私達はコンビニやレストラン、家での自炊等で美味しいご飯を食べることが出来ます。しかし、慣れない土地では必ず口に合う食事を摂れるとは限りませんし、その場所が宇宙であれば尚更です。
『宇宙(そら)めし!』では食べられる物が限られた宇宙へ、美味しい食事を届けたいと奮闘する青年の姿が描かれています。
誰もが行ける宇宙を目指す青年・久世晴可
宇宙飛行士を目指すも身長制限により諦めていた主人公・久世晴可(くぜはるか)。
「誰もが行ける宇宙」を目指して一緒に働きませんか?と書かれた求人のキャッチコピーに惹かれJAXAの入社試験に臨んだ晴可は無事に合格。
どの部署に行っても宇宙に行ける仕事をすると意気込んだ彼が配属された部署は、宇宙食開発グループでした。
研修でISS(国際宇宙ステーション)に滞在中の宇宙飛行士に自分が考えた宇宙食の献立を評価してもらう機会に、晴可はもし自分が宇宙に滞在したらどんなご飯を食べたいかと考え、お弁当を提案します。
現在の技術や事情でお弁当箱の容器での食事は難しいけど可能性を感じるアイディアだと回答を貰い、いつか宇宙飛行士達の食べたい物が詰まったお弁当を宇宙に届けられる様になりたいと希望を持ちました。
「からあげクン」や「柿の種」を宇宙へ
作品の中では、私達がよく口にするローソンのホットスナック「からあげクン」や亀田製菓の「柿の種」が登場します。
🐓<からあげクン、ついにJAXA宇宙日本食に!
厳しい基準をクリアするため、ローソンさんが改良を重ねてきた「スペースからあげクン」が先日、宇宙日本食の認証を受けたそうです🚀
からあげクン、宇宙食に!!JAXA宇宙日本食に認定されました!|ローソン研究所 https://t.co/amGOUII51p— JAXA新事業促進部 (@jaxabiz) June 11, 2020
また、宇宙食としての「からあげクン」を作る際に開発製造担当の本郷とのすれ違いや、「柿の種」の対応パッケージに試行錯誤する場面があり、一種類の宇宙食を開発するまでの膨大な時間、コストが掛かる現実的な側面もしっかりと伝えており、宇宙食をより身近な物に感じさせてくれます。
更に一歩踏み出した宇宙食を考える
JAXAに入社し1年が経った晴可。
ある日、新プロジェクト「J-SPARK」という民間人や民間企業と更に宇宙開発に携わる計画の話を聞かされ、民間と共に宇宙食や災害食を開発する企画を考えます。
その第一歩としてANAにクロスアポイントメント(研究者が2つ以上の機関に雇用されながらそれぞれの機関で研究開発をおこなうこと)として出向することに。
ANAで一体どんな宇宙食が生まれるか、今から楽しみです!
食事をする大事さ
宇宙食の開発はそう簡単なものではないことが作品を読んでいて伝わりました。
もしかすると、そこまで力を入れる事業ではないのでは?と疑問に思うかもしれません。
けれど宇宙でも美味しい食事を摂るということは大事なことだと思います。
筆者が東日本大震災で被災した際、避難所で配られたのがおにぎりと笹かまぼこという地元仙台の名物でした。私はその見慣れた食事を見た時、緊張していた気持ちが和らいだことを記憶しています。
見慣れた食事があることで、宇宙飛行士達もほっとするかもしれません。宇宙という地球から離れた空間で働く人達が元気になるご飯が1つでも増えて欲しいと思える作品です。