なんだか疲れた時、グイと背中を押してくれるのはスパイスの心地いい刺激でした。ここ一番の頑張りが欲しい時、友達になってくれるのは大好きな音楽のリズムでした。だから、
「日本中で、いいえ世界中で愛されるものを2つ挙げよ」
もしそう聞かれたなら、わたしは躊躇無くこう答えます。
「スパイス(カレー)と音楽」と。
定期的に食べたくなるお気に入りのお店のスパイスカレー、落ち込んでいる気分をふっとばしてくれたライブハウスの音楽。どちらもわたしの生活に無くてははならないものでした。
しかし幼い子を2人抱えて生活する現在、ピリピリと辛いスパイスの効いたカレーも、ビリビリと体に伝わる振動がたまらないライブハウスも、気が付いたらわたしから遠い存在に。
そんなとき、ふと読んだのが文春オンラインで連載中のマンガ『ピリピリとビリビリ』。
読み進めて思い出したんです!こんな大事なことをどうして忘れていられたのかって!
配膳されたスパイスカレーを目前にしたときの興奮、鼻先をくすぐるスパイスの香り、刺激と辛さで汗を吹き出しながらも止められないスプーン!アリーナでジャンプするあの瞬間のアドレナリンドバドバの高揚感にも似た時間が一気に脳内を巡り、わたしは居ても立っても居られなくなったのでした。
目次
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カルチャーが生まれる街、渋谷で始まる物語
『ピリピリとビリビリ』はスパイス料理研究家・印度カリー子さんの著書『私でもスパイスカレー作れました!』(マンガ・こいしゆうか/サンクチュアリ出版)を読んだことをきっかけに、スパイスカレーに目覚めたという漫画家・西倉新久先生が、スパイスカレーへの情熱と音楽の魅力をたっぷりと詰め込んだ作品です。
いくつものカルチャーが誕生し、ひしめき合う街、渋谷。
物語の主人公・カワハギミナミ(川萩美波)はここ渋谷で海外を放浪する父親に代わりライブハウスロジックを運営してきましたが、コロナ禍によって閉店の危機に陥っていました。
そんな中で、絶対に閉店を避けたいミナミは店の収入源確保のため、かつて父親がロジックで提供していたスパイスカレーの習得に踏み出します!
意外と簡単!?フライパン一つで作れるスパイスカレー
『ピリピリとビリビリ』を読んで完全にスパイスカレーの口になっても、幼い子を2人も連れてお気に入りの店に今から駆け込む!なんてことはもちろん出来ません。
カレールウを使用せず、いくつものスパイスを調合して作るスパイスカレー。自分で作るにはハードルが高いと感じている人も多いのではないでしょうか?わたしもそうでした。
しかしスパイスカレーの基礎は実はシンプル!
たとえば第1話で登場するチキンカレーは身近な材料にいくつかのスパイスをプラスするだけで、本格的なスパイスカレーの味わいになるんです!
材料を刻んで炒めて煮込む。フライパン一つで調理でき、特別な作業はありません。
レシピは簡単!『ピリピリとビリビリ』に教えてもらった材料と作り方は以下の通りです!
チキンカレー(3〜4人前)
材料
鶏もも肉 5000g〜600g
玉ねぎ Ⅰ個
トマト 1個
ニンニク 1かけ
しょうが 1かけ
無塩ミックスナッツ(ピーナッツ・くるみ・カシューナッツ等) 40g
水 150ml
牛乳 100ml
サラダ油 大さじ1
ターメリック 小さじ1
コリアンダー 小さじ1
塩 小さじ1
作り方
玉ねぎはみじん切り、トマトは小さめにざく切り
フライパンに油大さじ1をひいて、みじん切りにしたにんにくとしょうがを入れます。弱火にしないとはねやすい(し焦げやすい)から気を付けて!
火が通ったら玉ねぎを投入。強火から中火で10〜15分じっくり、きつね色以上のあめ色になるるまで炒めます。玉ねぎから水分を飛ばすのが大事です
玉ねぎが炒まったらトマトを入れて中火で炒めて水分を飛ばします
あらかじめ分量を計ったスパイスと塩を投入して弱火で軽く炒め合わせます。スパイスが全体に混ざり合ったらスパイスカレー基本の基本「グレイビー」の完成!
グレイビーに一口大に切った鶏もも肉を入れ色が変わるまで炒めで、ミルで粉末にしたミックスナッツを投入!とろみとコクが出ていっそう美味に!
ミルが家にない人は、ジップ袋に入れてワインボトルで殴るなど、工夫で頑張って!
全体に火が通ったら水と牛乳を入れて蓋をして弱火で10分煮込んで、味を見て物足りなければ塩で調整して遂に完成!!
※カレー画像は西倉新久先生が実際に作られた時の画像です。美味そう!
スパイスのいい香りが漂ってきそうでしょう?いい香りなんです!作ったからこそ伝わる本当の美味しさ!鼻腔をくすぐるスパイスの香り、鶏肉の食感、コクと旨味の波状攻撃…!
特別なことをしない特別なカレー。『ピリピリとビリビリ』には少しだけ頑張れば食卓を豊かにしてくれる、そんなレシピが満載です。
音楽もスパイスも家族で楽しめばもっと身近な存在に
スパイスカレーが気軽に作れるようになっても、問題は子どもたち。子ども用のカレーを別で用意するのは正直面倒…。
それに張り切って揃えても使いきれそうにないスパイス…。
せっかくお店で手に取ったそのスパイス、棚に戻すのはちょっと待った!
スパイスカレーを自宅で作れば、辛さを足したり抑えたりの調整も簡単なんです♪
子どもたちや辛いカレーが苦手な人にはヨーグルトや牛乳を使ってまろやかに、辛いのが好きな人にはレッドチリパウダーで刺激的に。年齢や性別、言葉の壁も飛び越えて多くの人々が音楽を楽しむように、スパイスカレーもその多様性によって子どもから大人までどんな人でも楽しむことができます。
そしてスパイス永遠に減らない問題ですが、『ピリピリとビリビリ』にはお弁当やお酒のおつまみにもぴったりなスパイス料理もたくさん登場するので、普段のお家ごはんにもスパイスを気軽に活用できそうです。
こうして私は台所で、Alexaが流してくれるSpotifyのリズムに合わせて玉ねぎを刻み、自分用に辛み増し増しにしたスパイスカレーを存分に味わう生活を手に入れました。(以外にも私が好む昭和の名曲たちから、令和をときめく流行歌までランダムに流れる音楽を子どもたちも楽しんでいる様子)
スパイスカレーと音楽は表裏一体となって、我が家の生活に溶け込みました(カレーだけに)。
ああ、やっぱりスパイスと音楽がある生活は刺激的で楽しい。
スパイスカレーと音楽のセッション、続きは文春オンラインにて
スパイスカレーの作り方をどんどん覚え、上手に作れるようになってきたミナミ、ライブハウスロジックもこのまま勢いにのっていくかと思いきや、これから思わぬ試練が待ち受けているようです…。
試練をスパイス(刺激)に代えて、更なる成長を見せてくれるのでしょうか?
作りながら読むか、読みながら作るか、読んでから作るか。いずれにせよスパイスパレーを作りたくなる魔性のマンガ『ピリピリとビリビリ』は文春オンラインにて毎月2回、第2第4金曜日に更新中です!ミナミとロジックの行く末を見守りつつ、あなたも生活にスパイスと音楽を溶け込ませよう!
☝️画像クリックで『ピリピリとビリビリ』の作品ページにジャンプ!ずらっと並んでいる画像は、西倉新久先生が実際にお作りになったスパイスカレーたちです。ぐぬぬ、負けられない…!
記事内画像は文藝春秋/西倉新久先生の許諾の元掲載しています。快く許諾していただきありがとうございました。©西倉新久/文藝春秋