漫画・MV・小説が交錯する物語『GABULI(ガブリ)』IDで管理された世界に生きるはぐれ者たちの決断

GABULI(ガブリ)』は、SNS漫画とボカロPコラボMV、さらに小説を合わせて物語を紡いでいくジャンル越境型のエンターテイメント作品です。原作はCreativeTeam No.965(クロコ)、キャラクター原案は『転生したらスライムだった件』のみっつばー先生です。

デビュー曲「うっせぇわ」が社会現象といえるほどの大ヒットとなったAdoさんとのコラボMVは、2021年12月時点ですでに150万再生ごえ。MVにはさらに、柊キライさん、Jon-YAKITORYさんなどのヒットビートメーカーたちが、作品の遺伝子を受け継ぐように次々と参加しています。

IDを失くした少女

iD-NA(アイディーエヌエー)という遺伝子情報紐づけられたID認証システムによって、個人情報が完全管理された世界。IDを持たない者NoIDs(ノイズ)としてスラム街に暮らしているのは、二人の少年リウとタフです。IDによってタグ付けされた世界では、NoIDsは世界の理から外れた人間であり、犯罪者として蔑まれていました。

左:類まれな洞察力を持つ暴き屋のリウ。
右:強大な力を持つ暴れ屋のタフ。

彼らは突然IDを失い、路頭に迷う少女・北条悠月(ほうじょうゆづき)に出会います。平穏な生活から一変、悠月はNoIDs扱いされ、公安から追われる身に。その時、悠月の身体に刻まれた「ある模様」を目にしたリウは、悠月を助けることを決めるのでした。

リウとタフの出生の秘密とは

目つきも体格もそっくりなリウとタフ。二人の腕には似たような「模様」が刻まれていました。リウには左腕、タフには右腕です。


目の下の三本線の模様もリウは左目の下、タフは右目の下にあります。


まるで双子のような二人は、いったいどこから来たのでしょう。驚異的な知性をもつリウにとって、自分自身が最大の謎そのものなのでした。

アクションと頭脳戦、だけじゃない!

迫力あるアクションシーンに、桁外れの知性、個性的なキャラクターたち。どれも少年漫画の王道的要素ですが、はぐれ少年漫画を名乗る『GABULI(ガブリ)』がいわゆる「王道」漫画と違うのは、漫画では描かれていないストーリーがMVや小説で語られているところです。

MVを通じて想像させる物語の密度

『GABULI(ガブリ)』の世界観を映像と音楽で伝えているMVは、リウとタフの過去を伝える物語として読み解くこともできます。

1話のタイトル「hide-and-SEEK」。そしてリウとタフの通り名「Hide and Seek」は、英語で「かくれんぼ」のこと。いーち、にー、さーん…のカウントダウンと共に豹変するタフ。タフの人間離れした能力の裏には、果たしてどんな秘密が隠されているのでしょうか。

MV第0編には、漫画版1話の表紙トビラにしか登場していない黒髪の人物がリウやタフと並んで登場します。

主要人物のようですが、漫画版第4話までの間には登場しません。彼女はいったい⁉

世界の謎を考察せよ!

物語冒頭から気になるのは、リウとタフのビジュアルの酷似性です。双子の兄弟なのかと思いきや、二人の幼少期を描いたと思われるMVには、二人が一緒にいるところは見かけません。

目の下の模様も、下記のサムネイルにあるように、リウには左目の下に模様がありますが、タフの目の下には描かれていません。

さらにタフの幼少期MVには、目の下の三本線だけでなく、腕の模様も描かれていません。

「模様」でつながる悠月とリウ&タフ。彼らの出生の秘密は、物語の謎を紐解くキーなのでは。考察が好きな方は目の模様と腕のパターンにも注目してみてください!

小説版との共通点

noteで連載中の小説版『GABULI(ガブリ)』by No.965。3分小説「白鴉」では、リウとタフの物語とは全く別のミリアムという主人公を軸に物語が展開されます。

『GABULI(ガブリ)』にも出てくるアイテムは「黄色いコート」です。『GABULI(ガブリ)』1話の表紙、そして3分小説「白鴉」1話の最初にもフード付きの黄色いコートが描かれています。「白鴉」の1~3話には、リウとタフに関係する描写は現れません。

しかし、『GABULI(ガブリ)』とつけられた作品シリーズの中で展開されている物語です。今後、なんらかの形でリウとタフの物語と紐づいていくのではないでしょうか。

漫画・映像・音楽・小説とジャンルを超えて構築されるストーリーは、まるでエンタメの突然変異体。Twitterでは『GABULI(ガブリ)』の世界観や先だし予告などの情報が公開されているので、ぜひフォローをしてみてください!