四人の神に見守られる古いしきたりの村に、双子が生まれた。双子の父親・捨吉は、妻の命と引き換えに生まれた子の一人を捨てることを一度は拒むが、逆らえずに山に登る。
捨てる子を忘れぬために子にアンと名前を付け、両目を自ら潰して一人、山を下りる。
四ツ神とは何か、この村はなぜ存在するのか
50歳になると「知命(ちめい)」として死に、あの世へと去るのが村の決まり。しかし、村を去った人たちがどこに行くのかは誰も知らない。彼らは本当に死んでいるのだろうか。
また、この村では夜に四人の神が動き出すため、誰も外に出てはいけないことになっている。四ツ神の包囲を超えて、村の外に出た人はこれまで一人もいないのだ。
捨吉に育てられた杏は、村のさまざまな決まりについて疑問を抱きながら、眠れぬ夜を過ごす。
読み進めるごとにただの「古代日本」ではない村の秘密が暴かれ始め、読者を強烈に惹きつけていく。
お互いを知らぬまま育った娘の運命とは
村を取り仕切る名主「あやめ」の葬列に颯爽と現れたのは捨てたはずの双子の片割れ、アン。暴れまわるアンを目にし、杏の心も揺れ動く。さらに彼女が「あやめ」のしわだらけの皮をかぶって現れたことで、村の秩序は徐々に乱れていく。
『ランド』8巻は好評発売中! 闇夜を翔けるアンの表紙が目印!
激しい怒りはアンを「この世」へ突き動かした。それに呼応するように杏は・・・。
平治、平太。親子の「世界」は広がっていくが、大きな闇は未だ隠されたまま。
音もなく蔓延する「絶望」を振り払うため、気付いた者たちは蠢動していく。 pic.twitter.com/niKmvkdgRR— 山下和美『ランド』8発売中! (@LAND_morning) March 31, 2019
自由に生きる謎の少年、和音
物語の序盤から現れる自由奔放な少年、和音。あやめの跡継ぎは娘の蓮華のはずだが、あやめは遺言として、なぜかこの少年、和音を守って欲しいと言い残す。
ふらふらと村内をうろついているように見える和音は、実は村の外と内を自由に渡り歩きながら暮らしていた。杏の優しい性格と才能に気づいた和音は、「現代」の知識を少しずつ杏に託し始める。
命とは何か、人間とは何か
昔の日本を舞台にした物語と思いきや、瀕死の捨吉に提供されたのは「最先端の高度医療」
村に暮らしながらiPadのようなもので文字や物語を学び始める杏。
村を抜け出して「現代」社会で学校に通いながら暮らし始めるアン。
『ランド』が作られた目的は何か。理解を超えるものに出会い、生贄によって神の怒りを鎮めようとする人々。そこから生まれる差別や偏見。
『天才柳沢教授の生活』で講談社漫画賞を受賞した山下和美先生の最新作、今後の展開が全く読めない異色のファンタジーです。必読!
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