今回紹介させていただく、ユニ先生の『憎らしいほど愛してる』は、自分にとって初めて単行本で読んだ百合作品です。
※「百合」は女性同士の恋愛を描いたジャンルです。
これだけ百合が流行っている中で今まで読む機会が無かったのは、百合は神々しいものある、という先入観と偏見が自分の中にあったからです。
しかし実際に読むと、等身大の悩みや苦しみ、そして誰かを好きになることの素晴らしさが描かれていました。美しいだけではない百合の魅力を知ることができたので、この作品は初心者にオススメだ!と感じ、今回レビューを書きました。
危うすぎる秘密の関係
商品企画課の藤村沙緖里は、社員の誰もが憧れる人格と仕事の遂行能力、そして美貌を併せ持つ企画課の課長・浅野綾子に密かに恋をしていた。
ある日、残業で2人きりになり、酔った勢いで告白をした藤村を浅野が受け入れたことで身体の関係を持つことになるが、浅野は既婚者でありー!?
『憎らしいほど愛してる』はこうして始まります。
中盤までは藤村さんの浅野課長への想いが中心に描かれているのですが、「社内で不倫をしている2人がいるらしい」という噂が流れ始めると、浅野課長の心情が明らかになっていき、物語は大きく動きます。
藤村さんが「望み続ける」愛と、浅野課長が歩む「望まれた」道
片想いの相手に「男性の恋人ができる」という「当たり前」を常に味わってきた藤村さん。
「いつも私だけが本気で、いつまで経っても私は誰かの特別にはなれない」という彼女のモノローグは切ないです。
浅野課長が家庭を持っていることは当然知っており、身体が結ばれても心から愛されて通じ合うことは無いのだ、と苦しみます。
やがてその苦しみは社内不倫の噂によって表層化することになります。
一方の浅野課長は、藤村さんとの関係は異性とはいえ不倫になることを理解しながら受け入れました。その理由は、夫の浮気に対しての当てつけでした。しかし、夫には徹底的に隠し続けます。なぜなら、浅野課長は「望まれる自分を演じ続けてきた」から。
「望まれる」自分であるためには、当然、不倫をする自分のままでいることを許すはずがなく….。
苦しんだ2人が選ぶのは…
周りの人が普通に感じる幸せが自分の人生に無いことに苦しむ藤村さんと、周りの人が羨むような人生を歩んだことでかえって自分の人生に苦しむ浅野課長、どちらにも共感できる物語でした。
2人が何を思い、何を選ぶのかは、ぜひ手にとって確かめていただきたいです!
美しい女性や女の子同士が恋に落ち、美しい恋愛をするだけが百合ではないことを理解したので、他の百合作品も読んでみたい!と思うようになりました。
百合作品の入門として手に取るきっかけになってくれたら嬉しいです。
既婚女性上司×部下OLの不倫百合コミックが発売されます✨二人の関係の始まりから行きつく先まですべてこの1冊で完結していますので、ぜひ手に取って頂けたら嬉しいです!
『憎らしいほど愛してる』(発売日:2019年7月30日火)
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↑サンプルから試し読みできます! pic.twitter.com/B7zSYowLmS— ユニ/単行本発売中👩💼 (@y_un_i) July 5, 2019