マンガをインターネット上に無断掲載していた国内最大の海賊版サイト「漫画村」の元運営者が24日、日本領海内に入った航空機内で福岡県警に逮捕されました。この人物は著作権法違反の疑いにより福岡県警に指名手配され、今年7月からフィリピンで現地当局に拘束されていました。
【「漫画村」元運営者を逮捕】https://t.co/uUM724yeOd
海賊版サイト「漫画村」で違法コピーした漫画が無料公開されていた事件で、福岡県警などは24日、同サイトに人気作品を掲載したとして、サイト運営の主導役とみられる27歳男を逮捕。容疑は著作権法違反。— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) September 24, 2019
違法性から社会問題に
漫画村は、出版社や著者の了承を得ていないにも関わらず、違法コピーされたマンガをインターネットブラウザ上で無料で読むことができたサイトです。2017年にアクセス数を延ばして以降一気に話題になり、2018年には国会やマスコミでもその違法性が取り上げられる社会問題となりました。
同年4月に政府が「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)」を発表してからはこういった海賊版サイトが取締りの対象になり、漫画村やその他いくつかの海賊版サイトは閉鎖されました。尚、漫画村による被害は3000億円以上に登るという試算が報告されています。
後継の海賊版サイトも
複数の権利者による告訴日本政府が漫画村などの3つのサイトに対するブロッキングを直接名指しで求めるなどした結果、漫画村は閉鎖しました。しかし漫画村閉鎖後も「星のロミ」などの後継サイトが作られていて、この後継サイトに対しても複数の出版社が提訴しています。
小学館は「昨年4月に閉鎖された『漫画村』以後、もっとも悪質な海賊版サイト」と位置づけ、海賊版サイトに対して「今後も断固たる態度で対応して参ります」。
集英社も「著者が心血を注いで作り上げた作品を守るため、今後も断固とした措置をとって参ります。海賊版サイトの抑え込みには、アクセスしないなど、読者の方々はじめ、みなさまのご協力が必要です」とそれぞれコメントを出しています。
何が問題なのか
漫画村の問題点は大きく3つあるようです。
1つ目は著作権法違反。著作者や権利者に無許可で商品を掲載していたことの違法性の高さ。
2つ目は無料掲載によるマンガの売り上げ低下。無料でネットで読めることにより、著者の収益が減り、マンガを描く人の減少、そしてマンガ業界・マンガという文化の衰退を招く危険があるということ。
3つ目は仮想通貨の強制マイニング。利用者から処理能力の低下やバッテリーの消費が早いという声が上がっており、利用者に無許可で仮想通貨のマイニングを行っていたと思われます。これも罪に問われる可能性があるようです。
今後は
容疑者はすでに成田空港に到着しているようで、福岡の警察署に移送されるようです。恐らくその後は裁判が開かれ、「著作権の侵害」と「作品の売り上げ低下によるマンガという文化の衰退の危惧」、「(ブロッキングに対する)通信の秘密の侵害」といったことが論争の中心になることが予想されます。