警察漫画と聞いてイメージするのは、少し固い印象ではないでしょうか。正義感に溢れ、間違いを犯さない模範となる警官像。
しかし、警察官も人間です。事件を追う中で悩み、葛藤しながらも成長していく姿を描く作品もあれば、警察官でありながら犯罪行為に手を染めてしまう作品など設定も多様化しています。
今回の記事は、警察漫画における王道の設定と、特徴的な設定を持つ作品を紹介したいと思います。
『一平』
まずは、警察漫画の王道とも言えるのが『一平』ではないでしょうか。
『MOONLIGHT MILE』、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』執筆中の
太田垣康男先生が描く警察漫画です。
主人公の一平は正義感に溢れ、実直な性格。剣道の腕を上げ、憧れた浅倉警視を超えることだけが目標だった一平が、「剣業一致」を掲げ、その本当の意味を見出していく成長の物語です。
主人公の一平だけでなく全ての仲間たちが抱える過去の傷を、事件を通して少しずつ乗り越え成長していく重厚な人間ドラマは、王道にして警察漫画の最高峰だと断言しても過言ではありません。
『アブラカダブラ ~猟奇犯罪特捜室~』
「サイコパス」という言葉が世間に浸透し、漫画の題材としても非常に扱われる頻度が多くなっているように感じます。
さいとうたかを賞を受賞した『アブラカダブラ ~猟奇犯罪特捜室~』の、サイコパスを追う警察側を主人公にした物語は一見王道のストーリーです。
特徴的なのはサイコパスが一人ではなく、脳科学によって殺人鬼が意図的に作り上げられ、猟奇殺人が連鎖してくという部分です。
『ブルータル 殺人警察官の告白』
『ブルータル 殺人警察官の告白』、本作は反対に「サイコパス」を主人公にした作品となります。
『トレース 科捜研法医研究員の追想』公式スピンオフ作品です。
法で裁けない極悪人に対して、警視庁捜査一課のエリート警察官、壇浩輝が私刑を行う内容です。
警察でありながら法律を度外視し、殺人を犯す壇浩輝の行動原理は一つ、自分が善いことを行なっているという正義感。
他者の痛みへの共感能力に欠けたサイコパスならではの発想に恐怖を覚えると共に、裁かれた極悪人に対し自分の中で少しだけスッキリしている感覚を得ていることも逃れようのない事実です。
※グロに耐性がない方は注意が必要です。
『監視官 常守朱』
同じ「サイコパス」を扱った題材ですが「時間軸」が未来(西暦2112年)へ移っています。本作『監視官 常守朱』は、映画・アニメ共に非常に人気の高い『PSYCHO-PASS』のコミカライズの一つになります。
犯罪を起こす傾向や感情を読み取り、そこから割り出される犯罪係数の基準値を超えた者を裁くという犯罪予防には理想とも思えるシビュラシステムで統治された近未来。
シビュラシステムと密接に連動し、犯罪係数が高い時にしか作動しないドミネーターという銃を操る公安局が事件を追うストーリーです。
何よりも登場するキャラクター、アイテムが全てスタイリッシュで魅力的です。
『ドロ刑』
警察の捜査においてはバディ(相棒)はつきものです。
「警察以外を組み合わせたバディ」を組む警察漫画を紹介します。
ドロボウ犯を捕まえるスペシャリストの通称『ドロ刑』の班目刑事。
侵入経路不明、手口不明だがあえてタバコの煙を残していく伝説的大泥棒・煙鴉。
「ドロボウ」と「刑事」という相容れない関係のはずの二人が奇妙なバディ関係を築き、事件を解決していくストーリーです。
『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』
同じく「警察以外を組み合わせたバディ」物ですが『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』のバディは極道です。
警察官である龍崎イクオと極道の段野竜哉。特徴的なのは、復讐の為だけに二人が自らの意志で自身の職業を選んだこと、同じ施設で育った為、幼いころから変わらない家族のような絆があることです。
15年前に警察上層部にもみ消された殺人事件の、唯一の手掛かりである金時計をつけた犯人を探し出すという共通の目的を持ち、協力しあう二人。
互いの足りない部分を補い合い事件を追う中で人の愛情に触れ、それでも復讐の為だけに生きる二人の切なさと哀しさがストーリーを追うごとに加速していきます。
『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』
交番に勤務する女性警官を主人公にした『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』。
安定した職業につきたいという願いから受かったのが警察しかなく、辞めようと思っているというすごく今っぽい設定。
ギャグをベースにしながらも感動させるシーンもあり、すごくリアルな内容が描かれているのは泰三子先生の女性警察官として勤務経験があるからでしょうか。
『ミラー・ツインズ』
「主人公の警察官と犯人の関係性が特殊」な作品が『ミラー・ツインズ』です。
20年前に発生した誘拐事件によって双子の兄、葛城勇吾が連れ去られる。行方不明の兄を探すため警察官になった弟、葛城圭吾。
ある殺人事件の犯行現場に残されていた毛髪のDNAが一致したことから、無実の罪を着せられる葛城圭吾だが・・・
読者の予想を裏切る展開の数々に、先の読めないハラハラする内容となっています。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
「警察漫画のコメディ」で思い出すのはやはり、『こち亀』ではないでしょうか。
両津勘吉のお金に対するがめつさと圧倒的なバイタリティ、ビジネスセンスがあるようでない、どこか憎めない愛されるべきキャラクター。
武装した部長に怒られる安定のオチも何度見ても安心します。
ただ、ギャグの要素のみに留まらず、いつもいがみ合っている大原部長との信頼関係がわかる人情話しなんかも時折挟み込まれているところも魅力的です。
まとめ
様々な設定を持つ警察漫画を集めましたが、設定の組み合わせによってまだまだ新しい警察漫画が生まれてくるのを楽しみに待ちたいと思います。
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