ロスト・ラッド・ロンドン

シマ・シンヤ / 著

『ロスト・ラッド・ロンドン』完結!衝撃の結末をキミは目にしたか?

2021年1月12日に1,2巻同時発売され、高い注目を集めてきたクライムサスペンス、『ロスト・ラッド・ロンドン』の最終第3巻が2021年6月11日に発売され遂に完結を果たしました。

物語を振りかえり、ネタバレにならない範囲で作品全体の魅力を伝えていきたいと思います!

ロンドン市長殺しの容疑者は主人公

ロンドン市長が地下鉄で何者かに殺害され、その容疑をかけられてしまったのが主人公アル。この殺人事件の捜査にあたり、アルのもとに事情を聞きにきた警察官がもう一人の主人公であるエリスです。二人は直観的に互いを信頼し、真犯人を探すために共闘していきます。

事件を探っていくうちに、アルは自分の出自に秘密があることを知ります。そして自分が偶然容疑者になったのではなく、何者かによって意図的におとしいれられたことに気がつくのです。

第1容疑者として目されているアルは、警察に取り調べをされ、家宅捜索もされます。決定的な証拠こそ見つからなかったものの、アルを逮捕しようという流れは止まらず、時間の問題です。

二人が真犯人にたどり着くのが先か、間にあわずに逮捕されてしまうのが先か。注目の結末が最終巻で描かれていきます。

『ロスト・ラッド・ロンドン』の3つの魅力

ロスト・ラッド・ロンドン』は数々の魅力にあふれています。その中から特筆すべき3つの魅力を紹介していこうと思います。

1. 手に汗にぎるクライムサスペンス

物語冒頭からアルは殺人の容疑をかけられ、警察がアルを逮捕する前に、なんとかして真犯人を見つけださなければなりません。そんな追いかけっこのような構図が、物語を通した強い緊張感になっています。早く真犯人を探し出したいと焦るアルの気持ちに、読み手の心も自然ととらえられていくのです。

2.事件の推移とともに救済されていくキャラクター

エリスは最初に登場した時から、顔には絆創膏、右手に松葉づえ、左手はギブスという満身創痍のいでたちです。そんな全身のケガは、過去に防ぐことができなかったえん罪に対する後悔のメタファーでもあります。

エリスは真犯人の捜査をとおして、人種も年齢も考えかたも違うアルと多くの時間をすごすことになります。そして同じ空間を共有することで、次第に強い信頼関係が築かれていくのです。その結果、ケガが治っていくのと並行して、トラウマだった過去の後悔も少しずつ癒されていきます

徐々に救済されていくキャラクターの姿に、読者は物語のもう一つの解決を見ることができるのです。この二重の構造に満足度はうなぎのぼりです。

3.独創的なデザインのすばらしさ

ロスト・ラッド・ロンドン』はキャラクターも背景も、日本のマンガというよりもアメコミのようなタッチで描かれています。舞台はロンドンであり、そのタッチが異国情緒を一層強くかきたてます。

単行本の装丁も、上下に均一な質感で塗分けられた背景にキャラクターたちがたたずんでおり、まるで1枚のポップアートのようにスタイリッシュです。思わず本棚に置いておきたくなるような魅力にあふれているのです。

読み切りや新連載の開始も決定済み

シマ・シンヤ先生は、すでに「月刊コミックビーム」2021年8月号から新作「グリッチ」の連載が始まって追います。

また2021年6月18日発売の「ウルトラジャンプ」7月号に特別読切として『宇宙の真ん中の隣』が掲載。

出版社の垣根を越えて引きあいが来ていることが見てとれます。今後も、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのシマ・シンヤ先生の作品から目が離せません!

ロスト・ラッド・ロンドン (全3巻) Kindle版