『自殺島』
このタイトルを目にして、どんなことをイメージするでしょうか?「天真爛漫な主人公が島を探索する冒険活劇かも!」と思う人はおそらく0%だと思います。
この記事は、本作のタイトルを見て、「重そうだな」「読んで辛くなりそう」と思った方向けに執筆しました。
『自殺島』は生き残るためのサバイバル作品
結論から言うと、本作は自殺とは対極の内容です。登場人物が無人島でのサバイバル生活を通して「生きることとは何か」を考えていく物語で、ホラー系でも、パニック系の作品でもありません。
あらすじ
自殺常習者として日本国に見捨てられた主人公のセイは、他の未遂者と共に「自殺島」と呼ばれる無人島に島流しに遭う。
「ここがどこでも、すべきことは一つだろう?」そう考えていたセイだが、同じように考えていた他の人たちが次々と高台から飛び降り、初めて目の当たりにした人の死という衝撃から、一旦死ぬことを諦める。
死ねなければ、生きるしかない。そこから無人島でのサバイバル生活が始まる。
第1話はこのような展開で、この後も暴力や性的な描写が度々あり、苦手な方は多いかもしれませんが、本作はサバイバルマンガとして、作者の実体験をもとに非常に丁寧に描かれています。
死にたがりの主人公の変革
序盤の見どころは、「無人島生活への不安」「未遂者というコンプレックスとの戦い」などの、主人公自身の課題解決がメインです。
今まで自分の問題点に目を背け続けてきたセイでしたが、極限の状態になり、「自分はどうあるべきか」を徐々に思索するようになります。
それらのモヤモヤを克服するきっかけとなったのが、狩猟でした。美しい鹿の群れを見つけたセイは、日々の余計なことを考えないために武器作りに没頭し、自分が生きる為に行動していることに気づきます。
単独で山に入り鹿を追うのですが、なかなか上手くいかず、夜の山で絶望に打ちひしがれるセイ。しかしそんな中、一個体の生き物として少しずつ環境に適応し始めていきます。
本作で作者の森先生が、サバイバルに大切なことは、
よく考える事
工夫する事
行動する事
諦めない事
と解説しており、必要にかられた主人公も粘り強く行動し、生物として強くなっていく様子が描かれていきます。
序盤の面白さそのままに
序盤で個人の適応を描いた後、各人によるコミュニティへの貢献、コミュニティ同士の外交というように、徐々に話のスケールが移行していきます。
得意なことを活かして各々の仕事をこなす者、コミュニティに利益をもたらさないフリーライダー、避けられないコミュニティ間の紛争。小さな無人島で起きていることですが、人類の歴史の縮図を見ているような壮大な気分になります。
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