マンガ誕生の瞬間にせまるドキュメンタリー「浦沢直樹の漫勉」。プレゼンターを務める浦沢直樹先生と言えば、『MONSTER』『20世紀少年』などで知られる日本を代表するマンガ家です。
当番組は2015年からNHK Eテレでシーズン1が放送開始され、シーズン4まで続く人気番組となりました。人気の秘訣は、マンガ家さん同士だからこそできる、今まで語られてこなかった制作秘話にあります。
そんな「浦沢直樹の漫勉」が、タイトルも新たに3年ぶりに再始動することが決定しました!
浦沢直樹の漫勉 neo
2020年10月1日(木)放送開始
NHK Eテレにて毎週木曜 22:00~22:49 放送
今回は新シリーズの放送に合わせ、浦沢直樹先生自身にも密着した前シリーズ「浦沢直樹の漫勉 シーズン3」を振り返ります。
目次
- アダムとイブ|作: 山本英夫 先生 画:池上遼一先生
- BEGIN|作:史村翔先生 画:池上遼一先生
- イムリ|三宅乱丈先生
- 残響|高橋ツトム先生
- BILLY BAT|浦沢直樹先生 ストーリー共同制作:長崎尚志先生
- マンガに込められる思いに触れて
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アダムとイブ|作:山本英夫先生 画:池上遼一先生
世界が認める劇画家、池上遼一先生。番組では『アダムとイブ』、『BEGIN』の創作現場に密着します。
『アダムとイブ』は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)に優れたヤクザ達と、透明人間とが殺し合いをする、というストーリー。
予想もつかない山本先生のストーリーに、真実味を与える池上先生のリアルな描写。二つの才能が高次元で混ざり合った作品です。
池上先生が考える、自分の仕事の役割
浦沢先生との対談で語られた、リアルさの追求。
リアルな絵で、荒唐無稽な話をやりたいんですよね。「こんなことあるわけないだろう」「こんな主人公いるわけないじゃん」ってなるんだけど、絵をリアルに、演出をリアルにすることによって、「ひょっとしたら」って思わせる。それがまあ、僕の仕事だなと思っているんで。
『アダムとイブ』はまさに、リアルな描写によって説得力が生まれ、現実とかけ離れた設定でも無理なく入り込むことができます。
BEGIN|作:史村翔先生 画:池上遼一先生
沖縄の米軍基地問題を皮切りに、日本の在り方を問う物語。公安と極道が政治の表と裏から世界を相手に戦う、信念を持った男達の熱い生き様を描きます。
池上先生のその他のオススメ作品
『BEGIN』同様に史村先生と池上先生がタッグを組んだ前作『サンクチュアリ』もオススメです!
イムリ|三宅乱丈先生
浦沢先生から、ペン先スピード女王と称された三宅乱丈先生。番組では『イムリ』の制作現場に密着しています。
第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した、惑星間闘争を描いた長編SF。緻密な設定に支えられた重厚な世界観と、解明されていく世界の真実。読み始めたら、侵犯術(作中登場の精神を操る技術)をかけられたように抜け出せなくなります!
重厚なストーリーを支えるもの
(『イムリ』の、字がびっしりの設定書を見て) うわっ、すっげ。こんなにちゃんと作っているんですね。(浦沢) なんかもう、楽しくてやっちゃっている。(三宅) でも、これが楽しいんですね。だって誰に見せるわけでもないんだもんね。(浦沢) 楽しくて描いているだけ。色まで塗って。誰も見ないのに。(三宅)
『イムリ』は全く知らない惑星で起こる民族闘争の話であるにも関わらず、その生活はとてもリアルに感じられます。これは、三宅先生が徹底的に作り込んだ設定の賜物でしょう。
三宅先生のその他のオススメ作品
三宅先生の代表作『ペット』に加筆修正と描き下ろしが追加された『ペット リマスター・エディション』もオススメです!
残響|高橋ツトム先生
スタイリッシュな作風で知られる高橋ツトム先生。番組では『残響』の制作現場に密着しています。
隣人である元ヤクザの瀬川から、瀬川自身を殺すことを依頼された智(さとる)。見返りは500万と銃。救いのない世界での青春逃走劇。放たれた銃の残響は、読者の心にざらついた感情を残します。
今描ける最高を、先送りしない
今、持っているところで、最高のものを出したいですもんね。プロになれるやつって、そのときのことを先送りにしないやつなんですよ。「1年後になったらもっとよくなるかな」なんて思っていると、そんなことないんだよね。 すぐ描け。持ち越さないで。今描けることは、今の力しかないんだから。
常に表現の限界に挑戦を続け、進化し続ける高橋先生。その原動力となるのは、常に最善を目指し続けるマインドにあるのではないでしょうか。
高橋先生のその他のオススメ作品
高橋ツトム先生の原点でもある連載作品『地雷震』もオススメです。
BILLY BAT|浦沢直樹先生 ストーリー共同制作:長崎尚志先生
マンガ界を最前線で牽引し続ける、浦沢直樹先生自身がついに登場!番組では『BILLY BAT』の制作現場に密着しています。
歴史の転換点に必ず登場する、未来を予言するこうもりの声。作中に登場するマンガ「BILLY BAT」を軸に、時代を超えるSFミステリー。実在する事件をモチーフとしながら、歴史の裏側に迫ります。
読者に寄り添った作品作り
「一見さん」でその連載に入ってこられたお客さんが見たときに、今週の(ストーリーに出ている登場人物の)誰かの感情みたいなものはわかるように心がけている。この人の気持ち、今週読んだだけでもわかるって、すごく重要なことだと思うんですよね。
連載の途中からでも参入しやすいように、新規読者への配慮を忘れない。浦沢先生の長期連載を支えてきたものとは、読者に寄り添った作品作りにあるのでしょう。
浦沢直樹先生のその他のオススメ作品
8年間の連載後も、課題が山積みと未来の次回作を語っていた浦沢先生。そんな浦沢先生の最新作『あさドラ!』もオススメです!
マンガに込められる思いに触れて
執筆の仕方やこだわりは、マンガ家の方によって大きく変わります。普段読み慣れているマンガでも、制作の過程を知ることでまた違う視点で楽しむことができるのです。
2020年10月15日(木)放送予定の「浦沢直樹の漫勉 neo」第3回は、『ディアスポリス―異邦警察―』などで知られるすぎむらしんいち先生が登場!新作『最後の遊覧船』の創作現場に密着します。
マンガに込められた思いに触れられる、貴重な体験を味わいましょう!
これまでの「浦沢直樹の漫勉」に登場した作品のまとめはこちら👇