十億のアレ。~吉原いちの花魁~

宇月あい / 著

『十億のアレ。~吉原いちの花魁~』現代版吉原遊郭で成り上がれ!男嫌い少女の奮闘記

青年WEBコミック『ズズズキュン!』にて連載中の宇月あい先生による『十億のアレ。~吉原いちの花魁~』。2021年の「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞」で大賞を獲得するなど話題となっている本作は、現代版吉原に売られた1人の少女の奮闘記です。

義理の両親に、借金の肩代わりとして現代版吉原遊郭へと売られた主人公・明日風。すれ違う人が皆思わず見とれるほどの美少女である彼女は、なんと大の男嫌い。しかしそんな彼女に付いた値段はなんと十億。まさに鳴り物入りで始まった彼女の花魁生活を描いた、そんな作品となっています。

現代版吉原遊郭はどんなところ?

これまでにも、数々のマンガや作品で舞台となってきた吉原遊郭。『銀魂』や『鬼滅の刃』を始めとした少年マンガにも登場する、昔存在していた風俗街として多くの人が知る場所ではないでしょうか。

そこでいわゆる春を売る女性たち・花魁。単純に身体を売るだけでなく、一晩で数百万、数千万の大金を男に出させるほどの女性として、高い知性や教養が必要となる仕事でもあります。マンガ好きな人々にとっては、『さくらん』や『青楼オペラ』などでもお馴染みの職業ですね。

実際の世界では現在は吉原遊郭という場所はありません。本作の現代版吉原はいわばある種の芸能界のようなもの。日々テレビやメディアに登場する女優や女性タレントが、夜はこの吉原遊郭の街で花魁としても大勢を魅了している、というユニークな設定です。そんな吉原遊郭の本質を一切知らず、「芸能界のような所」というざっくりとした説明で売られてきてしまった少女。それが主人公の明日風なのです。

ライトかつカジュアルな花魁物語がポイント!

場所の性質上どうしても性的なイメージや暗い過去の話が付きまといやすい遊郭ですが、本作の魅力はそんな遊郭での物語を非常にライトに、かつカジュアルに描いている点です。

芸能界のような華やかさや、カラっとした明るい雰囲気が全体的に漂うこの作品。花魁として登場する女の子たちも、ここに売られてきた過去や他に行くあてがないこと等々ネガティブなエピソードももちろんあります。しかしそれらの後ろ向きなこと以上に、この現代吉原遊郭でいかに売れて芸能界への切符を手にするか、あるいは未来に向けて自分のやりたい事を叶えていくか。そういったポジティブさを垣間見せるエピソードが多いのも特徴かもしれません。

主人公・明日風を始めとしたパワフルなキャラにも注目!

また物語に登場するキャラクター達も、基本的には明るくパワフルな面々ばかり。特に主人公の明日風は、十億で売られた親を見返したいという原動力で花魁への道を決めたり、男に媚びたくない、色目を使ってくる男が嫌い!といった形で、自分の意志をはっきり表示している少女です。

ですがそんな彼女の固い男嫌いの意志とは裏腹に、幸か不幸か「簡単に男に靡かない気位の高い美少女」は、ここ吉原遊郭に通う男たちにとってはある意味非常にウケの良いものでもありました。彼女に桁の違う高額な値段が付けられたのも、もしかしたらそういった要素も加味されていたのかもしれません。

十億の少女は無事吉原を張る花魁となれるのか?

吉原遊郭で花魁としての道を歩むと腹を括った明日風。彼女の奮闘記が今後どのように展開していくのか、ぜひその目で確かめて頂ければと思います!

相手の心を奪うのは、何?

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