水は海に向かって流れる

田島列島/著

新刊情報
最新刊 1巻
2019年05月09日

みんなの好きなコマ

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水は海に向かって流れるの記事

翻弄される感情は、静かで力強い波にさらわれるがごとく -『水は海に向かって流れる』

この記事では田島列島先生の『水は海に向かって流れる』というマンガをおすすめしていきます。でも、本当は書くことがそんなにないというか、必要性が薄いんですよね。というのもマンガ自体が素晴らしすぎて、何を言っても蛇足な気がしますし、説明をすることで与えてしまった予備知識が作品の味わいを損ねてしまうんじゃないか、という心配もありますし。なのでこの紹介記事を読むくらいなら、今すぐ単行本を買って読んでいただきたいというのが正直なところです。でも、「どこがいいのかもうちょっと教えてよ」という方もやっぱりいらっしゃるでしょうし、少しでも中身をしってから買いたい!という方も少なく無いでしょう。この記事はそういった方に向けて、ネタバレを避けつつ作品の魅力を伝えることを目的に書いていきます。アルの作品シリーズページからは、無料で1話を読めるリンクもあります。読んでいただければ「ああ、間違いなさそう」とわかっていただけると思います。せめて、その読む切っ掛けの一つにこの記事がなることを願っています。この作品は、世界の行く末が云々というスケールの大きな話や、画的に派手なアクションが描かれているわけではありません。物語を引っ張る因縁となる出来事や風変わりな人物、コミカルなやりとりなどはありますが、基本的に”普通の人間”がベースの人間ドラマです。とはいえ、だから地味でこぢんまりとした読み味になっているかというと、決してそういうわけではありません!登場人物の心情とやりとりの機微、そこに流れる空気の描写の解像度が尋常ではないので、フィクションであることを忘れて息が止まるような緊迫感をもってドラマに向き合わされてしまうんです。身近な人や会社の噂話って、聞いても得することはないけど圧倒的に”リアリティ”があるからついのめりこんじゃうじゃないですか。この作品の読書体験は、そういうものに近い気がします。だけど、無表情だったり後ろ姿だけだったりのシーンであっても、人間がしっかり描かれているおかげで、「ここは静かな描写だけど、登場人物の内面では大きなものが動いているな」ということがすっと伝わってきます。海の波打ち際で遊んだことがある方ならわかると思うんですが、波って穏やかにすすーっと寄せて返しているだけに見えて、いざ突っ込むと意外なほどの力強さに足をすくわれそうになるじゃないですか。この作品の物語もそんな感じで、静かに始まったな、と思ったらいつの間にかぐいぐい引き込まれて感情が翻弄されてしまうんです。(波のたとえはタイトルに”海”が入っているから無理やりにつなげたわけではなくたまたまそんな感じだな〜と思いついたんですが、たぶん根底に通ずるところがあるからでしょうね)これは第1話で主人公の直達(高1)がこれから一つ屋根の下で共同生活することになる榊さん(26歳・OL)と初めて会った夜に家で夕飯の牛丼をごちそうしてもらっているシーンなんですが、この2コマだけでなんかが伝わってきませんか。それでいてこのコマでは、伏し目がちに外した目線や投げやりな口調から「これは純粋な本心ではないんだろうな、自分に言い聞かせていたり、何か含みがあるんだろうな」と伝わってきませんか。ほんとはもっとヤバいコマがいくらでもあるんですが、切り抜き続けるのはもったいないし申し訳ないので、この辺にしておきます。ここまでは、この作品の人間描写がいかにすごいかを語ってきたのですが、その解像度ゆえに含蓄がぎゅっっっと詰まった表現が随所にあらわれてきます。ぼくが好きな2つのシーンを紹介します。「余計なことって? 本当のこと?」この物語の出来事のみならず、情報統制の失敗の本質を言い当てたような鮮やかな切り返しですよね……。これだって、自分に当てはめて「こういう他人に強く出れない自分が嫌になる夜、あるなあ」と感じた読者も多いはずで、というかむしろそういう人が多いと踏んだからこそこういう描写がされているんですよね、多分……。本当にすごい。でも真面目な話ばかりして緊張しっぱなしでは疲れるし、そもそも日々の生活を送っていたらいつもそんな”見せ場でござい!”ってシーンばかりではないじゃないですか。だから作中でも緩みがある日常パートは多いし、そこではユーモラスな表現も多様で、しかもどれも独特の味わいがあっていいんですよね。これらのユーモラスな描写がキャラクターや展開に対する心地よさと深みを与えていて、いろんな角度から作品に引き込まれていく要因になっていると感じます。いや、最高でしょう……。わかりましたよね。もう、何か言うほうが野暮ってものです。そんなわけで僭越ながらここまで『水は海に向かって流れる』の紹介記事を書かせていただきました。今回筆を執ったのにはいろいろ理由はあるのですが、一番は「この作品はもっと多くの人に読まれるべき」という使命感にも似たものに駆られたからです。いや、色んな意味で大きなお世話だというのはわかっているんですが、自分一人では受け止めきれない感動を与えられてしまったときに、「これはすごいぞ!!!!!」と大声を出さずにはいられなかったんですよね。それでは!

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