2.5次元の誘惑

橋本悠 / 著

『2.5次元の誘惑』全てのオタクが仲間である理由

全てのオタクは仲間である!その理由は、少年ジャンプ+で連載中の橋本悠先生の『2.5次元の誘惑』に描かれています。

本作は2020年の次にくるマンガ大賞webマンガ部門4位に入賞しており、単行本8巻の帯には『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生から「やましい心で読んでいたら感動作で、お恥ずかしい」とコメントが寄せられるなど今大注目のコスプレマンガです!

2.5次元=コスプレの世界へようこそ

3次元の女性には興味がなく、2次元の推しキャラのリリエルを「俺の嫁」と呼びこよなく愛する漫画研究部部長の奥村。そんな彼の前に、新入生の天乃リリサが現れます。

「大好きなリリエルのROM(コスプレの動画や写真)を作る」という天乃リリサの夢を叶えるために、漫画研究部としてコスプレの撮影をすることになった奥村ですが、天野リリサが表現するリリエルのコスプレを目の当たりにして2.5次元の世界へ誘われていきます。

奥村のカメラに映る2.5次元の魅力

この作品はコスプレをテーマに好きな物への愛する想いを描いています。コスプレの魅力を最大限に引き出すために、主人公の奥村がカメラマンという視点で、コスプレの撮影に至るまでの衣装作りの制作から裏側を読者に分かりやすく伝えています。そしてコスプレの奥深さをより堪能でき、奥村のカメラ越しに映るコスプレという行為の熱量に、きっとあなたも虜になります。

コスプレの神は細部に宿る

この世界観を表現するために絶対に必要な要素がです。コスプレの衣装作成のシーンではステッチ(糸の縫い目)の細部までのこだわりが描かれており、この絵によって3次元から2.5次元の世界を描くコスプレシーンで作品の魅力を底上げしています。この作画は橋本先生が一人で担当するという尋常ならざる愛を作品を通して味わうことが出来ます。

好きな物に情熱を持っている、その愛こそが仲間の証

マイノリティーは時代によって受け入れられず差別や偏見の対象になることがあります。この作品はキャラクターの過去の偏見や辛い経験を描き、オタクやコスプレというマイノリティーの立場の苦しさも描かれています。

その中で何かを熱烈に愛しているという情熱を持っている仲間=オタクとして好きな物を否定しない考え方を提示しています。つまり、自分が好きな物を推している仲間であるのなら、ミーハーも古参も年齢も肌の色も、好きなジャンルが違くても、上も下も関係ありません。

この作品はコスプレを通して自分の愛を伝えるキャラに、オタクとして心を動かれます。なぜ心を動かされるのか?それは、全てのオタクが情熱を持って何かを愛している経験をしているからです。その尊さを知っているからこそ、オタクとしての矜持を持つ仲間に推したい作品です。

2.5次元の誘惑 (全9巻) Kindle版