新型コロナウイルスの影響でリモートワークを実施する企業が増えているなか、在宅で働きすぎてしまう部下と、それを防ごうとする上司を描いた作品がTwitterで1.2万RT、5.3万いいね(5月19日時点)と多くの人に読まれました。作品を紹介するとともに、作者の山田しいた先生に制作の意図について話を伺いました。
『問われる上司のストーカースキルの話』
©︎山田しいた
©︎山田しいた
©︎山田しいた
©︎山田しいた
元のツイートはこちら。
山田しいた先生にインタビュー!
ーーインタビューをご快諾くださりありがとうございます!山田先生はマンガ家になられる以前、実際にIT企業でエンジニアとして働かれていたんですよね。
はい。大学生の頃からマンガ家になりたかったのですが、賞の落選などを経てプロは一度諦めてIT企業に新卒入社し、社内SEとして8年在籍しました。その間、入社6年目ぐらいに趣味で描いていた作品で漫画賞をいただきました。そしてふとキャリアを考えたとき、エンジニアとして同僚にも取引先にもスキルと情熱で勝てる気がしなかったのと、マンガ家への憧れが強かったので会社を退職し、専業作家を目指しました。
その後、2017年頃に行われたコンペを経て、2018年6月に「コミックDAYS」にて『乙女文藝ハッカソン』でデビューし、2019年4月まで連載されました。今は編集者さんとの打ち合わせや持ち込みをしながら、修業や認知向上、企画の種まきなどを兼ねてTwitterでマンガを描いています。
『乙女文藝ハッカソン』の情報はこちらから!
ーー山田先生が『問われる上司のストーカースキルの話』を描かれたきっかけについて教えてください。
以前からIT企業の「あるあるネタ」をテーマにしたシリーズを描いており、その一環で「上司とのリモート飲み会」を題材に考えた作品です。
顧客が本当に必要だったものの話 pic.twitter.com/LMpYPPReOL— 山田しいた💦👏😷 (@yamada_theta) December 27, 2019
山田先生のこちらのツイートに過去のシリーズ作品がぶら下がっております。ぜひご覧ください!
以前、「上司とのリモート飲み会が辛い」という意見がSNSで見ました。気持ちは分かる一方、上司の立場からすれば報告や成果物から見えにくい状況下で、部下にどれだけ負荷がかかっているのかを把握し、フォローしたい意図もあるように思います。そこで、両者の立場からの視点を4ページぐらいで描けたらと思い、制作を始めました。
ーー『問われる上司のストーカースキルの話』は多くの人に読まれましたが、その理由は何だと思われますか?
部下の残業を上司の責任で止めた展開かと思います。
ーーなるほど。作品を読まれた方たちからの反応で、印象深いものはありましたか?
最後に酔っぱらった部下の女性が方言で話すシーンについて、栃木弁なのか茨城弁なのかが議論され、長いリプライツリーができていた点です。設定上、栃木弁を想定しております。
ーー作品のディティールについて議論が盛り上がるのは、Twitterならではですね(笑)。最後に、何か伝えておきたい想いなどがあれば教えてください!
新型コロナウイルスの影響で大変な状況で、私ができることはほとんどありませんが、在宅中に楽しんでいただけるマンガをご提供していければと思います。
宣伝になりますが、「ハッカソン形式で小説を描こう」というテーマの創作ハウツーマンガ『乙女文藝ハッカソン』が3巻まで発売されていますので、お手に取っていただけたら幸いです。在宅中に「小説でも書こうかな」と思われた方が執筆される際に、少しでもお役に立てば幸いです。
あとがき
山田しいた先生、急なインタビューのお願いに応えてくださり誠にありがとうございました!部下のSNSアカウントを全て把握しているような“ストーカースキル”の高い上司に多少の怖さも感じつつ、一人ひとりの仕事の状況が見えづらいリモートワーク下において、彼のような気遣いはとても素敵だなと思いました。
山田先生は「上司とのリモート飲み会が辛い」という意見を目にされ、この作品を描かれました。もちろん不要に感じられる上司とのコミュニケーションに苦痛を感じるようなケースもあるのでしょうが、直接会って話せない状況下だからこそ、仕事相手の意図をお互いに想像し合うことが大切なのだと思います。リモートワークに適した新しいコミュニケーションの形を探っていく必要性を感じる日々です。
***
山田しいた先生のTwitterアカウントはこちら。
『乙女文藝ハッカソン』のコミックスはこちら。