ジャンプではもはや足りない?集英社がスタートアップと組みたい理由

こんにちは、アルの社長をやっている、けんすうといいます。最近、こんなニュースが出ていました。

「集英社がスタートアップと組むマンガテック2020を開催! 」

なんかすごそう!

そして、私も「メンター」として参加させていただくことになりました。やった!すごい!

ただし問題がありまして・・・。

どんなことをやるのかイマイチ把握していない!😱

いや、ものすごい詳細な資料もいただきましたし、丁寧にオンラインでの説明会も受けさせていただいたんですが、周りの人もいたので、突っ込んだ質問ができていないという感じです。

さすがに、今の状態でメンターをはじめてしまうのも申し訳ないし、だからといって「実はよくわかっていないんです」とは言い出せない雰囲気なので、インタビューと称して、

  • いったい何をやるの?

  • 何のためにスタートアップと組むの?

  • どうすれば成功なの?

を、聞いてみたいと思います!

お聞きするのは、主催の「少年ジャンプ+」編集長であり、マンガテック2020のゼネラルプロデューサーである、細野修平さんです。

今回、出てくる人たち

細野修平
マンガテック2020のゼネラルプロデューサー / メンター。少年ジャンプ+編集長。

アプリ・マンガ誌『少年ジャンプ+』の立ち上げに関わり、2017年から同誌の編集長を務める。2017年にスタートした「少年ジャンプアプリ開発コンテスト」事業責任者、Google Play Indie Games Festival審査員など、新規コンテンツ開発に携わる。管轄サービスは他に「ジャンプBOOKストア!」「MANGA Plus」「ジャンプの漫画学校」など。

古川健介

アルの代表取締役社長。マンガが好き。

マンガテック2020とは?

さっそく、「マンガテック2020」について聞きたいと思います!


僕は完璧に把握しているのですが、知らない読者のために、最初に簡単に説明してもらっていいですか?

(本当かな・・・?)

マンガテック2020は、簡単にいうと、「漫画を中心にした、出版事業に関するビジネスアイデアを募集するアクセラレータープログラム」です。

※アクセラレータープログラムとは?

大手の企業が、ベンチャーやスタートアップなどの新しい企業に対して、メンターや教育プログラムを提供しつつ、最後にはデモをプレゼンしてもらい、よいものがあったら協業や出資を最終的な目的にするプログラム。

へー、アイデアの募集なんですね。

はい、有望なビジネスアイデアをいくつか選んで、成長させるというのが今回のポイントとなります。


現時点で収益化が見込めていなくても、実現可能性が低くても大丈夫です。


あくまでアイデア段階の応募でかまいません。

アイデアだけでも可能性があるのは応募しやすそう!


でも、集英社さんって前も同じようなことをやっていませんでした?あれはうまくいかなかったんですか?

ジャンプ・デジタルラボ

ジャンプ・デジタルラボ

うまくいっていますよ!失礼な。

ただ、過去3年間やっていた「ジャンプアプリ開発コンテスト」、今は「ジャンプ・デジタルラボ」になりましたが、これは、審査通過後に開発資金を最大5000万円まで提供するというのをやっているんですね。


開発のクオリティが上げやすいというメリットはあるものの、この方式だと完成度が高い企画とか、実現可能性が高い企画を通しがちになっちゃうというのがありました。

え、めっちゃいいじゃないですか。それが何で問題なんですか?


実現可能性が高い企画を通して、クオリティ高いアプリができるなら、むしろ最高では・・・。

問題とまでは思っていないんです。ただ、ちゃんとした開発資金が出るので、ちゃんとした、大きめの企業が来て、ちゃんと作れる状態でした。


それはそれでよい部分でもあったんですが「今はダメだけど、育てればおもしろいことになりそう」というのもあったんです。でもそういった企画は通せなかった。


僕は、そういう「磨けば光る」ものが、もっとあるんじゃないかと思っているんです。


なので、今回、「おもしろければアイデアだけでもいい。」というのをやりたかったというわけです。

でも「アイデア」といっても幅広すぎて思いつかないんですけど、、、たとえばどういうのがありますか?


サイトの中では「農業」とか「美容」とかまで書いてありますね。

これまでなかった分野とマンガを組み合わせて新たな価値を生み出す、というのがテーマとありますが・・・。

実は、僕らもどういうものが来るのかわからないんです。


ただ、尖ったヤバイ企画が今回集まればいいなと思っています。なので、なるべく発想を自由にしてほしいと思ったんです。

でも細野さん・・・。


僕、いろいろなスタートアップに投資をしていたりもするんですが、言わせていただくと、「ヤバい企画を求める」と、本当にヤバいものが来ちゃいますよ。


アイデアがおもしろくても、実現できないと意味ないのでは?

はい、なので、今回、「メンター」たちにより、アイデアを育てることを主軸においています。


ヤバい企画を、ちゃんとメンターの手により、ビジネスとして成立するところまでお手伝いしたいなと。

へぇ・・・。メンターねぇ・・・。


でも集英社の人たちは、マンガを作るのは天才的でも、テクノロジーとかスタートアップとかには詳しくないじゃないですかァ?


本当に"メンター"になんてなれるんですかねェ・・・?

嫌味な聞き方をしないでください!


もちろん、僕たちはマンガのプロではあるのですが、テクノロジーについてはプロではありません。また、スタートアップへの投資やメンタリングもプロではないです。


そこで、一流のプロの人たちを呼んでメンターにしたのです。

あ!だから僕ら呼ばれたんですね。

むしろ、なんで呼ばれたと思ってたんですか・・・?

マンガテック2020のメンターの一部

マンガテック2020のメンターの一部

集英社の課題感

そもそも聞きたいんですけど、なんで集英社がこれをやるんですか?


『ジャンプ+』をはじめとして、集英社のDXは成功していると思うんです。


別に、わざわざスタートアップと組む必要ないんじゃないですか?

※DX・・・企業がテクノロジー駆使して、既存の事業をデジタルを活用して根本から変化させること。デジタルトランスフォーメーションの略。

たしかに、ありがたいことに、ジャンプ+などは、幅広いユーザーさんに使われています。


また、海外では、「MANGA Plus by SHUEISHA」などがかなりヒットをしています。

※MANGA Plus by SHUEISHA・・・「週刊少年ジャンプ」「週刊ヤングジャンプ」などに連載されているマンガ作品の正規版を、同時配信するサービス。日中韓を除く全世界で展開している。

ジャンプ+とかはIT業界からみても、かなりの成功例だと思うんですが、それでもこういうことをやろうとするには、集英社さんには何かしらの課題があると思うんです。


それがよく見えてこないので、詳しく教えてもらえませんか?

個人的に思っている課題の一つは、子どもへのリーチです。


ジャンプは、子どもたちに向かって最高におもしろいマンガを投げ続ける、ということをしてきたわけですが、「子どもたちをどう集めるか」というところは意外とノウハウがないんです。

え、むしろめちゃくちゃありそうじゃないですか。ジャンプだぞ?

もともとジャンプは、子どもの心をガッチリ掴んでいたんです。しかし、スマホが出てきて、動画やLINEなどが出てきたことにより、相対的にメディアとしてのマンガのリーチが落ちてます。


ジャンプというメディアのリーチ力が落ちたときに、新しいテクノロジーの中で、新たにリーチを作る、というところに関しては、僕らはあまり強くないんですね。

それを回復させたのがジャンプ+じゃないんですか?何いっているんですか?

なぜ、だんだん喧嘩腰に・・・。


ジャンプ+が子どもに届いているかというとちょっと違うと思うんですよね。


マンガを読む年齢が上がっているのか、ジャンプのリーチよりもやや年齢が上なんです。

たしかに僕の周りでもジャンプ+を読んでいる人多いんですが、ほとんど40歳近くの初老だ・・・。

ジャンプ+のUIが、低年齢の人たちにウケているかどうか?なども疑問です。

とにかく、このままいくと子どもたちへのリーチが減り続けてしまうという危機感は強いので、今回のマンガテックで、そこを解決するアイデアとかがあったら、ぜひ聞いてみたいですね。

なぜアクセラレーターをするのか?

しかし、こういっちゃなんですが、新しいサービスを作りたいなら、イケてるサービスを作る開発に発注したほうがシンプルじゃないですか?


僕が集英社の担当者だったら、おもしろそうなアイデアをガンガンと発注しちゃうかなーと思いまして。

僕らは、ただ新しいサービスを作りたいんじゃないんです。


おもしろいサービスを作れるような人とつながっていきたい、というのがあるんですね。

ほうほう。

マンガを作るのって、新人作家さんとつながり、その人たちと一緒になってがんばることで、一緒に成長していく。そして、そこからすごい作品・作家が出てくる・・・ということなんです。


なので、自分たちだけで作って、自分たちだけが利益を得る、というよりも、すごいアイデアを持っている人と出会って、一緒に成長したいというのがあるんです。

あー、なるほど、いいですね。漫画家さんと一緒というのはわかりやすいです。


しかし、こう、ぶっちゃけ、スタートアップってお金がなくてどうしようもないというのがあるんですが・・・。その・・・お金の面とかは・・・どうですか・・・?

そのあたり、出資とか協業とかも視野に入れたいと思っています。

おお!すごい。じゃあ、これがきっかけで集英社さんから出資されて、一緒にサービスを作っていくというのもありえるわけですね!

理想としては、ここから『ジャンプ+』を超えるような、すごいサービスが生まれてほしいです!


もちろん、Webサービス以外にもテクノロジーを駆使したものであれば、どんどんアイデアを見たいです。

アイデアのヒントをください!

細野さん!アイデアだけがあればいい、ということですが、、


応募する人に向けて、なんかちょっとアイデアのヒントをもらえないでしょうか?

まず、マンガの可能性はまだまだあると思っています。たとえば、同時接続的な、リアルタイムに体験ができたりはまだ出来ていないので、ありえるかなと。

マンガってアプリで読むと、かなり個人に閉じがちですもんね。もっとみんなでワイワイ読みたい!というのはめちゃくちゃわかります。

また、さんざんマンガの話をしてしまいましたが、集英社のキャラクターを使ったビジネスもあると思います。


長い歴史があり、世界中の人が知ってるようなキャラクターもあります。これらを活用したアイデアもありうるかなと。

なるほど!キャラクター!

あと「マンガでビジネスをする」という軸ではなく、「社会課題を、マンガで解決する」という軸でもありです。


社会に今ある課題を、マンガを使うと、スムーズに解決できる、というのもおもしろそうです。

うちがやっている「アル」というサービスがあるんですが、こういう既存のサービスを使ってもいいんですか?

はい、すでにあるサービスを活用していただいてもかまいません。

マジすか!すぐ出します!

いや、けんすうさんはメンターですからね?!

応募をするならここから!

マンガテック2020についてガッツリと、ジャンプ+編集長、細野さんにインタビューさせていただきました。

スタートアップには、とてもおもしろいチャンスです。おもしろいアイデアがある会社はぜひとも気軽に、説明会だけでも来てみてはいかがでしょうか?

ご応募はこちらから!

OGP及び記事内の画像はマンガテック2020公式ページより引用させていただきました。