日中戦争が始まる直前の1936年、幼いハルは父親の転勤のために上海に移住する。
さまざまな国の人が行き交う国際都市上海で、ハルは支那人の少年・星(シン)と出会った。
星があるから世界は違って見える
支那人の少年に連れられ、人家に上り屋根づたいに町を探検するハル。町の絵を見事に描くシンから、ハルは一枚の絵をもらい受ける。言葉は通じないシンと仕草を交わしながら、幼い二人は徐々に打ち解けていく。
「魔法使いはおらん…
でもあの子を通すと、世界がキラキラして見えるんよ。」
どうやら『星間ブリッジ』を紹介してくださったようです。(フランス語かな)カラーも嬉しい…! ありがとうございます。 https://t.co/l9tcEJ8Xgx— きゅっきゅぽん (@kyukkyupon) February 13, 2019
日本人の少年たちからのいじめに遭うシン
支那人のシンは日本人の少年たちに囲まれていじめを受けていた。ハルは彼らからシンを守ろうと奮起し、争いの嫌いなシンもハルのために戦う。
ケンカの後に行方が分からなくなったシンを探すため、ハルは支那人が暮らすエリアを訪れる。ハルが日本人だと分かると、周囲から得体のしれぬ「敵意」を向けられる。それはハルが初めて感じた恐怖だった。
迎えに来たシンにおんぶされながら、ハルは考えていた。同じような「敵意」を、シンも日本人から浴びせられていたのではないか。
「シンとハルは敵なん…?」
ハルに問いかけられたシンは、「兄弟になろう」とハルに声をかける。
抗えない国籍という壁
シンのことを「汚い支那人の乞食」と呼んで警戒するハルの父。しかし、ハルの母は「娘の友人」と呼んでシンを気遣う。日本人と支那人という揺るがない壁のはざまで苦悩していたハルにとって、この母の言葉は救いとなった。
国籍というのは、その人をつくる一つの要素ではあるけど、それが全てではない。
ましてや、自分で生まれる国を選んだわけじゃない。
人種の違いに翻弄されながらも、一途にシンを慕うハルを応援したくなる。
二人は再会できるのか
ある時、シンの母が日本軍の爆撃のせいで死んだことを知らされたハル。それでもシンとの変わらぬ友情を育みつづけるが、1937年、泥沼の日中戦争へと向かい、ハルは上海を離れることに。
4年後、ようやく上海に戻ったハルが見たものは、ボロボロに焼け落ちた廃墟の町だった。
また、話題の「星間ブリッジ」はついに最終巻が発売です。こちらもあわせてご注目ください。6/12発売!(P) pic.twitter.com/d3JxSuk7YI— ゲッサン編集部 (@gessanofficial) June 10, 2018
町の歴史が伝わる
国際都市として発展を遂げた上海の、90年前の町の面影や習慣を知ることができるのも嬉しい。食べ物や野菜が売られる市場の様子は今も変わらないし、川沿いの風景もまた。「国籍」というラベルによって引き裂かれる友情の行方を、当時の雰囲気とともにぜひ見守ってください!