ジャンプ+読切作品『ムクロギア』乾いた空気の中で感じる人の温かさ

平田将先生の読切作品『ムクロギア』が、2021年6月9日の少年ジャンプ+に掲載されました。

亡くなったヒトの魂を動力源にして生み出された兵器「ムクロギア」を描いた本作。乾いた空気感の中で、人の温かみを強く感じさせてくれる作品です。

この作品を読んで、「あれ?前にも読んだことある気がする?」と思われた方もいるかもしれません。

実は『ムクロギア』は、2020年8月にもジャンプ+で掲載されていました。

過去作とのつながりと、本作の魅力をご紹介していきます!

2020年8月に公開された『ムクロギア』

順を追ってご説明するために、まずは2020年8月に公開された『ムクロギア』からご紹介します。

平田将先生は、ジャンプルーキー!に複数の作品を投稿されていました。その中で『ムクロギア』が2020年7月期ブロンズルーキー賞を獲得し、2020年8月に少年ジャンプ+に掲載されました。(以下、こちらの作品を「2020年版『ムクロギア』」と呼称します)

2020年版『ムクロギア』のあらすじ

ヒトの魂を遺体から摘出し、機械に装填する技術が開発されました。その技術によって生み出された人型兵器が「ムクロギア」です。

ムクロギアは戦争で大活躍。人々の希望の存在になりました。しかし、戦争終了後、ムクロギアを見る目は変わりました。帰還兵として国に戻ってきたムクロギアを人々は恐れます。

社会に居場所をなくした4体のムクロギアは、生前の未練と向き合い、人生のやり直しをはかります。彼らはとある目的のために宇宙を目指しました。

2021年6月に公開された『ムクロギア』

2021年6月9日に公開された『ムクロギア』は、前作と設定や舞台は同じままで、前作以降の社会が描かれます。

2021年6月に公開された『ムクロギア』のあらすじ

主人公はムクロギアに生まれ変わったライノス。彼はムクロギアになった姿を、妻と子どもにはまだ見せられていませんでした。

不安なんだよ 妻子に受け入れてもらえるかどうか

そんなライノスは、他のムクロギアが宇宙に飛び出して人生の未練を解決したエピソードから勇気をもらいました。彼は妻子と合うことを決意します。

しかし、再開の日当日、妻子に訪れた危機。はたしてライノスは家族と無事に出会えるのか?そして、ライノスは人生をやり直すことができるのか?

2020年版『ムクロギア』とのつながり

ライノスは、宇宙に飛びだったムクロギア仲間から勇気をもらいました。その仲間こそ、2020年版『ムクロギア』に描かれた主人公たちでした。

2020年版『ムクロギア』の登場人物は、本作では人生のやり直しを実現させた成功者として登場します。

『ムクロギア』の魅力 〜乾いた空気の中で感じる人の温もり〜

本作で描かれているのは、ムクロギアが戦争で活躍する姿ではなく、戦争が終わったあとの苦悩でした。

人々から恐れられ、居場所をなくしたムクロギアの「その後の人生」。社会の役割を失ったムクロギアは、自分の未練と向き合い、自分なりの人生を歩みだします。

物語の非情さと作画が掛けあわさって、本作を読んでいる途中はカラッとした乾いた空気感を感じます。しかし、最後まで読むと、人間味のある温かさが心の奥底からジワッと広がってきて、優しい気持ちにつつまれます。

どんなに乾いた世界でも、大切な人がいれば温かい気持ちにさせてくれるそして、人生は何度でもやり直すことができる。そんなことを思わせてくれた作品でした。

2020年版『ムクロギア』とあわせて、本作の独特の魅力をぜひ味わってみてください。

OGP画像はクロムギア掲載ページOGPより
https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496349183982