マンガのなかには色んなカレーが登場するもので、これまでもあれこれ作ってきたのですが、ついに自分のなかで憧れだったメニューに挑みました。
入江喜和先生の『おかめ日和』に登場する、家族の好み別に作り分けた「4種類のカレー」。
カレーといえば、よほど凝らない限りは、主婦にとってはわりとラクで家族みんなが喜んでくれる料理。
しかし亀田家では、
先生(夫)「超激辛派」
おじいちゃん「中辛派」
子供たち「甘口派」
と派閥が分かれているのに加え、具材も
先生「薄切りの豚肉」
おじいちゃん「やわらかい鶏」
子供たち「にんじんは星の形で」
とさらに細分化。
一般的に男子は女子以上にカレーに対するこだわりが強いものですが、男所帯の亀田家の好みも三者三様。
しかしこんなバラバラの要求出されたらブチ切れて書き置きを残して家を出るところですが、母性の塊、もう「母神」と呼びたいくらいの主人公・やすこさんは、家族のためならこんなワガママも聞いてしまうのです。
そんなわけで、亀田家では「カレーは一大プロジェクト(プロジェクトC)」。あくまでも家庭料理のカレーなのに、もはやそのレベルを超えた壮大なレシピにチャレンジすることにしました。
本レシピ記事はumebon(梅本ゆうこ)さん運営の「マンガ食堂」に掲載されたエントリーから寄稿いただき掲載されています。記事内容は執筆時の出来事に沿って書かれている為、現在の状況と異なる場合もあります。http://mangashokudo.net
作り方(参考:1巻の巻末レシピ):
まずはベースとなる鶏ガラスープ作り。大鍋に水をはり、鶏ガラ(あらかじめ血合いを取り除いておく)、骨付きもも肉、野菜くず、ニンニク、ショーガを入れて火にかける。
2. アクがどんどん出てくるので、丁寧に除きつつ1.5~2時間ほど弱火で煮る。
3.玉ねぎはレンジでチンしてシナっとさせてからフライパンで炒め、途中でニンニク、ショーガ、セロリのみじん切りを加えて飴色になるまでよく炒める。
4. 具材のお肉は、先生用の豚肉(肩ロース薄切り)、おじいちゃん&子供用の鶏肉の二種類。鶏肉はもも肉と、スープ用に使った骨付きもも肉をほぐしたものを半々で使うことにしてみる。
5. 肉はそれぞれ塩コショウしてフライパンで炒め、カレー粉をまぶす。激辛用には好きなだけ、中辛&甘口用には控えめに。カレー粉は定番のS&B缶を使いました。
6. 肉を炒めたフライパンには赤ワインを少量入れて煮立たせる。これは↓下の工程で加えます。
7. 激辛、中辛、甘口用と3つの鍋を用意し、飴色玉ねぎと炒めた肉、1のスープ、6のワイン汁をそれぞれ分け入れる。さらにトマト缶、ローリエを入れて煮込む。
【激辛鍋】
カットしたニンジンを入れて柔らかくなるまで煮込み、火を止めて市販のルーを少し加える。味をみつつ(この段階だと結構ぼんやりした味です)、塩コショウ、しょうゆ、カレー粉、ケチャップ、ウスターソースなど調味料を加えて仕上げる。
【中辛鍋】
炒めたナスとマイタケを鍋に加えて煮込み、火を止めてルーを少し加える。あとは激辛と同様。
【甘口鍋】
じゃがいもと星形に切ったニンジン、すりおろしたリンゴを加えて柔らかくなるまで煮込む。火を止めてルーを加え、あとは同様。
ここで子供用の甘口鍋から、さらに分岐。 長男のてっちゃんは肉の塊が苦手なので、鍋からルーと野菜だけ別鍋に取り分け、ほぐしたコンビーフを加えます。
これでついに鍋が4つに! コンロが足りねえ! 「けっきょく人の分だけカレーのなべが~」 とやすこさんは笑ってますが、なんというか、普段のカレー作りからするとかなり異常事態な風景です。
そして「一大プロジェクト」の名にふさわしい手間のかかりようで、正直力尽きそうになりました……。 ここまでくると、家の中全体にカレーの香りが充満して、身も心も「カレーばっちこーい」な態勢になるのですが、亀田家の鉄の掟は「カレーは一日寝かせる」。
……というわけでカレーはおあずけ。この夜のメニューは「湯豆腐」と「真鱈のホイル焼き」(冬のエピソードだからですかね)。
全身でカレーを所望してる状態で、こんな真逆のさっぱりメニューを食べさせられるのは、ちょっとした拷問って感じだ……。
そして二日目、いよいよカレー解禁。
食べた感想
おじいちゃんの希望で薬味アラカルト(今回はらっきょう、福神漬け、ナッツ、パイン)、それから子供用の「サイダーフルーツポンチ」、野菜サラダを並べて完成。
ちょっとしたパーティー状態。
これは先生用の超激辛カレー。具は豚肉とニンジンのみ、とかなりシンプル。カレー粉を多目に入れたので、後からじんわり辛い感じ。もっと辛くするなら、唐辛子など加えてもいいかも。
おじいちゃん用の中辛。ナスとマイタケ、鶏肉入り(欲張って具を入れすぎた……)。具はやわらかく、辛さもちょうどよくて万人に食べやすい味。
子供たち用の甘口2種。手前がコンビーフ、奥がチキン。すりおろしたリンゴのおかげで、上記2つと食べ比べるとかなり甘めで、これぞおこさま向きな味。 しかしコンビーフとカレーって、意外に合うんだなあ。
サイダーフルーツポンチは、カットしたフルーツ(今回はスイカ、キウイ、パイン)をシロップと三ツ矢サイダーで割ったもの。フルーツポンチって、久しく食べてなかったな~、となんだか懐かしくなる味。 カレーの後の口直しにもなるので、大人にもうれしい。
ちなみにやすこさんが食べるのは、全部のルーをかけた「全味ミックスカレー」。 自分のことは二の次で、家族の喜びを最優先に考える彼女ならではのカレーとエピソード。
女性の魅力って古今東西で違うものですが、誤解を恐れずにいえば、やっぱりやすこさんのような「母性」って最強だなあ……と、あこがれてしまうのでした。
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