鯨井早菜(くじらい さな)という『木曜日のフルット』のキャラクターをご存知でしょうか?
『木曜日のフルット』は、猫が主人公のほのぼのとした日常を描いたショートマンガですが、人間の女の子であり無職の鯨井先輩は、猫に負けず劣らずの人気を誇っています。
時には、霊媒師から悪霊と間違われてお祓いされてしまうこともありますが、色々なところでアルバイトをしつつ、のんびりとした生活を送っています。
「私の武器 それは無職!」という名言を残した彼女。
「無職」という単語にネガティブなイメージしか持っていなかった読者にとっては目から鱗だったはず。
皆が鯨井先輩に惹かれる理由は何なのか、それは彼女が作品を通して貫いている「無職の流儀」にあるのです。
借金は体で返す
鯨井先輩は自立した無職。自分の食い扶持は自分で稼ぐ、その日暮らしの無職です。
試食を制すものは節約を制す
世の中には、試食をすると申し訳なくなって食い逃げできない人が多くいますが、彼女は違います。サンプル・イズ・ベスト。
外食にタッパは必須
消費者庁によると、日本における「食品ロス(まだ食べられるのに廃棄される食品)」は643万トン。これは一人当たり、毎日お茶腕約1杯分が捨てられている計算になります。(平成28年度推計)
鯨井先輩の「もったいねぇ」という気持ちは、食費の節約はもちろんのこと、食品ロスの削減にも繋がっているのです。
しかしながら「もったいない」がいきすぎるとたまに失敗することも。
動物として自然の生き方
お腹が空いたらパチンコに出かけ、勝てば満腹、負ければ空腹。狩猟採集時代の生き方で、彼女は東京砂漠をたくましく生き抜いています。
無職の武器、それは時間
24時間365日、心は不安だけど体は自由な鯨井先輩は、夢中なことを見つければ永遠とそれに打ち込むことができます。
時間の自由度で言えば彼女は間違いなく世界一。圧倒的な時間を投入し、他者をものともしません。
今あるもので生活する
シャンプーの詰め替えをストックしていたり、ストックのストックをしている方も多いのではないでしょうか。鯨井無職はそんなことは気にしません。
石けんで髪を洗うことでボリューミーになり、ぺたんとすることもないのです。
もらえるものは何でも頂く
たとえ「塩ビパイプ」という何に使えば良いかわからないものでも、無料でもらえるなら遠慮はしません。
「タダより怖いものはない」という言葉は、彼女の辞書には無いのです。
疲れたら寝よう
遊びであっても、外に出て体を動かしたことに意義があります。
疲れたら午前中でも寝て過ごしましょう。昼食代や夕食代を浮かせることだってできてしまいます。
職は尋ねないで
「今何やってるの?」と聞かれて「まぁ色々と」とぼやかされたら、何か事情があります。深追いせず、そっと見守ってください。
未来のことは考えない
将来は生活できているのか。自分はこのまま一人なのか。年金はもらえるのか。考え出したらキリがありません。
明日のご飯もままならない鯨井先輩は、今この時に集中します。1枚のはんぺんがあって、寝床もあり、かわいい猫もいる。この瞬間が幸せならそれでいいのです。
人と触れ合おう
夕焼け、無職、一人。
アパートに閉じこもっていては、何かがおかしくなってしまいます。人と触れ合い、社会的な活動をしてみるのも無職の嗜みです。
無職かるた
可能であればなるべく職に就こう
『木曜日のフルット』や本記事では、「無職って最高!」と働かないことを助長しているわけではありません。作中でも鯨井先輩は自分の生き方にやや否定的です。
本編では彼女の心理描写がやけに生々しく描かれていますが、収入が無いというのは仕事のストレスとは別に、独特の不安が襲ってきます。可能であれば仕事をするのが良さそうです。
しかしながら人生が100年あるとして、人は無職に生まれて無職で死にます。無職とは人生の縮図なのです。
『木曜日のフルット』は、人生100年時代に必要なマンガかもしれません。気になった方は是非!