九龍ジェネリックロマンス

眉月じゅん/著

「次何読む?」の最適解『九龍ジェリックロマンス』ショートフィルムのような大人のロマンスを味わう

「新しいマンガが読みたい!」そんな風に迷っているあなたに是非おすすめしたいのが東洋の魔窟、九龍城砦で繰り広げられる働く30代の大人ロマンス『九龍ジェネリックロマンス』です。

2019年11月、週刊ヤングジャンプの新連載としてスタートし、2020年2月に単行本が出たばかりの眉月じゅん先生の新作。眉月じゅん先生といえば、アニメ化実写映画化もされた大人気作品『恋は雨上がりのように』で知られる、"エモの具現者"です。

九龍ジェネリックロマンス 1 (ヤングジャンプコミックス)
眉月じゅん/著

あらすじ

鯨井令子(くじらい れいこ)と工藤 発(くどう はじめ)は同じ不動産会社で働く会社員。喧嘩の絶えない2人だけど、日常の中で感じる工藤の不器用な優しさに令子は少しずつ惹かれていきます。そんなある日、令子は自身が担当する暖房の利かない過酷な物件の壁の塗り替え作業中に熱中症で倒れかけてしまいます。しかし、助っ人として現れた工藤が令子の身体を間一髪で支えてくれたのですが、この事がきっかけとなり令子はとうとう自分の恋心を自覚するのでした。

想像力を掻き立てる仕掛け

この作品の大きな特徴の1つが、主人公の日常をリアルに切り取る絶妙なコマ割りです。作中にちりばめられた多くのコマが、実はストーリーに読者を引き込む為の大事な仕掛けになっているのです。

例えば2話で令子が非常階段に出て工藤のスーツの汚れを払うシーン。突風に煽られて飛ばされそうになったスーツが令子の手元に落ちてくるまでを、見開き1ページ丸ごと台詞のない4コマで表現しています。現実ではものの1秒ほどの出来事が見事にスローモーションのように表現され思わず引き込まれてしまいます。

自分に落ちてきたスーツの微かな匂い、そこから想像する本人の面影、スーツを思わず抱きしめてしまった時の令子の心の動き、そういった恋をすると感じてしまう曖昧な気持ちや表現にフワっと輪郭を与え、ここまで素敵に具現化できるなんて…

読んでいると、まるで自分も恋をしているような錯覚に陥ってしまいます。

見どころはロマンスだけじゃない!

まず特筆すべきは物語の舞台となる九龍城砦独特の世界観。

その姿は無計画な増築の結果、まるでブロックを積み上げたようにいびつで唯一の雰囲気。そんな九龍城砦の街並みはもちろん作品内で存分に楽しむことが出来ます。

また、もう1つの見どころは徐々に明らかになるSF要素。空に浮かぶ人類の新天地と謳われる”ジェネリック地球(テラ)”という謎の存在。どうしても辿り着けない謎の喫茶店。記憶にはない令子と工藤との関係。そんな数々の伏線がこれでもかというほど後半に進むにつれ畳みかけてくるのです。巧妙に仕掛けられた謎とスピード感にページをめくる手が止まりません!

早くも2巻の発売が待ち遠しい本作。週刊ヤングジャンプの公式サイトでも無料試し読みできます。是非皆さんも手に取ってみてください。

九龍ジェネリックロマンス 1 (ヤングジャンプコミックス)
眉月じゅん/著


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