劇画家さいとう・たかを先生が生みだした名作『ゴルゴ13』。
暗殺者の主人公・ゴルゴ13は、そのコードネームと鋭い眼光に屈強な体格ということ以外全て謎に包まれており、そのミステリアスな存在かつハードボイルドな物語に多くの読者が魅了され続けて来ました。
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その彼の生みの親であるさいとう・たかを先生は一体どんな人物だったのでしょうか?
さいとう先生の来歴
さいとう・たかを先生は1936年和歌山県生まれ。
1955年『空気男爵』でデビュー。貸本向けマンガを中心的存在として大阪を拠点に精力的に活動する。1960年『台風五郎』での大ヒットで不動の人気を獲得した後に活動拠点を東京に移し「さいとう・プロダクション」を設立。
1968年に『ゴルゴ13』の連載がスタートし、2021年9月に最新刊202巻が発行。
また小説家・池波正太郎先生の小説をコミカライズした『鬼平犯科帳』、大震災により文明が滅んだ世界で生きる少年・サトルの物語『サバイバル』等多くの劇画マンガを輩出して来ました。
1936年 | 和歌山県にて誕生 |
1960年 | 『台風五郎』でデビュー |
1968年 | 『ゴルゴ13』連載スタート |
1975年 | 第21回小学館漫画賞受賞 |
2002年 | 第31回日本漫画家協会賞・大賞受賞 |
2003年 | 紫綬褒章受章 |
2004年 | 第50回小学館漫画賞審査委員特別賞受賞 |
2010年 | 旭日小綬章受章 |
2018年 | 『ゴルゴ13』連載50年を迎え、和歌山県文化表彰文化賞の表彰を受ける |
2019年 | 第23回手塚治虫文化賞特別賞を受賞 |
2020年 | 画業65周年を迎える |
2021年 | シリーズ累計部数3億部 『ゴルゴ13』単行本が201巻を突破し「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定(2021年7月5日時点の記録) 9月に202巻発行 |
さいとう先生の数々の偉業
劇画マンガの先駆け
さいとう先生は従来のデフォルメ描写で作られるマンガ表現から一線を画し、人物や風景を実物に近い作風で描く「劇画」によるマンガ表現を生み出しました。この作風に多くのマンガ家が影響を受け、今日の青年マンガ表現の礎ともなっています。
また、「さいとう・プロダクション」のHPにて、劇画技術を公開した劇画家を目指す人のテキスト「さいとう・たかをの劇画専科 初等科コース(リイド社/1980年刊/絶版)」の内容が無料で公開されています。(PCからのみ閲覧可能となっています)とても分かりやすく勉強になるので絵やマンガの勉強を始めたい方にオススメです!
▼「さいとう・たかをの劇画専科 初等科コース」
https://www.saito-pro.co.jp/gekigafound_specialcourse/index.html
連載が継続された長さ
1968年から連載が始まって以来50年以上続く『ゴルゴ13』は、2021年10月現在で202巻まで発行されており、「最も発行巻数が多い単一マンガシリーズ」としてギネス記録に認定されました。(2021年7月5日時点の記録)
特設サイトではギネス記録を記念して厳選された名作エピソードが無料で公開されていますので、是非読んでゴルゴ13の活躍を見て下さい!
▼ギネス記録記念特設サイト
『鬼平犯科帳』の連載も1993年から始まって以来28年続き、その忙しい中にも関わらず、2021年7月には『ビッグコミック』にて新連載『銃器職人(ガンスミス)・デイブ』を開始させており、精力的な創作活動をされていました。
マンガ制作における「分業制」を確立
さいとう先生は「さいとう・プロダクション」を設立し、シナリオと作画を分業化して制作していくというスタイルを築き上げました。
今でこそ原作者がいるマンガ作品を多く散見しますが、基本的にシナリオと作画を両方作家が一人で行うことが当たり前だった時代に生れたこのシステムは、マンガ文化における大革命だったのではないでしょうか。
先生の亡き後も『ゴルゴ13』、『鬼平犯科帳』の連載がスタッフの方々の手により継続されるという決定は、さいとう先生の意志であると共に、スタッフとの制作の連携や技術が受け継がれたからこそ出来たことです。
物語はこれからも続く
………だが、物語は続く。 pic.twitter.com/g5y6jkzGFZ— ビッグコミック編集部 (@bigcomic_mg) September 29, 2021
迫力ある劇画により、大人の為のエンタメとしてもマンガの魅力と可能性を広げていったさいとう先生が生み出した作品は今後も続き、世界情勢を常に反映しその激動の中を生きるゴルゴ13も、存在して生き続けます。今後もさいとう・プロダクションによる物語の続き、ゴルゴ13達の生き様を是非ご覧下さい。
また、さいとう・たかを先生のことをより深く知りたいと思った方にはマンガ家・カメントツ先生のルポマンガ『カメントツの漫画ならず道』の第2巻に掲載されたインタビューマンガを読むこともオススメします。