【有名画像】「ラオウを知らない女性」は、あれから『北斗の拳』を読んだのか?本人インタビュー

この女性の画像、インターネットで見たことがある方も多いのではないでしょうか。

北斗の拳』に登場する人気キャラクターのラオウ。死の間際の「わが生涯に一片の悔いなし!!」というセリフは、あまりにも有名です。そんなラオウの死が描かれるアニメ映画『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章』の公開を記念して行われた「ラオウ昇魂式」。

同イベントについて「私ぶっちゃけ今日ノリで来たんで」と話すこの女性の画像は、そのシュールさから2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)などを通じて拡散され、アスキーアート化もされました。インターネットにおける有名画像の一つと言えるでしょう。

そして2020年5月、こんなツイートを発見しました。

何と「ラオウを知らない女性」ご本人だというのです。お名前は、津野まあやさん。真相を確かめるために取材を打診するとご快諾いただき、Zoomでお話を伺いました。

初対面の人と「ラオウ昇魂式」に参加?イベント当日を振り返る

ーーこの度は急な取材をお受けいただき、誠にありがとうございます!「ラオウを知らない女性」として知られる津野さんは、現在どのようなご活動をされているのでしょうか?

今はススキノでキャバクラを運営している会社の執行役員をやっています。生まれてからずっと東京に住んでいたんですが、去年から転職をきっかけに札幌に住み始めました

ーー最近、引っ越されたんですね!13年前に開かれたラオウの葬儀には、「ノリ」で参加されたとのことでした。どのような流れで参加されたのか、詳しくお聞きしたいです。

当時はたしか大学1年生の4月で、入学してすぐの頃でした。サークルの新歓イベントで出会ったばかりの人とランチをしていたら、「今日、こういうイベントに行くんだよ」と話していて、付いて行ってみたんですよ。だから、本当にノリでしかなかったんですよね。

ーー初対面の人と参加されたんですね。ラオウの葬儀はいかがでしたか?

「すごく人が多いな」っていうのが第一印象でした。本当に『北斗の拳』を知らなかったので、「え、架空の人のお葬儀だよね?」みたいな。「こんなに人を動員できるなんて、すごく人望のあるキャラクターなんだなぁ」と思いました。

ーー当日はたくさんの人が集まっていたんですね。

そうですね。ラオウにお焼香を上げるための列に立って並んでいたんですが、なかなか順番が回ってこなくて。当日は雨が降っていてとても寒く、ずっと「何で付いてきちゃったんだろう?」と思っていました

ーーあの画像のすごく楽しそうな笑顔が印象的で、そんな状況だったとは思いませんでした…!

ありがとうございます。高校時代にずっとマクドナルドでバイトしていたんですよ。スマイルを0円で提供していたおかげで、鍛えられたのかもしれませんね。

ーー鍛えられた笑顔だったんだ!

すみません、こんなお話で撮れ高は大丈夫でしょうか…?

ーーバッチリだと思います!ちなみにラオウの葬儀へ一緒に参加されたご友人の方は、熱烈な『北斗の拳』のファンだったんでしょうか。

彼が『北斗の拳』にどんな思い入れを持っていたのかは、何も分からないんです。あのイベント以降、その人との会話で『北斗の拳』が話題に上がらなかったので…。彼とは2ヶ月ぐらい付き合ったりしたんですけど。

ーーあ、ラオウの葬儀がきっかけでその方と付き合われたんですか?

そうですね。今、話していて思い出しました。

ーー勢いがすごい…!

2年間、画像が拡散されたと知らなかった

ーーその後、「ラオウを知らない女性」として拡散されたときは、どのような感想を持たれましたか?

「へー」って感じでした。実は私、インタビューの様子がテレビで放送されてから2年ぐらい、2ちゃんねるで拡散されていたことを知らなくて

ーーあ、そうなんですね。

カナダにワーホリに行ったとき、現地で知り合った日本人に「お前、もしかしてラオウの葬儀行ったことある?」って聞かれたんですよ。「何で知ってるの?」と聞いたら「めっちゃ有名だよ」と2ちゃんねるを見せられて、「あらやだ」みたいな(笑)。

ーーたまたま日本で見かける機会が無かったんですね(笑)。

そうなんです。もしかすると、大学の友人たちは知っていたのかもしれませんね。2ちゃんねるを利用していた人はよくいましたし、「あの人、うちの大学にいるよ」みたいな書き込みもあったので。

ーー画像が有名だと知られた後は、どんな書き込みがあるか確認されたりしたんですね。

はい。「どんなことが書かれているんだろう」と見てみたら、「アスキーアートの中では一番可愛い」とか書かれていて「ウケるな」みたいな感じでした(笑)。

ーーちょっと失礼ですね!

ははは(笑)。基本的には「面白くいじってくれるなぁ」みたいに思っていました(笑)。あまり不快感は無かったですね。

ーー器が広い…!Twitterでは、あの画像がきっかけで就職や結婚につながったとお話しされていましたが、そういったエピソードも含め、実生活にどんな影響があったのかお聞きしたいです。

まず、ネタになったのは大きかったです。いわゆるアイスブレイクのとき、かなり活用させていただきました。就職活動をするときも、新卒入社した企業の採用担当者さんに「実は…」と話すと知ってくれていて、「あの人なんだ」みたいに盛り上がりました。別にそれが理由で受かったわけではないんですけど(笑)。


また、今の旦那さんはその会社の同僚だったんですが、初めて会ったときにあの画像を見せたら知ってくれていて、話すきっかけになったりしましたね。

ーー初対面の人との雑談の話題として、すごく役に立ったと…。

そうです、自分からよく使っていました。就職した当時はまだ2013年ぐらいで、当時は知ってる人が結構多かった印象です。

ーー最近だとあの画像を知っている方は減りましたか?

減っていると思います。掲示板とかに上げられるのも多分2015年ぐらいまでで、若い世代の方はあまり知らないはずです。たまに、あの頃の有名な画像みたいな扱いで載せられているのを見かけますけど。

ーーとはいえ、津野さんのツイートがすごい勢いで伸びていった様子から、やはりたくさんの方に認知されている有名な画像なんだと伺えますね。

私も自分のツイートがあんなに伸びると思っていなかったので、すごく驚きました。以前、「チャリで来た」の人がテレビに出ているのを見て「うわぁ、チャリで来たの人だ!」って思ったりしたので、「あ、この感覚か!」みたいに思っています(笑)。

ーーちなみに、あれから『北斗の拳』は読まれましたか?

読みました!ネタにされていると知ったときに、すぐ。やっぱり良くないなぁと思ったので。

ーー「良くない」というのは?

ラオウを知らないまま葬儀に参加して、茶化すような真似をしてしまったことですね。「ラオウを汚しやがって」みたいに叩かれたりもしたので、何だか申し訳ないなと思って。

ーー真面目!

めちゃくちゃ面白くて、没頭して一気読みしちゃいました!

ーーすごい良い話…!実際に『北斗の拳』を読まれて、ラオウの死に様についてどんな感想を持たれましたか?

最後に彼が亡くなられるとき、「これは愛の物語だったんだ」みたいなことが分かって。彼が多くの人たちからあれほど愛されていたことに「なるほど」と納得した記憶があります。


10年くらい前のことなので、詳しい内容はあまり覚えていないんですが…。また気になってきたので、これから読み直そうと思います!

あとがき

突然の取材のお願いに応えてくださった津野さん、本当にありがとうございました!とても明るくご対応いただき、筆者も最後まで笑いっぱなしで、あの画像の笑顔から伺える印象通りの方でした。

「私ぶっちゃけ今日ノリで来たんで」というセリフで有名になった津野さんですが、ラオウの葬儀に参加された背景を詳しく伺うと、想像した以上にノリでしかなかったのが面白かったです。

また、あれから津野さんが『北斗の拳』を読まれ、「ラオウが愛される理由に納得した」というエピソードには、何だか胸が熱くなりました。この記事を読まれている方の中にも、僕と同じような思いを持たれた方がいるのではないかと想像します。

そして、もし「あの画像は知っているけど、『北斗の拳』は未読」という方がいらっしゃれば、ぜひこの機に読んでみてください!