二月の勝者 ー絶対合格の教室ー

高瀬志帆/著

中学受験界に現れた最強最悪の絶対合格講師2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人!受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!

3行でわかる二月の勝者 ー絶対合格の教室ー

塾は子供の将来を売る場所?校長の黒木はそういう言い切ってしまう一見、冷酷な男

「全員を第一志望に合格させる」と言い切る黒木の意図は?本当にお金のためなのか?

中学受験の奥深さや現状、業界にも詳しくなれる作品!

二月の勝者 ー絶対合格の教室ーの記事

このマンガの好きなところ

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あらゆる面でウェルメイドなマンガ。中学受験、教育、塾あたりの話題に興味があるなら間違いなく高品質に楽しめる。 とにかく作者はマンガがうまい。 本作品は構成上、講師側、生徒、生徒の親と大量にキャラクターが出てくるのだが、30名以上はいるこの人物をしっかりキャラ立てしてストーリーに絡ませてくるのは職人技でしょう。一人ひとりにクローズアップを当てながら少しずつ世界を広げていくので飽きさせない。 テンポもよく、一話〜三話程度で小さな話をまとめながら、3月から来年の2月の受験資格本番に向けて作中時間が確実に進んでいきます。この「最後の一年」の作り方は我々読者も正解が分からないので、主人公である新米塾講師同様に、一体だれが“勝者”になるのか?をハラハラしながら眺めることになる。この出し惜しみしないテンポは絶妙でしょう。 そして実はさらに大きな物語がこの作品にはある。キーキャラクターである黒木の抱える事情も小出しにしながら進めることで飽きさせない二重構造なのはよくできています。 緻密な取材に基づいているので、書き方のバランス感覚も良いんですよね。タイトル通り、受験は確実に勝者と敗者が生まれてしまうもの。だからこそ、このマンガは勝者にするために手段を選ばない一方で、敗者の描き方に気を使っています。ここらへんのバランス感覚がないと、ただただカゲキなだけのマンガになってしまう。どこまでも現実感のある配慮も感じられ、なおさらよくできたマンガだなあと思うわけです。 筆者も中学受験を経験していますが、中学受験は最終的に子供も親も巻き込んで狂気の世界に足を踏み込んでいきます。そして最後は勝者が生まれ、勝者“ではない”子供たちも生まれるでしょう。このすばらしくよくできた作品が、最もバランス感覚の難しい結末に向かって、どうやってたどり着くのか。信頼できる作者の手腕を信じて、受験戦争という修羅の道に挑むキャラクターたちを応援したい。

2020年02月04日

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