昔住んでいた街のカフェで出会った1匹の看板猫、そしてその猫を愛した人々との思い出をたどる物語『サルヴァドール』。
どこか懐かしいぬくもりを感じる色彩が印象的ですがなんと全編がアナログ、しかも水彩で描かれているのです。
緩やかで暖かい時間が流れる場所で生まれる不思議なめぐり合わせを水彩色鉛筆と透明水彩で描いた圧巻の本作。2014年〜2015年にかけて制作された少し前の作品ですが、その歳月を感じさせないほど鮮烈な魅力を放ちます。
そんな『サルヴァドール』が先日電子書籍として配信が始まりました。そして、配信を目前に控えた時、作者の歩先生が改めて本作を読みの直して感じたこと...。それは、創作に携わる人に関わらず、目標に向かって突き進む人なら誰しもが忘れてはいけないとある「衝動」でした。
*オールカラー100P+21ページのおまけ(キャラクター表やカラー絵コンテ)付きです
「初期衝動」を忘れずに受け継ぐことの大切さ
ある日、マンガを描くことに行き詰り本棚を探っていた歩先生は『サルヴァドール』の原稿を見つけます。そして、当時の原稿を改めて見ると、自分の記憶よりもずっと繊細で当時の自分の凄まじい情熱を感じたのです。
まさに歩先生の「初期衝動」が宿る『サルヴァドール』。そしてこの「初期衝動」は、後に『ECHOES』というバスケットとトランスジェンダーをテーマにした作品で、歩先生を第7回「このマンガがすごい!」大賞で最優秀賞という夢の舞台へと導きます。
成長するに従って、思わず過去の自分を切り捨てたくなることがあるかもしれません。ですが、今までの自分を認め、当時の「初期衝動」を決して忘れずに受け継いでいくことの大切さを歩先生は私たちに教えてくれます。
過去の自分を絶対にバカにしちゃいけないと思った話(1/2)#サルヴァドール #コルクラボマンガ専科 pic.twitter.com/WjtXCceVXj— 歩 🏀BREAK THE BORDER🦁 (@ayumi_draw) August 24, 2021
歩先生が次に挑むのは
歩先生が次に挑むのは『ECHOES』の続編となる『BREAK THE BORDER』です。
中学最後の試合で友人を怪我させてしまい、大好きなバスケを辞めようとしていた青。そんな青が新緑高校に入学して出会ったのは孤高のエース・飛鳥。飛鳥のプレーに心奪われた青は新緑女子バスケ部への入部を決意するのですが、そこで青を待ち受けていたのは複雑な事情を抱えたチームメイトたちでした。
『サルヴァドール』の時から感じる歩先生の超絶画力は『BREAK THE BORDER』でも健在。むしろさらにパワーアップしています。『ECHOES』では描き切れなかったチームメイトたちそれぞれの個性や成長ドラマ、臨場感溢れる練習や試合のシーンは必見です。
「初期衝動」を胸に前へと進み続ける歩先生が新たに紡ぐ物語『BREAK THE BORDER』。ぜひ、歩先生の今までの作品も手に取ってみてください。
『サルヴァドール』及びツイートの画像はコルク許諾の元掲載しています。
『BREAK THE BORDER』の画像はTwitter一括アップくんの事前画像利用許諾を受けて掲載しています。©Ayumi/Cork