我々が歴史として習っていた徳川家の将軍は、三代・家光以降、すべて女だった!? 男女逆転という設定でありながら、史実に忠実に描かれている『大奥』。女性名が男性名に変更されていたり、実際にあった呼び名が違う意味合いに変更されていたり。史実を調べながら読み比べると、「これ本当にあったことなんだ!」という驚きがいっぱい。まさに歴史好きはたまらない一冊!
伝染病の流行で男子が激減した日本
奇怪な伝染病の流行により、八十年の間に日本の男子の人口が女子のおよそ4分の1にまで急速に減少した。男子の生存率の低さのため、婚姻制度も崩壊。あらゆる家業が女から女へと引き継がれるようになり、将軍職も女子の継ぐ所となった。
そして女将軍を迎える『大奥』には、若く美しい男たちが集められたのである!
種馬として買われていた男たち
貧しい旗本の家に生まれた祐ノ進は、器量のいい見栄えでありながら、金がなく子種を買えない女たちを無料で相手していた。子が欲しい女たちが土下座して頼む姿が切ない、と祐ノ進は幼なじみのお信(のぶ)に言う。お信は祐ノ進に恋心を抱いていたが、薬種問屋の跡取り娘であるお信と貧乏旗本の祐ノ進が結ばれることは、万が一にもあり得なかった。
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祐ノ進は他家のように自分を種馬として金で売らなかった母に感謝し、自ら大奥に奉公に出ることを決めた。奉公に出れば手当てが出る。貧しい家に仕送りもできる。祐ノ進はお信を抱きしめて別れを告げ、江戸城大奥へと旅立つ。
将軍を姦通させた男は死なねばならぬ
抜群の器量から八代将軍吉宗の夜伽の相手に選ばれた祐ノ進。しかし、この役目は命を賭けたものであった。
未婚の将軍の初めてのお相手をする男子は「ご内証の方」と呼ばれる。夜伽の手ほどきをするという重大な役目でありながら、将軍の体を破瓜(はか)して傷つける大罪人でもある。そのため、勤めを終えた十日後には内々に打ち首にされるのだという。
謹んで役目を受けた祐ノ進は、寝所で吉宗の女性名が「信(のぶ)」であることを知り、今宵一夜だけ「お信」と呼ばせて欲しいと吉宗に懇願した。
権力闘争や江戸の時代感も魅力
時代考証が丁寧になされているので、男が少なく貴重な「資源」となっている設定が違和感なく物語に溶け込んでいるのが凄い。「ご内証の方」というのも創作ではなく実際にあった言葉で、将軍の跡継ぎを生んだ側室のこと。さらに、権力を巡る駆け引きや江戸の食文化なども紹介されているので、歴史好きは最高に楽しめる!
ビッグカップル誕生のきっかけにも!
堺雅人さんと菅野美穂さんご夫妻が『大奥』のドラマをきっかけに知り合い、結婚に至ったことも有名。第8巻発売時には、著者のよしながふみさんと堺雅人さんの特別対談チラシが封入されていた。以前から、よしながさんと堺さんは親交があったそう。日本を代表する俳優の人生まで変えた一冊。必読!