宇宙兄弟

小山宙哉著

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夢への挑み方を教えてくれるマンガ「宇宙兄弟」

「宇宙兄弟」は、現在進行形で夢を追っているあなた、夢を諦めてしまったあなた、夢なんて見てないで現実を見るべきだと思っているあなたに、読んでほしい作品です。あなたがまだ「宇宙兄弟」を読んだことがないというなら、とても幸運なことと言えるでしょう。なぜならこのマンガは、記憶を消して何度でも読みたいレベルの面白さだからです。

小山宙哉/著
宇宙兄弟

「宇宙兄弟」というマンガは、右肩上がりで面白くなっていく作品で、常に最新刊が面白さのピークです。読んでいる最中は何度も心が揺さぶられ、心と体が熱くなります。自分の中にある忘れかけていた何かを思い出させてくれる、そんなマンガです。

あらすじ

えんどう

”兄”とは常に弟の先を行ってなければならない

「俺らは二人で宇宙飛行士になるぞ」

少年時代、夜空を眺めながら約束を交わした、兄ムッタと弟ヒビト。大人になり、弟は宇宙飛行士になるという夢を叶え、月面の長期滞在クルーの一員にまでなっていたが、一方の兄は会社をクビになり、無職になってしまう。そんな兄に弟から一通のメールが届く。幼い頃の約束を思い出したムッタは、再び「宇宙に行く」という夢に挑み始める。

宇宙兄弟(1) (モーニングコミックス)
小山宙哉/著

大きな夢のために小さな挑戦をし続ける主人公

えんどう

大きな夢も細分化してみると、叶えられそうな気がする最高の名言。


作中に登場するブライアンという宇宙飛行士の言葉に、こんなものがあります。

「人の人生にはいくつもの”夢のドア”がある。人は...例えば「宇宙へ行く」みたいな大きな夢を持った時、目の前に現れたバカでかいドアに畏縮して、向こう側へ行くことを諦めちまう。(中略)本当ははじめからそんな”バカでかいドア”なんてものはない。小さなドアがいっぱいあるだけだ。(中略)手探りでも何でもいい、意地でも次のドアに手を伸ばし続けることだ。そんなことしてる間に、気づいたら宇宙遊泳とかしてるかもよ?」

「宇宙兄弟」というマンガは、まさにこの言葉を体現している作品で、ムッタとヒビトたちが、小さなドアを1つずつ開けていく物語です。「宇宙兄弟」という作品だけあって、宇宙にまつわる物語であり、兄弟の物語でもあるのですが、見た目・性格・立場など二人は全く対照的で、この違いが物語をとても面白いものにしてくれています。

  • 南波六太(兄)

えんどう

劣等感がすごい…

会社をクビになり、実家でアルバイトをしつつ就職活動もしている、髪の毛がモジャモジャな本作の主人公。「”兄”とは常に弟の先を行ってなければならない」がモットーだが、優秀な弟と比較ばかりしてしまい、ネガティブで神経質な性格。宇宙飛行士選抜試験では「南波日々人のお兄ちゃん」としか周り認知されないが、徐々に実力が発揮されて周りに認められていく姿は痛快です。

  • 南波日々人(弟)

えんどう

世の中に「絶対」はないけど、俺の中にはあるという根拠の無い自信が良い。

アメリカに住む宇宙飛行士で、髪型はツンツン頭の本作のもう一人の主人公。大雑把な性格で、小さい頃はムッタよりもテストの点数は悪かったが、ムッタが友達と遊んでいる間でも一人努力を続け、宇宙飛行士になるという夢を叶えます。ヒビトは自分の中に”絶対”を持っていて、「絶対宇宙飛行士になって、絶対月に行く」と信じ続けている姿は、夢を叶えるために必要なことを教えてくれます。

主人公を支える強烈な個性の登場人物

「宇宙兄弟」の魅力として、ストーリーの面白さはもちろんなのですが、キャラクターの設定が非常に細かく、どの登場人物にもきちんとスポットライトが当たっていて、色々なキャラクターに感情移入してしまいます。

  • 金子シャロン

よねし

シャロンは名言の宝庫。

ムッタたちのマンションの近所に住んでいる天文学者。ムッタとヒビトの第三の親のような存在で、宇宙飛行士になるために二人に英語などを教えていました。ムッタは宇宙飛行士選抜試験でも、決断に迷った時はシャロンの言葉を思い出して、それを実行に移すほど、ムッタやヒビトにとってシャロンは非常に大きな存在です。

  • 伊東せりか

えんどう

ああっ!!

本作のヒロイン的な存在で、ムッタが密かに好意を寄せる人物。幼少期に父をALSという難病で亡くし、その経験から医師になりました。その後、無重力環境である国際宇宙ステーション(ISS)で、ALSの新薬の研究を希望し、宇宙飛行士を志しています。大食いキャラで、お腹がなるのを恥ずかしがったり、午前中はランチの時間を常に気にしてしまったりと、とても可愛らしく癒しキャラでもあります。

  • 真壁ケンジ

えんどう

なんで前髪垂らすんだろ…

宇宙飛行士選抜試験でムッタと出会って以来、ムッタの唯一無二の親友。宇宙のことを調べ尽くしたが、ネットや本ではわからない宇宙のことを自らで体験するために、宇宙飛行士を志しています。ケンジは所帯を持っているため、無職で独身のムッタとは背負っているものが違い、ムッタとは親友であると同時に、いいプレッシャーを与える好敵手です。

  • ブライアン・J

えんどう

親父のような 兄貴のような あるいは友人のような 大先輩

ヒビトやその他の宇宙飛行士が憧れる偉大な宇宙飛行士。月面ミッション後の、帰還船のパラシュートが開かずに亡くなってしまうが、没後でも多くの宇宙飛行士に尊敬され続けています。ブライアンは登場するたびに、「生きやすくなるコツ」みたいなものを教えてくれるので、読んでいれば何かしら得られるものがあるかと思います。

小さなことをコツコツと

本作は、主人公たちが「宇宙に行く」という、ドでかい夢を叶えていく物語ではありますが、ブライアンの言葉にもある通り、主人公たちはその夢のために、小さなことをコツコツとクリアしていっているだけです。この記事を読んでいるあなたも何かしらの夢や、やりたいことがあるかと思います。


一見途方もない道のりかもしれませんが、目標を達成するためにすべきことの解像度を上げると、今やるべきことはそこまで壮大ではない、ということに気づくはずです。こうした気づきを「宇宙兄弟」は教えてくれます。もちろん一作品としても完成度が非常に高いマンガです。おそらく5巻くらいで面白さが体感できると思うので、読んだことのない方は、ぜひ手にとってみてください。

【編集部から】えんどうさん、ご応募ありがとうございました。千里の道も一歩から、小さな努力の積み重ねこそが大きな夢を叶える最善手なのだと改めて実感しています。宇宙は果てしなく遠いからと諦める前に、夢を抱くのは大事ですよね。夢は見なければ叶いませんから!新しい夢、新しい記事、また是非お待ちしています!