西荻窪 三ツ星洋酒堂

浅井西/著

『西荻窪 三ツ星洋酒堂』缶詰が織りなす極上のヒューマンドラマ、ここに誕生!

西荻窪 三ツ星洋酒堂(にしおぎくぼ みつぼしようしゅどう)は、浅井西先生による作品で、美しいバーテンダー・雨宮、無口なシェフ・中内、癖のあるオーナー・小林という3人の男たちが営む、小さな缶詰バーに訪れるさまざまな悩みを抱えた客をカクテルと缶詰料理が癒やす、オムニバス形式のヒューマンドラマとなっています。

月刊少女漫画雑誌「ミステリーボニータ」(秋田書店)で2020年から連載が始まり、2021年3月16日に第1巻が発売されました!なお『西荻窪 三ツ星洋酒堂』は1巻の発売を前に町田啓太さん主演でドラマ化され、MBS「ドラマ特区」にて放送されており、2021年3月18日の放送で最終回を迎えました。

本記事では、世にも珍しい缶詰をテーマにした『西荻窪 三ツ星洋酒堂』第1巻のレビューをお届けします!

1話試し読みはこちらからどうぞ!→http://arc.akitashoten.co.jp/comics/3boshi/1

心を癒す雨宮の言葉と缶詰たち

フードメニューはたった一言、「as you like」(お気に召すまま)。

「お客様のお望みのものをお作りします どうぞ何なりと」の言葉をきっかけに、訪れた人の心にすっと入り込むバーテンダーの雨宮。できるだけお客様の要望を叶えようと、その時のお客様にぴったりの缶詰をシェフの中内との絶妙なコンビネーションでアレンジし、見た目も鮮やかで美味しそうな一皿に仕上げて提供します。そして、缶詰料理とカクテルで胃袋を満たしたお客が、雨宮のウイットに富んだ会話や優しい語り口に誘われ自分の悩みや過去を吐き出し、今度は心も癒されていくのです。

「悲しいから食欲がない」と感情が先のように考えがちですが 実は逆のことも多いんですよ 何もなくても笑顔をつくれば気持ちが明るくなり つらい顔をすれば重くなりますよね きっと今は寒くておなかが空いているから悲しい それだけじゃないでしょうか

引用元:第4話 深夜のトマト缶スープ より

缶詰は時を止める不思議なタイムカプセル

あの日から5年間ケーキは食べていない 缶詰のケーキか おもしろがっただろうなあいつ

引用元:第2話 5年目のチョコレートケーキ より

賞味期限の長い缶詰。それは製造年月日から過去の自分を思い出し、賞味期限から未来の自分を想像し思いを馳せるトリガー。

バーに訪れるどこかさみしげな客は、自分に自信がなかったり、何かを諦めたり、楽しくもあり辛い思い出を持った、過去の自分を心の片隅に住まわせています。「缶詰」という、その中だけは時が止まったような食べ物が、その人の止まっている時間をこじ開けて、止まっていたことに気づかせ、新たな一歩に進めるきっかけを作っていきます。缶詰を通して人生を振り返るだなんて斬新な切り口だと驚くばかりです。

バーでアレンジされた缶詰料理のレシピと銘柄も紹介されていて、手軽に本格的な料理を自宅で再現することもできるのも嬉しいポイント!

謎多きバーの鍵を握るオーナー小林の過去

物語の中心にいるバーテンダーの雨宮とシェフの中内とオーナーの小林。彼ら三人は高校の同級生であることは明かされていますが、彼らがバーを営んでいる理由はまだわかっていません。三人三様で全くタイプの違う三人がなぜ一緒にいるのか、そしてどこか陰のあるオーナー小林を気に掛ける雨宮。ドラマのエンディングとは違う展開に向かっていそうな本作品は、まだ1巻が発売されたばかり!今後の展開が気になる作品となっています!

味も思い出

西荻窪 三ツ星洋酒堂【電子特別版】 1 (ボニータ・コミックス)
浅井西/著