「文学」や「芸術」は何の為に存在し続けているのか。
最近それについて改めて考える事が多くなった様に思う。
生活が制限されて仕事や買い出し以外は基本的に家に籠らざるを得なくなり、本屋や映画館、劇場に足を運ぶ機会が少なかったからだろうか。
文学や芸術の存在意義
『エコール・ド・プラトーン』を読むと、物語の世界観がどこか今の状況と重なって見えてくる。
関東大震災により生活が急変した大正時代が舞台になっており、それは関東圏の文化が翳りを見せた時代だ。
何もかも焼け果て、食べていくことで精一杯な状態だったのであろうことが画面からも伝わってくる。
また、不確かな情報に右往左往する様を作中に登場する芥川龍之介が「皆 百姓に戻ってしまったね」と言い表す場面があるが、その言葉はSNS等で情報に振り回される現代人にも通じている気がし、人としての未熟さを誌面越しに見透かされている様でどきりとしてしまった。
そんな境遇の中、一人の青年が希望を胸に東京から大阪の地を踏み出す。
名前は川口松太郎
この作品の主人公であり後に直木賞を受賞する彼は、賞の名前の由来である直木三十二と共にプラトーン社で発行される新雑誌「苦楽」の編集者として活躍を見せる男でもある。
本編には有名な文豪や芸術家が登場する。
芥川の友人であり芥川賞を設立した菊池寛
「芸術は爆発だ!」の言葉や「太陽の塔」で有名な芸術家・岡本太郎
そしてその母で歌人の岡本かの子
松太郎を大阪に招いた「新劇の祖」と呼ばれる小山内薫
小山内を唯一「先生」と呼ぶ谷崎潤一郎
作中で彼らとの出会いを通じ、松太郎や直木らは小説を書くことを勧められる。
松太郎に関しては小説を書くエピソードは本編に登場しないが、直木が筆を取って書いた小説を大絶賛する場面が描かれる。
その時の松太郎の様子は面白い作品を前に興奮する我々と同じで親近感を抱かずにはいられない。
彼らはその時代にいた
人の関わりが後にどうなるかわからないという未知の面白さと、「運命」という言葉で括るのが惜しくなるようなゾクリとする快感の同居。それは実在する人物が題材にした作品の魅力のひとつだと言えるだろう。
また、小山内が
「自由劇場を興した理由 それは 生きたいからであります」
と言った過去を谷崎伝いに耳にした松太郎の彼への言葉が胸を打つ。
人間の肉体を生かす為には栄養が必要で、心を生かすにもまた栄養が必要なのだ。
文学と芸術とその力
関東大震災があり、決して「最良の時代」と呼べるものではないと理解しながらも、当時の文学や芸術への溢れんばかりの熱気に想いを馳せずにはいられない。
文学や芸術に支えられて日々を生きて来た者として、私も松太郎の様に未来への期待を胸一杯にしながら苦楽を乗り越えこの令和を生き抜いていきたい。
そう思わせる素晴らしい作品なので是非読んで、改めて文学や芸術にも触れて欲しい。
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