『鉄腕ガール』『球詠』に続く、女子野球マンガの新境地!『八月のシンデレラナインS』が魅せる、少女たちが追う町おこしの夢

国も性別も年齢も越えて、人々を魅了するスポーツ・野球。

それはマンガの世界でも変わりません。長きにわたり、読者に愛される数多くの野球マンガが生まれてきました。そして2021年、新たなムーブメントを予感させる野球マンガ『八月のシンデレラナインS』が誕生しました。

八月のシンデレラナインS』は、故郷への愛に溢れる新時代の女子野球マンガです。

設備の不十分さ、男子と比べた時の競技レベルが異なることなど、決して優遇された環境ではない女子野球という世界。

『八月のシンデレラナインS』でも、野球を続けることの苦悩が吐露されています。

本記事では、逆境の中でも輝き続ける女子野球マンガの名作たちを振り返りながら、新しいアプローチから女子野球部の姿を描く『八月のシンデレラナインSのみどころをご紹介していきます。

魅力的な女子野球マンガたち

現在、女子硬式野球の競技人口はおよそ2500人に到達しています。

着実に競技人口を増やしてきた女子野球ですが、そんな女子野球の姿がマンガではどのように描かれてきたのでしょうか

作品紹介と共に振り返っていきます。

熱狂の時代 女子プロ野球発足の軌跡

戦後の日本に、数年間だけ女子プロ野球が存在していたのはご存知でしょうか。賭け事の流行と共に野球ブームが到来し、そこから生まれたのが女子プロ野球です。

女子プロ野球は、女性たちの解放を謳う新しい時代の象徴でしたが、時代の移り変わりとともに役目を終え、姿を消すこととなりました。

花火のように輝いた、熱狂の時代。そんな歴史的な瞬間を描いた名作達です

鉄腕ガール

鉄腕ガール(1) (モーニングコミックス)
高橋ツトム/著

戦後の女子プロ野球を舞台に、時代の波に翻弄された人々の姿を描いた女子プロ野球マンガの金字塔です。

女子プロ野球という新時代の象徴を華やかに描きながら、その陰では終始裏社会の血なまぐささが漂っています。

不条理な逆境もねじ伏せて進む、圧倒的カリスマ性をもつ主人公・加納トメ。

勝てば米国から一千億円を引っ張れる日米戦の行方は…。

野球と歩んだひとりの女性の生きざまを、迫力の筆致で描いた名作です。

なでしこナイン

なでしこナイン 1巻
東元/著

野球に打ち込む女子高生・球子がタイムスリップした先は、戦後の女子プロ野球が開幕する直前の日本。

タイムスリップという、まさかのSF要素に驚くことなかれ

女子プロ野球が徐々に花開いていく時間の流れと、祖母の代から続く野球との縁が交錯する面白さに脱帽です。

胸に響くノスタルジックな読後感に、野球好きならずとも心を動かされるはずです。

華の女子野球部!マンガが描き出す青春

ちょうど競技人口が増え始めた2010年以降に発表された作品たちは、部活系を中心に実にバラエティ豊か

仲間と共に頂点を目指す姿が描かれる熱い展開にハラハラさせられます。

可愛らしさを感じる作風が多く、女子野球が歴史的なものから親しみやすいものに変化してきたことを感じます。

マックミランの女子野球部

マックミランの女子野球部(1) (週刊少年マガジンコミックス)
須賀達郎/著

女子野球部の面々と、男子マネージャーが織りなすショート&4コマ野球コメディ

圧倒的母性を持った男子マネージャー・清正と、実力と可愛さを兼ね備えた女子部員たちとのやりとりにほんわかさせられます。

難しいルールも、4コマなら分かりやすい!

テンポの良い4コマをサクサク読み進めていくうちに、気づけばTHE・野球部を感じるアツい展開にどっぷりハマってしまいました。

花鈴のマウンド

花鈴のマウンド 1巻
角谷建耀知/著,星桜高校マンガ研究会/著,星桜高校漫画研究会/その他

女の子だって甲子園!!」をキャッチコピーに、甲子園で登板することを夢見る女子高生・花鈴の姿を描いた物語。

元気で前向きな主人公・実力派で容姿端麗なライバル、といった王道なキャラクター設定に加え、幼馴染とチームメイトとの三角関係など、少女マンガ的な面白さも兼ね備えています。

これから野球選手を目指す女性たちの入門書的な1冊となるよう、野球の全体像が細かく描かれている点も特徴的です。

球詠

球詠 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
マウンテンプクイチ/著

魔球を投げられるがゆえに、中学時代はチームになじめなかったヨミと、幼馴染のタマが高校で再会。

それぞれに苦悩を背負ったチームメイトたちが集結し、全国大会に向けて走り出します。

かわいらしい絵柄からゆるふわ野球マンガなのかと思いきや、専門知識の応酬に驚かされる本作。

女子野球選手たちの技術力の高さが垣間見える、緻密な試合展開に唸ります。

セーラーエース

セーラーエース(1) (ヤングマガジンコミックス)
しげの秀一/著

今まで誰も見たことない、ギャルと野球の融合

野球から戦線離脱しギャル道をつきすすんでいた天才野球女子高生・桜木繭が、野球部へ再復帰。投打ともに優れた、圧倒的エースの存在感を見せつけます。

いい具合にゆるりとした雰囲気のまゆが、野球となるとキリリと豹変する姿がかっこいいんです。

美意識の高さゆえの美しいプロポーションや、試合中のかわいいヘアスタイルからも感じられるまゆの女心にドキッとさせられます。

そして動き出す新たな物語

初の女子プロ野球開幕はドラマティックに、部活動では一層ひたむきに。様々な切り口で女子野球の魅力が表現されてきました。

そして今、『八月のシンデレラナインS』ではまったく新しいアプローチから女子野球の姿を描き出しています。

もしも、あなたの大切な故郷がなくなってしまうとしたら?

大切な居場所を手放さなければいけなくなったら?

そんな難題に立ち向かう、新たなシンデレラたちの物語をあなたも一緒に応援してください。

『八月のシンデレラナインS』あらすじ

人数不足、設備維持、多くの課題を抱え存続が危ぶまれる泰原高校野球部

主人公・鈴村あすはは、寂れて元気をなくした街に活気を取り戻すため、廃部寸前の野球部再建に乗り出します。

あすはの「野球で街を元気にする!」という大きな夢に共鳴したチームメイトたち。

新たな目標とともに、新生・泰原高校野球部が動き出します。

誰にも負けない故郷愛!あすはが信じる野球の可能性

本作のテーマは、まごうことなく「街を元気にする」こと。故郷の活性化です。

あすはは、わたしはこの街が大好き!と初対面の同級生に公言するほど郷土愛に溢れたアツいキャラクター。


大好きな街がそのうちなくなってしまうかもしれない、という現実を前に、止まっていることなどできませんでした。


考えなしな時もありますが、部員にも一目置かれるあすはの行動力は少しずつチームの空気を変えていくのです。

そんなあすはの根っこにあるのは、かつて野球で栄えていた街の姿でした。


そして、過去に甲子園の土を踏んだ泰原高校野球部の姿は、今も街の人々の脳裏に焼きついています。


甲子園出場チームを応援するときの、街全体を包み込む高揚感。

晴れの舞台で故郷の看板を背負って闘う勇姿に一喜一憂し、そんなチームが地元から生まれたことに誇らしさすら感じる。

あすはが取り戻したいのは、街全体が自分たちの故郷を誇らしく思う気持ちなのかもしれません。

あすはに負けない!?脇を固めるキャラクターたち

肝心の野球パートも、目が離せない展開で楽しませてくれます。

野球はまだまだ初心者のあすはですが、おそるべき速球の持ち主でした。


そんなあすはの球を受けるのは、キャッチャー経験者の里穂。


オンラインゲームに夢中の彼女は、野球部とゲーム攻略のはざまで揺れていました。

経験者の里穂が野球から遠ざかっている理由とは?果たして、揺れる里穂の心はどんな答えを出すのでしょうか。


野球経験者の新任監督・じゅり先生はなんだか謎多き様子。泰原高校に全国レベルの実力をつけさせるキーマンとなりそうです。


さらに、まさかの練習試合に乱入して登場というライバルのエレノア。あすはとは別の意味で猪突猛進気味!?

試合の行方をお楽しみに!

『八月のシンデレラナインS』これからどうなる!?

廃部となりそうだった野球部を見事に復活させたあすは。

今度は、失われそうな故郷の景色を守らなければいけません。


2021年には、女子野球大会も甲子園球場で開催され大きな話題となりました。

あすはたちの目指す街の活性化の先にも、もしかしたら甲子園出場があるのかも!?

泰原高校野球部は、地域を巻き込む熱狂をどのように生み出していくのでしょうか。

野球を愛し、故郷を愛す。

ひたむきな野球少女たちの青春劇『八月のシンデレラナインS』が、女子野球マンガの新境地を見せてくれるはずです。

『八月のシンデレラナインS』を楽しむなら

『八月のシンデレラナインS』は、週刊少年チャンピオンで大人気連載中です。

第一話がこちらで無料公開中!

単行本1巻も好評発売中です。

原作となっている野球型青春体験ゲーム『八月のシンデレラナイン』では、あなたが監督となって女子野球部を甲子園に導いていくストーリーを楽しめます。

マンガで、ゲームで、ぜひ『ハチナイ』ワールドをご堪能ください。

執筆/あまみん

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