学校へ行けない僕と9人の先生

棚園 正一

「普通」という言葉がひっかかる親子へのメッセージ『学校に行きたくない君へ』Webサービスで新連載スタート!

「学校へ行きたくない」2019年度の調査結果では全国に約23万人の不登校の子どもたちがいると言われています。学童期のお子さんが身近にいない方にとっても、社会問題の一部であるこの課題を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

本記事では、不登校の体験談をマンガにした棚園正一先生の新連載『学校に行きたくない君へ』について深堀してみたいと思います!

不登校を経験した人たちの「自分の生き方」を伝えるエピソード集『学校に行きたくない君へ』

『学校に行きたくない君へ』は、ご自身の不登校の経験をマンガにした『学校へ行けない僕と9人の先生』『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』の著者である棚園正一先生が伝える、不登校を経験した著名人・一般の方のエピソードを綴る新連載です。

スローニュース」というWebサービスで2021年8月6日から連載が始まりました。

不登校になると、子どもは学校に行けない自分を責め、親もまた周りの目を気にしすぎてしまい、親子で悩み、ときには傷つけあってしまいます。このマンガは、不登校を経験した方たちが、どのように「不登校」を乗り越え「自分の生き方」を見つけたのか、彼ら彼女らの経験とメッセージを1回読み切りで読める作品となっています。

今後マンガで描かれるエピソードには日本を代表する演出家である宮本亞門(みやもと・あもん)さん、武道家、作家そして思想家といういくつもの顔を持つ内田樹(うちだ・たつる)さんの不登校体験談が掲載される予定です。

▼2021年8月に公開された第一話はこちら

「普通」とはなんだろう?

学校へ行けない僕と9人の先生』で語られた棚園正一先生のエピソードで印象に残る、「普通」という言葉があります。

小学生の棚橋少年(作中では棚橋正知くん)は、自分が「普通じゃない」と、いつも呪文のように唱えています。それは自分に言い聞かせるように、「普通じゃない」と言うことで自分を守っているかのように何度も何度も。

学校へ行くのは「フツウ」のことなんだ 今までボクを「とくべつ」にした人たちの顔をつぎつぎと思いだした 少しづつみんなと「いっしょ」になれている気がした

引用元:『学校へ行けない僕と9人の先生』

彼は「普通」じゃなかったから学校に行けなかったのだろうか。作品の中で語られる棚橋少年はどこにでもいそうな普通の小学生です。でも学校に行っていないことは「とくべつ」なことで「フツウ」じゃない。学校に行っていない行為だけをみて、その人を「普通じゃない」と特別扱いしている現実がそこにあることに気づかされます。

Webサービス「スローニュース」でのチャレンジ

『学校に行きたくない君へ』が連載されている、「SlowNews」(スローニュース)は、ノンフィクションに特化したサブスクリプション型Webサービスで2021年2月にサービスが開始されました。

「ジャーナリズムやノンフィクションをもっと自由に楽しもう」を合言葉にノンフィクションの傑作や話題の本、国内外の長編記事など厳選したコンテンツが定額で読めるWebサービスとして始まったスローニュース。本作品はマンガ作品への制作支援第一号として連載が開始されました。

「不登校」の経験や、「学校に行かない選択」をするに至った経緯を綴った情報が増える一方で、どこまでが真実でどこから脚色なのか分からない情報もたくさんあります。

著名人だけでなく、身近にいそうな一般の方の体験を綴ったノンフィクションを、今まさに不登校に悩む親子は求めているのではないかなと思います。

正しい一次情報と共に、表面化しにくい社会問題を取り上げるスローニュースが手掛けるマンガ作品が今後も増えてほしいと思います。