リボーンの棋士

鍋倉夫著

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人は何度でも立ち上がる。『リボーンの棋士』 人生に「挫折」はあっても「終わり」は無い!

私は数多くのマンガの中で、主人公が何らかのプロを目指し、努力の末プロになる姿を何度も見届けてきた。

その様子に感動すると同時に

「主人公と同じようにプロを目指し努力をしても尚プロになれなかった人達は、この後どうするんだろうか?」

という疑問を長いこと抱き続けていた。

正にこの物語の主人公・安住は「プロになれなかった」人物である。

「終わってしまった人生」から始まる物語

リボーンの棋士
鍋倉夫/著

リボーンの棋士(1) (ビッグコミックス)
鍋倉夫/著

安住は奨励会員(プロ棋士を目指す機関の会員)だったが、年齢制限の26歳までにプロになれず奨励会を後にした。

30歳・アルバイト店員。それが現在の彼の肩書。

プロになれなかった自身と折り合いをつけ、常に笑顔で仕事をこなす日々を過ごしていた。

リボーンの棋士

26歳の同僚女性・森が安住に役者になりたいと言った時、

「焦るのはいいけど、悲観的になることないです。」

「本当に好きで 好きで 好きで 好きで やり続けたら、成れるんじゃないかな。」

挫折した過去の自分にそう言い聞かせているようにも思える安住の言葉は、彼女が26歳という自身の挫折を味わった年齢故の投影なのかもしれない。

リボーンの棋士

このシーンの後、文字通り「過去の自分」と対話するシーンが登場する。

リボーンの棋士

対話を通し改めて将棋と向き合うことを決めた安住の物語が「アマチュアからプロ棋士を目指す主人公」として再びここから始まった。

ここまで読んでようやくタイトルの『リボーンの棋士』の意味が分かると同時に、安住の復活劇から目が離せなくなる。

将棋に詳しくない人が読んでも、この第一話で夢中になる事間違いなしだ。

将棋を通した様々な出会い

再び将棋を介し安住は人と出会い、そして人もまた安住と出会う。

安住と同期で同じくプロになれなかった、土屋

リボーンの棋士

奨励会の入会を親の意向で断念したアマチュア最強の社会人、片桐

リボーンの棋士

研究会の仲間達

リボーンの棋士

そして、かつての恩師

リボーンの棋士


2020年1月30日現在、スピリッツ本誌上では安住と恩師の師弟対決が描かれている。

将棋界では師匠に弟子が勝つことを「恩返し」と呼ぶが、果たしてこの一局は安住の「恩返し」となるだろうか。

勝負の行く末が気になる人にはスピリッツ本誌を追いかけて欲しい。

現実のリボーンの棋士達

ここで実際にアマチュアからプロ編入に現在挑戦中の方々について紹介したい。

鈴木肇さん

本作『リボーンの棋士』の棋譜監修をされているアマチュア名人。

安住と同様に元奨励会員であり年齢制限の壁でプロの道を一度断念しているが今も挑戦中だ。

そんな鈴木さんの過去と現在の様子を文春オンラインの記事で読むことが出来る。

この記事を読むことでより一層、安住ら登場人物の心情に近付けるのではないだろうか。

折田翔吾さん

「アゲアゲ棋士」という名前でYouTuberとして活躍されていて、『リボーンの棋士』と同じくアマチュアからプロ棋士を目指す主人公を描いた作品『将棋指す獣』にてインタビューを受けている。

折田さんは、棋士編入試験5番勝負の3回戦を終えた段階で2勝1敗。あと1勝すればプロ入りに王手となる。

次の勝負は2020年2月25日。注目の一局だ。

誰でもいつだってリボーンの棋士になれる

志半ばで挫折した経験は誰にでもあるが、自身が一番大事だと思うものを手放さずにいたら何かに「成る」もしれない。

もし『リボーンの棋士』を読んで諦めていたものにまだ情熱を感じられたのならば、是非再び一歩踏み出してみよう。

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