踊る千年家族

春日井晶 / 著

『踊る千年家族』1巻レビュー!賑やかな家族によるドタバタアクションコメディ!彼らが抱える大きな秘密とは?

月刊誌「ヤングキングアワーズ」にて連載中の春日井晶先生による『踊る千年家族』。電子版が先行で販売されていた本作の書籍版が、満を持して2021年9月30日に発売となりました!

主人公である少年・テオことテオドール・ベンフィールド。都会の片隅でひっそりとコンビニバイトをしながら生活する彼には、実はある大きな秘密が。テオと同じく皆一様に大きな秘密を抱える、彼を始めとした兄弟たち。血の繋がった家族たちによる、ドタバタアクションコメディの開幕です!

『踊る千年家族』あらすじ…テオを始めとした兄弟たちの秘密とは?

本作の主人公であるテオは、元々スコットランドの山岳地帯出身の青年です。諸事情あって現在日本にてコンビニバイトで生計を立てながら暮らす彼ですが、その生活は6畳2間、築37年、家賃5万のアパートに住む貧乏暮らし。家族もおらず天涯孤独で頼れる人が誰もいない…というわけではないのですが、様々な理由からテオは自分の家族と長年コンタクトをとっていませんでした。

しかしある日、そんな彼を迎えにきたのは弟であるアーサー。再会を喜ぶ間もなく、テオは同じく兄弟である長男・ヘイデンと長女・イヴの元へと問答無用で連れて行かれます。ですが浮かない顔のテオ。なぜなら彼は「我が家の兄弟にはできることならば、極力関わらない方がいい」と基本的には考えているからです。

4人揃ってヘイデンが調達したプライベートジェットへと乗り込み、いざ向かうは攫われた妹・ライネの救出。しかし出発早々テオの予感は的中。4人が乗るジェット機は突如何者かに迎撃され、彼らは皆機体と共に広い海へと撃墜されてしまいます。

普通の人間であれば確実に命はない大事故。ですが驚くべきことに、テオを始め4人の兄弟は全員無事。四肢が吹き飛び捻じ曲がり、全身黒焦げになった者もいます。それでも彼らの身体は少しずつ、時間が経つにつれ、なんときちんと元に戻っていくではありませんか。

テオが自らの兄弟に「極力関わりたくない」理由。それは自分も含むベンフィールド家の人間には全員、不老不死の呪いが与えられているからでした。熱さや痛みを感じこそすれ、何がどうなっても確実に再生する自らの身体。さらに言えばその呪いには「普通に生きていても死にやすい」「その代わり彼らの死は人々の記憶に残りにくい」という、七面倒な因果のおまけ付きです。

決して目立ったりせず、都会の片隅で平穏に、静かに暮らしていたかったテオ。しかし彼の日常は兄弟たちとの数百年振りの再会によってたちまちに失われることに。破天荒な兄弟たちと共に、テオは徐々に波乱の毎日へと巻き込まれていくことになるのです。

個性豊かで賑やかな兄弟たちの乱入で、テオの日常は波乱万丈な日々へ!

初の単行本となる1巻の注目ポイントは、やはりテオの兄弟について!初回1話に登場した5人もかなりキャラの濃いメンツばかりですので、まずは簡単な紹介を。

長男・ヘイデンは厳格さや規律を重んじる性格で、自由奔放な長女のイヴとはあまり相性が良くありません。また攫われていた次女のライネはそばかすのチャーミングな限界腐女子、末っ子で五男のアーサーは頭脳明晰で戦闘時の司令塔です。兄弟の中でのテオのポジションは、イヴとライネの間に挟まれた四男となりますね。

しかしベンフィールド家の兄弟には、まだ物語には登場していないメンバーも。その内の一人である三男・ノエルが、この1巻に収録されているエピソードにはまず登場する形となっています。

家族の中でも随一のクレイジーさを誇る彼。五男のアーサーの提案通り日本にいるテオの元に集まった兄弟ですが、遅れてやってきたノエルは日本入国早々とんでもないアクシデントに巻き込まれることに。それをなんとか兄弟で救出するものの、再び集結した兄弟の載っていた車が、今回も何者かによって爆破されてしまいます。

日本に集結して以来、あまりにも「死が近すぎる」ベンフィールド家の兄弟たち。そんな幾多の事件に巻き込まれる、彼らの周囲にうろつく不穏な影。彼らの命を、平穏を脅かすのは一体誰なのか?続きが気になる展開で、単行本は2巻へと続く形となりました。

呪われた兄弟とその能力を狙う影…物語は2巻へ続く!

それぞれが個性豊かなキャラクターである一方、その呪い故に様々なトラブルにも数百年単位の歴史の中で巻き込まれてきた、ベンフィールド家の兄弟たち。テオを始めとした彼らの秘密がまだまだ気になる、そんな物語をぜひチェックして頂ければと思います!

踊る千年家族(1) (ヤングキングコミックス)
春日井晶/著