しながら、並外れた好奇心で、天文・地理、動植物の生態、絵画・彫刻など、森羅万象を網羅した百科全書『博物誌』を書き遺します(火山が噴火したら、逃げるよりも観察のために近寄るタイプ)。ヨーロッパで『博物誌』は後世の知識人たちにさまざまな影響を与えたと言われます。
ヤマザキマリ先生と共著のとり・みき先生の対談では「好奇心やバイタリティが凄い。愛すべき変人」と日本の博物学者 南方熊楠との共通点を挙げています。ちなみにこの時代のローマ皇帝は悪名高き暴君ネロ(ヤマザキ先生は彼とスティーブ・ジョブズを比較)。非常に困った主君のもと、好奇心たっぷりの変人プリニウスはどのように生きていくのでしょうか?
史実と創作が混じりあうオリジナルストーリー
プリニウスについての資料は、十分には残っていないんだそう。そこは作者たちの腕の見せ所。人物、場所、ネロのエピソード、「ローマの大火」など出来事といった史実を驚きとユーモアを交えた創作で繋いでいきます。マンガ『プリニウス』を読んだ後に、Wikipediaなどの別資料を目にすると、「この人知ってる」「そう解釈したのね」と発見があってとても面白いので比較もぜひ。
マンガ巧者のコラボレーションに酔いしれよう!
『プリニウス』は、累計発行部数800万部を突破し映画化された『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ先生と、第42回文藝春秋漫画賞受賞の『遠くへいきたい』などを生み出し理系ギャグSFマンガ家としてカルト的人気を集めるとり・みき先生の共著です。ヤマザキ先生がネームと人物画、とり先生が背景・仕上げを担当し、ヤマザキ先生のネームをとり・みき先生が編集者のようにブラッシュアップしながら作品を作っていくんだとか。
プリニウスの『博物誌』には半人半魚やペラペラの人など、架空の生き物が登場します。この異形の造形、そしてイタリア人も驚いたという精緻で美しい背景はとり・みき先生ならでは。原作者とマンガ家の共作は時々みかけますが、マンガ家同士のコラボはなかなかないのでは?ジャズのフリースタイルのような「とりマリ」セッションを楽しめるのは『プリニウス』だけ!
『プリニウス』サイト