最強の弁護士

高橋のぼる / 著 久慈希跡 / 脚本

『最強の弁護士』無敗の弁護士が裁判を通じて人の心を救う!

高橋のぼる先生著、久慈希跡先生脚本、原案協力・監修、プロジェクトBの『最強の弁護士』は、アメリカから百億ドルを巻きあげたという敏腕弁護士、剣崎盾(けんざきじゅん)が法の罠にハメられた弱者を救う法廷バトルです。

👉1話はこちらから試し読みできます。

最強の剣と盾となる男

「法律は自分を守る盾にもなるし、剣にもなる」

凄腕弁護士・剣崎の前に現れたのは、多額の借金を背負わされた女性でした。別れた彼氏に巧妙な手口で騙され、一千万円の借金を抱えた女性は、死を決意して飛び降りようとしたところで剣崎と出会います。

女性のもとには、裁判所からの支払い命令がいきなり届けられたのです。女性が泣きながら訴えても、契約書には女性の実印が押されており、どこの法律事務所でも覆すのは無理だと言われてしまいます。法律を悪用した詐欺行為によって、本人も知らぬ間に借金を背負わされていたことには恐怖を覚えます。

有罪率99.9%の壁

証拠が揃ってしまうと99.9%は有罪判決となるとされる刑事事件。ある日、殺人事件の犯人として捕らえられた被告人の弟が、兄の無実を信じて剣崎に訴えにきました。剣崎は引き受ける前に被告人に会い、数百円で購入された馬券から被告人の無罪を信じたのでした。

被告人の指紋が凶器から検出され、さらに目撃者もいる事件を、果たして剣崎はどうやって勝利に導くのでしょうか。判決を覆すための証拠を集める剣崎の推理力も、本作の魅力の一つです。

もしも真犯人を無罪にしてしまえば、犠牲者が報われません。しかし、無実の人に罪を背負わせれば、その人の人生を破壊してしまうことにもなります。冤罪事件は罪状が軽度であっても、被告人の名誉を傷つけますし、拘束されれば心理的にも苦痛を味わうものです。

女性の権利向上に尽力したアメリカ人弁護士

弱者のために奔走し、道を見失っていた弁護士の心を救う剣崎は、2020年9月18日に87歳で亡くなったルース・ベイダー・ギンズバーグさんを思い出させます。ギンズバーグさんは、アメリカで歴代2人目となる女性判事で、女性の権利向上に尽力しました。しかし彼女は同時に、男性に対する差別に対しても抗ったのです。

彼女の信念は、映画『ビリーブ 未来への大逆転』やドキュメンタリー作品『RBG 最強の85才』で紹介されています。

ギンズバーグさんは判決やスピーチを通じて、人種や外見、性別で人を判断することが間違っていることを伝えようとしていると訴えていました。

剣崎もまた、覆すのは不可能とされる事件に挑んで無実の人を救い、お金に目がくらんで道を踏み外した弁護士の未来を救うために戦います。困難な裁判を買って出て、判決を通じて人を導こうとする様は、高潔で一般にも人気の高いギンズバーグさんと重なるようです。

最強の弁護士の唯一の敗北

無敗で知られる剣崎が唯一負けた裁判は、恋人を弁護した裁判でした。ブラックキャットという異名を持つ女・月城望美は、剣崎のパートナー弁護士でしたが、殺人事件を起こして死刑判決を受けています。

黒いものも白くできると言われる剣崎は、なぜ負けたのでしょうか。そして、望美が起こした事件の真相とは。今後の展開も楽しみです!

規格外の弁護士の活躍がここに!

作品を通じて、無実を証明することの難しさや、自分自身の真意を見知らぬ人に理解してもらうことの大変さを思い知ります。

最強の弁護士 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
高橋のぼる/著,久慈希跡/著,プロジェクトB/著