のだめカンタービレ

二ノ宮知子 / 著

まあるい音楽の粒が踊り出す!『のだめカンタービレ』でクラシックと変態の世界へ踏み出そう。

アニメ、ドラマ、映画化され多くの人がその名前は知っているであろう、二ノ宮和子先生の『のだめカンタービレ』。女性向けマンガ雑誌『Kiss』で2001年から2010年にかけて掲載され、メディアミックスに伴い日本にクラシックブームを引き起こしました。

今では多くの名作が生まれているクラシック音楽というジャンルですが、その先駆けとも言えるべき本作の魅力を改めてお届け致します!

のだめカンタービレ
二ノ宮知子

あらすじ

世界的ピアニストを父に持ち、自身も音楽的才能に恵まれ指揮者を目指す音大のスター、千秋真一(通称”千秋さま”)。唯一無二のピアノの音色を持ちながら、プロには全く興味がなく保育園の先生を目指していた野田恵(通称”のだめ”)。たまたま同じアパートの隣同士に住んでいた2人がふとしたきっかけで出会い、仲間に囲まれながらお互い影響し合い、成長していく。

…うん、とても綺麗な絵が浮かぶ。間違ってはいない、間違ってはいないが、実際は華やか学園物ラブストーリーとは1光年くらい距離がある。だって全員キャラが濃すぎるから!!

登場人物全員アク!(悪ではない)

何よりもまず、のだめが変人&変態。3日は風呂に入らず部屋はゴミ屋敷、大好物は千秋さまのシャツの匂い。集中し出すと抜け殻になるまでピアノを弾き続け、奇声を発して飛び蹴りをかます。

千秋さまも常識人ぶってその実かなり変態的で、そして何より、毎日プロ級の料理で餌付けし、ゴミ屋敷を片付け、常にのだめの世話を焼いてしまうという致命的弱点を持つ。

周りを囲む登場人物もことごとく濃度が高く常にキャラ渋滞…そう、物語の基本はギャグ要素高めのコメディー。でも!!

先生も破天荒だった…!?

きっとクラシックが好きになる

物語を彩る、様々なクラシックの名曲たち。音楽家やその卵たちの生活、成長、苦悩。この漫画の根底はあくまでクラシック音楽とそれに携わる人たち。紙面から溢れる音楽に、私のようにクラシックに触れてこなかった人、敷居が高いと感じていた人も、きっと耳を傾けたくなるはず。

解説的な内容にはほとんど踏み込まず、楽しい、悲しい、美しいといったイメージの想起が重視されているのも初心者に優しい。ちなみに私は全巻読み終わった後、人生初のクラシックコンサートに行きました。めちゃくちゃ良かったです!!

真面目なストーリーも恋愛要素も、今では自主規制が入りそうな身体を張ったギャグも、もちろん音楽についても、このマンガには沢山の粒たちが詰まっています。

みなさんも『のだめカンタービレ』でクラシックの世界、そしてのだめが誘う変態の森へと踏み出してみては如何でしょうか。

のだめカンタービレ(1) (Kissコミックス)
二ノ宮知子/著